「怒り」の感情がやってきたとき、どのように対処していますか?
我慢する、気の知れた友人に愚痴る、あとで趣味や好きな食べ物で発散するなど、対処法は人それぞれでしょう。
でも、あまりに怒りにとらわれてイライラが続くと、女性にとっての「美」に影響する恐れもあるのです。
そこで今回は、日本アンガーマネジメント協会本部講師を務める小尻美奈さんに、怒りをためずに生産的に解決する方法と、怒りが実際に起きたときの対処法を教わります。
怒りは、肌や心身の健康に悪影響を及ぼす?
普段、イラっときたり、ムカッとしたとき、そのまま爆発させてしまえば一時的にはスッキリするかもしれませんが、それをしてしまうと後悔するのを十分知っているのが大人女性というもの。きっと日々、ためこんでいることのほうが多いのでは? しかし、怒りはストレスになるほどためこむと、肌へ悪影響が出ることもあるのだそうです。
「怒りは誰もが持つ自然な感情ですが、ストレスになるほど怒りを我慢したり、振り回されるほどの怒りを持ち続けたりするのは美容の大敵です。いつもイライラしている人は眉間にシワが寄って口角が下がり、見た目の印象が暗く老けてみえることはもちろんのこと、肌へも悪影響が及ぶと考えられます。アメリカ・オハイオ大学の研究では、被験者に軽い火傷を負ってもらい8日間にわたって皮膚の回復状況を観察するという実験で、怒りのレベルが高い人のほうが、低い人より圧倒的に皮膚の回復に時間がかかるという結果が出たそうです。このことから、怒りは皮膚の再生や修復にも影響することが分かります」
また、自分の怒りをきちんと対処できないと、心身の健康に悪影響を及ぼすこともあるようです。
「アメリカ・国立老化研究所がイタリア・サルディーニャ島で行った研究によると、怒りっぽい性格の人は、温厚、寛容な人たちよりも心臓発作や脳卒中のリスクが高いそうです。こうして怒りは健康にダメージを与えてしまうこともあるのです。また、怒りを我慢してため込んでいると急に爆発することもあるので、人間関係を壊したり、メンタル不調に陥ったりすることもあるでしょう」
怒りが爆発しそうになったら「6秒」待つ!
美容にも心身の健康にも悪影響を及ぼしかねない怒りという感情。そこで、どうしようもなく怒りを感じたときに、爆発しそうになるのを避けるのによい方法を教えていただきました。
「まず、イラっとしたら6秒待つことを習慣にしてみましょう。怒りのピークは諸説ありますが、長くても6秒間です。つい相手に言い返したり、物に当たるような反射的な行動をとれば、険悪な雰囲気になったり、相手との信頼関係が崩れたりと、大抵は後悔することになります。何よりスマートではありません。いつでも冷静さを持ち合わせ、余裕を感じられる大人の女性は、誰から見ても素敵な人。イラっとしたらゆっくり6秒かけて息を吐き、『大丈夫・大丈夫』『ドンマイ・ドンマイ』などの自分が落ち着くフレーズを自分自身にかけてあげましょう。また、口角を上げて意識的に笑顔をつくるのもおすすめです。イライラしていても、表情筋がゆるむと脳が『楽しい』と錯覚し、ポジティブな気分になれます」
解決のために裏側の「第一感情」に目を向ける!
とはいえ、この対策はあくまで一時的なもの。自分の怒りという感情に対してきちんと向き合い、適切に対処する方法を、小尻さんは次のように話します。
「怒りは第二次感情といわれ、その裏側には第一次感情といわれるさまざまなネガティブな感情が隠れています。例えば、仲良しグループからランチのお誘いに自分だけ声がかからず腹が立つのは、『悲しい、寂しい、不安』などの気持ちがあるのかもしれません。仕事の進め方が遅い職場の後輩にイライラするのは『不満、残念、心配』という気持ちが隠れていることもあるでしょう。
怒りの感情はパワフルなので、自分の怒りに飲み込まれそうになったときは、怒り以外の第一次感情に目を向けてみてください。感情的に『なんでランチに誘ってくれなかったの?』と相手を責めるのではなく、『私は誘ってもらえずに寂しかったのよ』と、本来分かってほしかった本当の気持ちを伝えてみましょう。すると自分の気持ちを理解してもらいやすく、問題が解決する可能性が高まります」
今後、怒りを感じたら6秒待って、落ち着くフレーズや笑顔を意識しつつも、第一感情の本当の気持ちにきちんと向き合う。自分の気持ちに素直になることが一番の解決策のようですね。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利