インタビューやエッセイで、たびたび、植物への思いを語ってこられた中谷美紀さん。今回は、事前にお話をうかがい、お気に入りの花々と共にスペシャルな撮影を実現! 中谷さんに新たな視点を授けてくれた、花と自然の魅力についてもうかがいました。

中谷美紀
俳優
1976年東京都生まれ。1993年に俳優デビュー。以来映画やテレビドラマ、舞台に加え、エッセイ集を執筆するなど活躍は多岐にわたる。朗読を担当した、原田マハさんの小説『リボルバー』が、オーディオブックサービスAudibleで配信中。ゴッホが自殺に使用したとされる拳銃「リボルバー」を起点に展開する、アート誌上最大の謎に迫るミステリー小説を、音声で届けている。公式インスタグラム @mikinakatanioffiziellも注目の的。

「ホワイトローズの美しさに魅了され、私も庭で育て始めました」

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“ディオール ファイン ジュエリー”のリング/中指『ローズ ディオール バガテル』[PG×ダイヤモンド]¥5,100,000・薬指上から/同[WG×ダイヤモンド]¥1,850,000・『ボワ ドゥ ローズ』¥1,100,000・ブレスレット上から/『ローズ ディオール バガテル』[WG×ダイヤモンド]¥4,700,000・『ボワ ドゥ ローズ』[PG]¥1,250,000・“ディオール”のシャツ¥350,000/参考価格(クリスチャン ディオール)

白い薔薇に囲まれて中谷さんが身につけたのは、「ディオール」のジュエリー『ラ ローズ ディオール』コレクション。薔薇が咲き誇るパリの植物園から名付けられた『ローズ ディオール バガテル』や、薔薇の茎を表現した『ボワ ドゥ ローズ』を自在に重ねて。

「花は香りも魅力。芍薬は、ずっと包まれていたくなる芳香です」

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ドレス/参考商品(マルジェラ ジャパン〈メゾン マルジェラ〉)

「白い芍薬が好き」という中谷さんは、その花と重なる、凛として優雅さのあるムード。瑞々しさと優しさのある香りは、花弁のように広がり、穏やかな気持ちをもたらして。

「緑がいきいきとした野の花たちに惹かれます。憩いにもなって…」

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プリーツトップ¥63,800・スカート¥72,600(ISSEY MIYAKE INC.〈ISSEY MIYAKE〉)

野に咲く利休草やチョコレートコスモスに囲まれて、のびやかな表情で魅せる中谷さん。まとったのは、芍薬を押し花にして転写プリントを施し、自然の彩りを映したというプリーツのセットアップ。

「好きなのは、さまざまな彩りのグリーンと、白や紫の花」

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ドレス¥409,200(コロネット〈ランバン〉)

紫や青の球状の花を咲かせるアリウムも、中谷さんが好む花のひとつ。その色彩をロングドレスにもリフレインして、艶めく美しさを印象的に。


20代後半、お茶室で出合った花の美しさと癒しの力

ホワイトローズや芍薬に加え、利休草や鉄線、山紫陽花も…。今回の企画に際し中谷さんに好きな花をうかがうと、山野草を多く含む、美しい花々の名前が次々と。「お茶室で惹かれた蛍袋を、スイスの山で見つけたときは嬉しくて。そんなふうにして心に残る花が多いのです」

今、花のある暮らしを謳歌する中谷さんですが、実はその魅力に目覚めたのは20代後半。意外にも、以前は花を枯らしてしまう人だったのだとか。

「毎日が忙しくて。花束をいただいても、水を替えたりして心を配るゆとりがなかったのですね。ですが茶の湯に触れて、花が一輪あるだけで、こんなにも人の心を癒やしてくれるのだ…と気づいて。自分でも、お茶室で魅了された侘わび助すけの鉢植えを買い、育ててみることにしたのです」

中谷さんの愛する花に和花が多いのには、そんな所以があるのでしょう。「和の花は、束にしなくても、一輪で形になります。華やかに咲き誇るわけではないけれど、控えめでありながら、静かに主張しているような佇まいも好きです」

さらに2018年の結婚を機に始まったオーストリア・ザルツブルクの田舎暮らしで、庭づくりの楽しさに目覚めたといいます。「まず理想の庭を思い描こうと、本をいろいろ読みました」。
例えば昔の手つかずの自然を取り戻そうとするのではなく、“未来の自然”を考えようと提案する『「自然」という幻想』、北海道のガーデンを舞台にした新谷みどりさんの『十勝千年の森の庭仕事』…。

「私の理想は、雪解け後の芽吹きの時期から少しずつ季節をずらしながら開花して新緑となり、やがて冬枯れの姿さえも美しい、移ろいのある庭。山でシダをいただき、信頼する園芸店で苗を譲っていただいて…と、土地に合う植物を探していました。期せずしてコロナ禍で時間ができ、本格的に庭づくりをスタートすることになったのです」

庭づくりには終わりがないそれは「永遠の循環」の始まり

「そこで気付いたのが、無条件の愛ともいえる自然が“与える”ことで循環し、次の命につながっていくサイクルでした。ミツバチは花から蜜を与えられて花粉を次の花に運び、鳥は果実の種をついばみ、別の場所に届ける。落ち葉もまた土に栄養を与え、それが次の葉を育てる…。そうした永遠の循環に私たちの目は癒やされ、香りを与えられ安らぐ。だから無条件に植物のお世話をしたくなるのかもしれない、と」

庭づくりが中谷さんに授けてくれた、心の余裕。
「自然のあるがままの姿を見ていると、抗っても仕方ないこともあると思えてきました。生きていたらいい日もあるし、嵐の日もある。常に完璧でなくても駄目な日があったっていい、と」

庭のことをいきいきと語りながら、おおらかな笑顔を見せる中谷さん。この夏も、オーストリアでの庭づくりは続く予定、と穏やかな表情を浮かべます。
「育てたいのは、一年で終わる植物ではなく、毎年芽吹く宿根草。庭づくりは始めたら終わりがない。私自身もまた、永遠の循環の一部になってしまったようです」

※文中の表記は、DIA=ダイヤモンド、YG=イエローゴールド、PG=ピンクゴールドを表します。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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PHOTO :
伊藤彰紀(aosora)
STYLIST :
犬走比佐乃
HAIR MAKE :
下田英里
NAIL :
川村倫子(ネイルハウス安气子)
COOPERATION :
小路苑
EDIT :
川村有布子、福本絵里香(Precious)