たらこといえば、ご飯のお共の定番。卵かけご飯と一、二を争う、親しみやおいしさがありますよね。

そんなたらこにもランクがあり、いわゆる「高級たらこ」と呼ばれるものも! 日本で最高級のたらこといえば、北海道の虎杖浜(こじょうはま)産のたらこと言われています。普通のたらことは、どう違うのでしょうか?

そこで今回は、虎杖浜たらこを取り扱う大正2年創業の地元最古参の水産会社であるカネシメ松田水産の代表、松田幸男さんに、虎杖浜たらこはなぜ高級なのか、たらこをおいしくいただく方法や、産地ならではの食べ方も伺いました。

国内最高級のブランドたらこ「虎杖浜産のたらこ」とは?

虎杖浜たらこ「多良の子 虎杖浜のまごころ」400g ¥4,320(税込)
虎杖浜たらこ「多良の子 虎杖浜のまごころ」400g ¥4,320(税込)

たらことは、スケソウダラ(スケトウダラ・助宗鱈)の卵巣を塩漬けにしたもの。スケソウダラは、北日本からアラスカの海に分布しており、ロシアやアラスカ周辺の海から輸入されているものが多いといわれており、日本では北海道が主な産地です。ただ、近年は捕獲できる量が減少しており、特に国産のたらこは貴重なことから、必然的に高級品になっています。

そんな国産たらこは、北海道を中心とした北国の各地でつくられていますが、中でも、最高級といわれるのが、虎杖浜(こじょうはま)産のたらこ。虎杖浜は、北海道の南部、白老町の西部に位置する場所。近くの登別漁港と白老港(しらおいこう)に水揚げされるスケソウダラを原料に、「最高級のブランドたらこ」と称されるたらこがつくられています。

「虎杖浜たらこ」がおいしい理由

虎杖浜たらこ「多良の子」400g ¥3,672(税込)
虎杖浜たらこ「多良の子」400g ¥3,672(税込)

「虎杖浜たらこ」は、なぜおいしいといわれるのでしょうか。松田さんは次のように話します。

「虎杖浜沖には、スケソウダラの産卵に適した大陸棚が存在します。そのため沿岸で、産卵期(12月頃)の完熟した卵を抱いたスケソウダラが水揚げされます。古くから地元でそれを生業とする小規模の加工業者は、まだ陽の昇らぬ早朝から船ごとに親魚を見て回り、それぞれの目利きで完熟卵を抱いた親魚を競り落とし買い付けて、原魚から製品に至るまで丁寧に一貫生産で仕上げることから、良質といわれるたらこが完成するものと思います。一般的には、腹出しした卵だけを買い付けて、たらこを加工するケースがほとんどです。親魚からの生産は、それだけこだわりが強いといえるのではないでしょうか」

高級たらこの中の高級たらこ「多良の子 極漬」

「多良の子 極漬」¥5,400~8,100(税込)
「多良の子 極漬」¥5,400~8,100(税込)

この虎杖浜たらこのうち、さらに高級を極めたという「多良の子 極漬(きわめつけ)」というものもあります。他の虎杖浜たらことどう違うのでしょうか。

「たらこ自体は、通常の虎杖浜たらこと同じものですが、選別基準を厳しくして仕上げたものです。通常は漬け上げたたらこを、色上がりやふくらみ、大きさや透明感などから判断して選別しますが、『極漬』においては腹出ししたばかりの生のたらこから、とくに完熟した卵を、前述の基準に沿った方法で選別してから漬け込みます」

漬ける前から厳しい選別基準で選ばれたたらこ、どのようなものなのか気になります。

「通常の虎杖浜たらこも、たらこが本来持つ旨味が強く、十分美味と思いますが、通常のものよりさらに嫌みがなく美味です。また、通常新鮮な肌色をしている漬け込み前の生のたらこのうち、白色に近い大きめの最も熟した原卵を厳選しているため、色ツヤが良くきれいで大きく、粒がしっかりしており、見た目からの食感にも満足いただけると思います」

高級たらこを究極においしくいただく方法

高級たらこを究極においしくいただく方法
高級たらこを究極においしくいただく方法

高級たらこを手に入れたら、ぜひとことんおいしく味わいたいものですが、果たして、どのような食べ方が最も、虎杖浜たらこをおいしく味わえるのでしょうか。

「やはり、塩たらこを生のまま熱々ごはんで食べるのが一番だと思います。おにぎりにも焼かずに生のまま入れるのがおすすめです。おにぎりのごはんの熱で適当に加熱され、独特の風味を醸し出します。また、オーソドックスではありますが、たらこスパゲティーは特においしいと感じます。加熱することにより、虎杖浜たらこ独特の風味が現出し、輸入物の調味料漬けのたらこや明太子とはひと味もふた味も違うスパゲティーに仕上がるものと思います」

産地ならでは!たらこの意外な食べ方

さらに、松田さんに、産地ならではの食べ方や、意外な食べ方を教えていただきました。

「塩漬けする前の生のたらこであれば、地元ならではの『たらこ和え』という食べ方があります。生のたらこを、つきこんにゃく(糸こんにゃく)などと一緒に、だしや醤油などで和え煮にしたものです。たらこ和えには、独特の旨味をさらに豊富に現出する、完熟期を過ぎた程度のものが最適です。また、産地ならではというわけではありませんが、たっぷりの塩たらことご飯を混ぜてそれをコロッケのように揚げたのも美味と思います。いわゆる西洋料理に、たらこのライスコロッケのようなメニューがあるようですが、その中でも、チーズを混ぜ込んだものはさらにおいしいですよ」

高級たらこの最もおいしいいただき方は、やはり熱々のご飯にのせること。いつもとは違うたらこの味わいによって、何よりも勝る一膳になりそうです。ときには、贅沢なたらこを追求してみるのもいいのではないでしょうか。

カネシメ松田水産
大正2年創業の地元最古参の水産会社。たらこ家虎杖浜(たらこやこじょうはま)と大漁番屋虎杖浜(たいりょうばんやこじょうはま)の2店舗を運営している。たらこ家虎杖浜ではイートインも併設しており、たらこを使ったメニューや天ぷらなどのメニューが大人気

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