常日ごろからハイヒールを履いている方は、注意して歩いていたのに、気がつくとヒール部分に傷がついていた…という経験が、一度はあるのではないでしょうか。少しくらいの傷で修理に行くのは手間なこともあり、ついつい後回しにしてしまいがちです。
今回は、オーダーハイヒール「gauge(ゲージ)」を手がけるブランドディレクターで、木型師として数々のヒールを手がけてきた五十石紀子さんに、ヒールの傷のケア方法について聞いてみました。
ヒールの傷を「100円ショップのシューケア商品で」ケアする方法2パターン
五十石さんによると、実はヒール部分が木材でできている靴はないそう。木目模様に見えるヒールも、実は革でできており、革を重ねた断面を使用することで、木目のように見せているのだとか。
そこで、今回は「CASE1:ヒールの擦れによる浅い傷の場合」と、「CASE2:ヒールの革が剥けてしまった場合」の、ふたつのケースでの傷補修をご紹介します。なお、いずれの場合も土やホコリなどの目立つ汚れを、靴用ブラシで落としてからケアしましょう。
それではまず、浅い傷のケア方法から見ていきます。シューケア用品は100円ショップで購入できるので、手軽に実践が可能です。
【CASE1】擦れなどによる「浅い傷」のケア方法
●必要なもの
・革靴用クリーナー
・ヒールの色と同色系統の革靴用クリーム
・Tシャツなどの端切れ(お手持ちの)
■1:指にTシャツの端切れを巻きつける
まずはヒールをクリーナーで磨くために、Tシャツの端切れを指に巻きつけます。写真のように、布上部に余裕を持たせ、ひとさし指と中指、2本の指を包むように巻きつけてください。
そして、端切れの上部をぐるっとねじります。
ここまでがヒールを磨くための布の準備です。ここからは、ねじった先を親指で挟みながら、靴を磨いていきます。
■2:巻きつけた端切れにクリーナーをつけ全体を磨く
端切れ全体にクリーナーをつけて、靴に付着している汚れやクリームを落とします。最初は小さな円を描くようにし、少しずつ広い範囲の汚れを落とします。力の入れすぎで、靴に傷がつかないように注意しましょう。
■3:2と同様に、端切れ(クリーナーをつけたものとは別のもの)に靴クリームをつけて磨く
人の肌でも洗顔後に保湿するのと同様、動物の皮革であるハイヒールの革も付着した汚れを落とし、それから保湿をする必要があります。
靴クリームは、つま先やヒールなど硬い部分から塗っていき、少しずつアッパー(横の部分)のやわらかいところや曲がるところに伸ばしていきます。使用する靴クリームの量は、米粒3つほど。気持ち少なめと思う量で充分です。
靴クリームの色のおかげで、浅いスレなどは目立たなくなります。これで、「浅い傷」のケアは完了です。
【CASE2】ヒールの革の一部分が剥けてしまったときのケア方法
写真のように、どこかにぶつけたはずみでヒールの一部分が剥けてしまうこともありますよね。先ほどご紹介した補修よりさらに深い傷ですが、こちらも100円ショップの商品で対応できるそう。
●必要なもの
・革用接着剤
・ヒールの色と同色系統の革靴用クリーム
・Tシャツなどの端切れ(お手持ちの)
・ペン
■1:ひっかき傷のついた革を丁寧に伸ばし、接着剤を両面に薄く塗り、貼り合わせる
革が内側にめり込んでいる時などは、楊枝などの先の尖ったものを使って丁寧に革を伸ばします。用意した接着剤を両面に薄く塗布し、貼り合わせます。このとき、革がちぎれない程度に引っ張って調整しましょう。
貼り合わせ後は、1時間程度乾燥させます。
■2:表面をこすり、革を馴染ませる
乾燥後の補修部分をこすり、革を馴染ませます。こする道具は、革を傷つけないため角が丸いもの適しています。
■3:靴と同色系統の靴クリームで傷との段差を馴染ませる
ハギレを指にまきつけて、靴と同色系統の靴クリームを丁寧に塗りこみましょう。
いかがでしたか? 100円均一にあるものだけで、手軽にヒールが直りましたね!
長く大切にヒール靴を履くためには、日頃のチェックと定期メンテナンスを
ハイヒールを長持ちさせるコツは「箱にしまったままにせず、たくさん履くこと」だと五十石さん。
「購入後にずっと箱にしまっておくと、ヒールの底が経年劣化してしまいます。また、ヒールの底にしては消耗品なので、すり減ってしまうのは仕方のないこと。長く大切に履きたいものは、お家に帰って脱いだら必ずチェックをするようにしてください。
ヒール芯のプラスチックが出てきてしまうと、ヒールを削る必要があるので、そうなる前に専門のお店に行ってヒールを交換しましょう。最近は100円ショップでもヒール底が売られていることもあるので、そちらを活用してもいいでしょう」
お気に入りのハイヒール、せっかくなら長く履いていきたいですよね。ぜひ帰宅したらヒールの状態をチェックし、ちょっとした傷ならば、今回ご紹介した方法で補修する習慣をつけてみてはいかがでしょうか? 大切な靴をしっかりとケアして、長持ちさせてくださいね。
gauge
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 長祖久美子
- EDIT :
- 高橋優海(東京通信社)