無理なく今の時代に即するコミュニケーション術を考えます【やわらかな「雑談力」を身につけるには…】

リモート作業やオンラインミーティングに慣れてきた今、リアルな場面で起きる「誰も話さない静けさ」が妙に気になるときも。
相手の警戒心を解き、よい関係を築くためのコミュニケーション手段として、アイスブレイクとして、雑談は効果があるといわれます。さらりと、ゆるやかに雑談するための考え方をトークのプロに聞いてみました。
読者の雑談界隈のリアルな本音「プレシャスキャリア、雑談力の現在地」
「雑談は必要だ」ととらえている一方で、そのきっかけや場所は少ないという意見も。アンケートから見えてくる雑談についての悲喜こもごも。
Q1:雑談の悩みというと? ときに時間や集中力を奪われることも…。
●最初の声がけが難しい (30代/会社員)
●的外れな答えではないか⼼配(40代/会社員)
●話が途切れると不安(30代/会社役員)
●盛り上げなくちゃとよけいなことを考えがち(50代/アルバイト)
●その場しのぎで話すと後で後悔する(30代/会社員)
●相手の話が⻑いと仕事が進まなくて苦痛(40代/会社員)
●若い世代は隣にいる相手にもLINEで会話する(50代/会社員)
●ハラスメントになりそう(60代/会社員)
●いない⼈の話をすると「個⼈情報ですよ?」と潔癖なことを⾔われる(50代/自営業)
Q2:雑談してよかったこと、パフォーマンスにもよい影響が。
● “報連相” が円滑に(50代/会社員)
●企画などは雑談から⽣まれる(40代/自営業)
●同じ⽅向を向いて仕事ができた(40代/会社員)
●当⼈はなんとも思っていないことが問題提起だったりする(40代/会社員)
●硬直した考え方を⾒直すきっかけに(50代/無職)
●相⼿の体調を気遣うことができ、役割分担もしやすかった(30代/アルバイト)
●話しやすい環境は職場をやわらかい雰囲気にする(40代/公務員)
●得意な仕事が伝わり、割り当てられた(30代/公務員)
Q3:AIを活用している?絶対に否定されない場所。リアル雑談のヒントにも。
●ChatGPTなど、決して威張らず、傷つかない言い方は参考になる(50代/専門職)
●とりあえず全肯定してくれる(40代/自営業)
●相手をよい気分にさせる会話のヒントがある(60代/自営業)
●相手の感情を考えずに雑談できるので、リアル雑談の練習に(50代/会社員)
●気を遣わずにズバズバ切り込んでくれる。年齢を重ねると苦言を呈してくれる人は減ってくるのでうまく活用している(30代/会社員)
●本音をさらす練習になる(60代/自営業)

Q4:ゆるやかな雑談のための工夫は?できることからコツコツと。上司世代のひそかな努力。
◇雑談する態度で気をつけていること
●声のトーンは少し⾼め、にこやかに。基本は聞き役に(50代/アルバイト)
●先に胸襟を開く(40代/会社員)
●「雑談してもいい?」と話しかける(50代/専門職)
●職場をふらふらして声をかけやすいようにしている(50代/公務員)
●お菓⼦を配る!(40代/会社員)
●誕⽣⽇やお⼦さんの年齢を覚える努⼒(60代/主婦)
●⼈に会うときは質問を7つ⽤意する(50代/会社員)
◇雑談での最近のテッパンネタ
●大谷翔平選手の話。暗くならない(40代/専門職)
●失敗談を堂々と(50代/専門職)
●「推しはいる?」。話が弾む(20代/会社員)
●容姿ではなくセンスをほめる(50代/会社員)
●よく知らない流は行やりのものについて尋ねる。「ラブブって可愛いの?」とか(40代/会社役員)
●Mrs. GREEN APPLEの好きな曲を聞く(50代/自営業)
●美容とグルメ(40代/会社役員)
◇雑談のための工夫
●打ち合わせ前に少し雑談をする(40代/自営業)
●フリーアドレスにしたら会話が増えた(40代/会社員)
●オフィスの「おやつバー」のお菓子は誰がもってきたものかひと目でわかるようにしていた。「◯◯に行かれてたんですね」と会話が広がる(50代/主婦)
●週1で近況報告ランチ(40代/会社員)
●社内のカウンターバーでは月1で⽴ち飲み会も(40代/会社員)
●忙しくなければ参加型の雑談タイム(リモート含む)を設け、決まったテーマを話す(30代/会社員)
トークのプロがアドバイス!「個人Slackで “脳内” を公開。雑談が増えました」arca 代表取締役 クリエイティブディレクター・辻 愛沙子さん

弊社では全員がslack(ビジネス向けのコミュニケーションツール)で個人チャンネルを持っています。名付けて「○○の脳内」。私なら「愛沙子の脳内」。この “脳内チャンネル” は誰もが見ることができ、使い方は自由。思いをつぶやく人、気になる記事のリンクを置く人…。
先日は参院選に関してのコメントがあったり(下画像)、誕生日の人にお祝いコメントが寄せられるのを見ると、こういうゆるくて優しいつながりは素敵だなと思います。脳内チャンネルは無理につながることを目的とせず、動かさなくてもOK。ルールを決めず自由に使える場所です。

私自身は、エレベーターでするような軽やかな雑談も、会社の飲み会も得意ではありません。ならば、代表として社内で気軽に交流できる場所をつくろうと考えました。弊社のメンバーは雇用や勤務形態もさまざまなため、横並びでゆるく雑談ができるフラットな土台作りは常に意識しています。
福利厚生で、初めてのメンバー同士でランチに行くと手当を出す制度なんかも。気負わず、ストレスなく雑談ができる場所を通して思いを共有し、「居場所がある」ことを感じてもらえたらうれしいですね。
関連記事
- ポッドキャスト『となりの雑談』が大人気!ジェーン・スーさん&雑談の達人・桜林直子さんが語る「雑談力のすすめ」
- プロデューサー・佐久間宣行さんに聞きました!「コミュニケーション術としての “雑談力” を身につけるコツは?」
- PHOTO :
- Getty Images
- EDIT :
- 松田亜子、福本絵里香(Precious)