ブドウがおいしい季節がやってきました! 最高においしい選び方、食べ方はご存知ですか?

実は、ブドウは一房一房に個性があり、本当においしいものは、見た目でちゃんと判断できるのです! また、最後までおいしく味わうコツもあります。それを知らずにブドウ本来の味わいを十分に堪能できないのは、大損している可能性大!

そこで今回は、野菜ソムリエ上級プロの山口晴子さんから、最高においしいブドウを食べる条件についてお話をうかがいました。最高においしいブドウを見極める5つの条件と、最高においしいブドウを味わう5つの条件、合計10の条件をご紹介します。

■最高においしいブドウを見極める5つの条件

まずは、お店で最高においしいブドウを見極めるためには、どこをチェックすればいいのか? 5つのポイントを挙げていただきました。

(1)表面にブルーム(白い粉)がついているものを選ぶ

白っぽいブルームは新鮮な証拠
白っぽいブルームは新鮮な証拠

ブドウの粒の表面に白っぽい粉がついているのが気になったことはありませんか? これは農薬など悪いものとよく勘違いされがちなのですが、ブルームという天然成分です。ブルームとは、病気や水分の蒸発を防ぐために、果実自体が分泌するもので、ブルームがついているほうが新鮮でおいしいといわれています。お店で購入する際は、表面にブルームがついているものを選びましょう。

(2)「色が濃く、皮にハリ」があるものを選ぶ

品種によっては、色が淡くてもおいしいものもありますが、市場に広く出回っているデラウェアなどでは、色が濃いほうがおすすめです。色の濃さはポリフェノールが多く含まれている証拠で、栽培状態も良好であることを示します。また、皮にハリがあるもののほうが新鮮で、食感やみずみずしさを堪能することができるでしょう。

(3)粒の大きさが「均等」なものを選ぶ

粒の大きさはそろっている?
粒の大きさはそろっている?

ブドウの見た目では粒のサイズも気になりますが、単に大きい小さいかということよりも、全体のバランスのほうが重要。房全体で粒の大きさがそろっているものを選びましょう。

「大きさがふぞろいなものは、粒ごとに味にもバラつきがあり、部分的においしくないおそれがあります。大きさが均等なもののほうが丁寧に栽培されており、全体をおいしくいただくことができるでしょう」(山口さん)

部分ではなく、房全体を見て粒の大きさのバランスをチェックしましょう。

(4)実が落ちていないものを選ぶ

ブドウの房全体を見て、実がぎっしり詰まっているものを選びましょう。実が落ちていて房にすきまがある場合、収穫から日数が経っていて鮮度が落ちているおそれがあります。

「ブドウが透明のパックに入っている場合、パックを底面から見て実が落ちていないかチェックしましょう。表面からでは実が詰まっているように見えても、底面から見ると実がポロポロ落ちているのを発見することもあります」(山口さん)

底の面からのぞきこむ、というのは盲点ですね。ブドウのみずみずしさを堪能するには、ぜひ実が落ちていないものを!

(5)軸が太く青みのあるものを選ぶ

軸の状態も要チェック
軸の状態も要チェック

房の上部にある軸の状態もチェックしましょう。軸が茶色くなっているものは、鮮度が落ちているおそれがあります。軸に青みがあるものは新鮮であることの目印。また、軸が太いほうが、果実に栄養分がしっかり蓄えられていると考えられます。

■最高においしいブドウを味わう5つの条件

お店で品質のよいものを見極めることができても、その後のブドウの扱いや食べ方によっては、本来のおいしさを損ねてしまうおそれがあります。購入後は以下の5つの点に注意して、最高においしいブドウを味わいましょう。

(1)購入後はなるべく早く食べる

フルーツのなかでも、たとえばメロンなどは、購入直後には完熟しておらず、食べごろになるまでしばらく待つ(追熟する)必要があることが多いです。しかし、ブドウには追熟はなく、店頭に並んでいるのがベストの状態。時間をおくほどどんどん劣化するので、購入後はなるべく早く食べましょう。

「できれば、購入したその日のうちに。遅くとも2~3日中には食べるようにしましょう。また、冷蔵庫で保存する場合は、新聞紙やラップに包んだり、ビニール袋に入れたりして密封すること。ブドウから水分が蒸発するのを防ぐという目的もありますが、フルーツは収穫後も呼吸しており、二酸化炭素を発生させているので、冷蔵庫の他の食材への悪影響を抑えるためにも、密封保存が望ましいです。

どうしても食べきれない場合、冷凍保存するという手もあります。冷凍すると甘さは落ちてしまいますが、少し溶けた状態では皮がプリッとむきやすく、皮と実の間の最もおいしい部分を味わうことが可能です」(山口さん)

“おいしいものを楽しみにとっておく”という発想は、ブドウに関してはNGということですね。「食べたい!」と思いたった日に食べきれる量だけ購入しましょう。

(2)食べる2~3時間前に野菜室で冷やす

ブドウといえば、あのひんやりした食感も醍醐味ですが、ただあまり冷やしすぎると甘さを感じにくくなってしまいます。食べる2~3時間前に冷蔵庫の野菜室で冷やすようにしましょう。

(3)食べる直前に優しく「水洗い」する

優しく水洗いする
優しく水洗いする

前述のように、皮の表面のブルームは実を保護するために自然に生じたものなので、無理に落とす必要はありません。むしろ、汚れを過敏に気にして強く洗うと鮮度が落ちたり傷んだりしやすく、ブドウが水っぽくなる原因にもなります。

「ブドウを洗うのは食べる直前にしましょう。水を張ったボウルにブドウを入れ、5分ほど流水につけます。流水といっても、勢いよく水を流す必要はなく、チョロチョロとした細い水の流れでOKです。水の中で軽く振り洗いをしたあと、水気をペーパータオルなどでふき取りましょう」(山口さん)

冷蔵庫に入れる前に洗ったり、ブルームを落とそうとしたりするのはNG! ブドウはデリケートなので優しく扱うようにしましょう。

(4)房の下のほうから食べる

ブドウは日光が当たりやすい上部ほど甘く、下にいくほど甘みが弱くなります。このため、軸のある上部から手をつけると、食べ進めるほど味が淡白になってしまうというおそれが……。食べ始めから最後までおいしく味わうには、房の下のほうから食べるようにしましょう。巨峰など一房を複数人でシェアする場合は、分け方で不平等になってしまわないよう要注意です。

(5)皮を「剥かず」に口の中に入れる

皮はむかずに口に含むのが正解
皮はむかずに口に含むのが正解

ブドウを皮ごと食べるのか、それとも皮は捨てるのかというのは好みの分かれるところ。皮の食感が苦手な人は、無理に皮を食べる必要はありません。ただ皮を食べない場合でも、口のなかに入れる前に皮をむいてしまうのはもったいない!

「ブドウは皮と実の境目が栄養価や糖分が高く、もっともおいしい部分です。口のなかに入れる前に皮を剥くと、そのおいしい部分を逃してしまうおそれがあります。皮は食べたくない方も、皮を剥かずに口に含み、口のなかで皮から実をしごき出すのがよいでしょう。そうすれば、皮と実の境目のおいしい部分をしっかり堪能できます。もちろん、皮ごと食べられる場合は、そのまま食べてもOKです」(山口さん)

皮ごと口に含んで、皮と実の境目をぜひ味わいましょう!

最後に、ブドウと相性のよい食べ物についても教えていただきました。

「ブドウは生ハムとの相性がよいです。メロンと生ハムを組み合わせるのと同じ理由ですが、ブドウの甘酸っぱさと生ハムの塩辛さがマッチします。それに、ブドウは塩分を体外に排出するカリウムが豊富なので、栄養面でも、生ハムとブドウの組み合わせは理に叶っているといえるでしょう」(山口さん)

ブドウを購入する際、今年はいつも以上にしっかり吟味して、最高においしいものを見極めましょう。そして、保存の仕方や洗い方、食べ方に注意しつつ、“生ハム+ブドウ”にもぜひチャレンジしたいですね。

山口晴子さん
野菜ソムリエ
(やまぐち はるこ)全国でも数少ない野菜ソムリエ上級プロ。日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ上級プロ、宝塚ブランドにかかる懇話会委員、松原ブランド研究会顧問。「豊かで健康的な食生活」をテーマに、新商品開発、食に関するアドバイス、料理教室・食育セミナー講師、コラム・書籍・雑誌テキストの執筆、メディア協力など、幅広い活動を通して大阪産野菜をはじめ、野菜の啓蒙活動を行っている。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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