1996年に国内で大ブームを起こした、携帯デジタルペット「たまごっち」。ごはんやおやつをあげたり、トイレのお世話をしたり、サボると「おやじっち」になったりなど、このユニークなゲームを覚えている方もいるのでは?
「たまごっち」は、発売から20年以上経った今でも、「卵型で3つのボタン」というデザインはそのままに、機能を追加しながら進化を続け、子供だけでなく大人の心も掴んでいます。
そこで今回は、進化する「たまごっち」の実情を探るべく、バンダイ本社へ。果たして、女子がときめく「たまごっち」の現在とは?
「たまごっち」の企画開発から店頭に並ぶまでの業務に関わる、バンダイ・ガールズ事業部の木次佳織さんに話を聞きました。
「たまごっち」で遊ぶ子供の会話に親はドキドキ!?
2016年に登場した新作「Tamagotchi m!x」のテーマは「遺伝」。
友達が持つ別の機種と通信をすると、キャラクター同士の「仲良し度」が上がり、同性の場合は「だいしんゆう」、異性の場合は「ねつあい」と関係性が変わっていきます。異性キャラクター同士では「結婚」ができ、両親をいわば「ミックス」した赤ちゃんが生まれると、新しいキャラクターを育てることができるのだとか。
「遺伝する要素が大きいため、次の世代で可愛いキャラクターが生まれるように、どのキャラクターと結婚するかを子供なりに悩んでいるようです。最初に育つキャラクターは限定キャラクターを合わせて27キャラクター。ですが、世代をつないでいくと、(見た目の)パターンは数千万にもなります」
どのキャラクターの要素を受け継いだ子供にしたいかで、「結婚相手」を選ぶそうですが……。
「仲良し度が上がった異性のキャラクターとは、『結婚する』『結婚しない』『考えさせて』の選択ができます。中には、『(プロポーズするためのアイテム)指輪を買ったんだ』とか、『(友達の「たまごっち」のキャラクターから)プロポーズされたんだ』などという話を子供から聞いて、ドキッとするお母さんも多いそうです」
「たまごっち」のメインユーザーは、小学1〜3年生や幼稚園の女の子でしたが、「Tamagotchi m!x」では年齢も拡がり、小学校高学年や大人も手に取ることが多い機種なのだとか。「考えさせて」と恋人をキープする機能や、相手を選ぶ恋愛要素が、女子の胸をときめかせているようです。
共働きの家庭が増え「実家に預ける」機能も搭載!
「たまごっち」は初代から呼び出し音も変えておらず、電子ゲームとしては珍しく、オンオフのスイッチもずっとつけていません。そのため、人間の都合だけでは扱えない部分があり、呼び出しがあれば面倒を見るなど、細かなお世話が必要です。
「以前は親が代わって『たまごっち』のお世話をすることが多かったのですが、近年では共働きの家庭が増え、働いている場合は日中に面倒を見ることができません。そうした状況を考慮して、2012年に発売した『Tamagotchi P's』から玩具内でキャラクターを預けられる機能を付けました。
成長の程度によって、保育園か学校を選べるようになっていて、『Tamagotchi m!x』からは子世代以降、キャラクターの実家となる『パパとママの家』に預けられるようにもなっています」
「たまごっち」は、どれだけ手間をかけて育てたかや、遊んだ頻度、あげたアイテムなどによってキャラクターの成長が変わる玩具。リアルな事情を反映し、初代にはなかった機能が追加されているようです。
ちなみに、'90年代はPHS、ポケベル、スクールバッグなどに付けるのが流行りで、2000年代はアクセサリーのようにたくさん首にかけているのがステータスでした。現在は1台を大切に使う傾向なのだそうです。
「たまごっち」は一度、死ななくなっていた!?
初代「たまごっち」を知る世代には、なじみ深い「死んでしまう」機能。
初代「たまごっち」からあるこの機能は2009年まで継承されていきますが、同年にアニメの放映が始まったことをきっかけに家出する機能に変更したそう。それは、キャラクターたちの暮らしや会話を具体的に見た子供たちが、より深く感情移入するようになったからだと木次さんは言います。
「2016年に発売した『Tamagotchi m!x』では、その機能が復活しています。世代を継承し、遺伝子を引き継ぐ『たまごっち』には、『死』の概念もマッチすると考えました」
キャラクターの死に子供がショックを受けてしまう懸念がありましたが、意外にもユーザーは好印象だったそう。
女子がときめく「たまごっち」のカラクリ
時代とともに進化してきた「たまごっち」ですが、リアルな電子ペットである「たまごっち」らしさは変わらず受け継がれているようです。初代を知る世代にとっては懐かしいこの玩具の今を知り、久々に手に取ってみたくなった方もいるのでは?
育て方によってキャラクターの成長が変わる要素や、どう変化するかが分からないドキドキ感。この変わらない卵型の電子玩具は、女の子が好む恋愛やコミュニケーションの要素をバージョンアップさせ、今後も女の子の胸をときめかせていくのではないでしょうか。
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- バンダイ
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石水典子
- EDIT :
- 高橋優海(東京通信社)