連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する「Precious」の連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、世界を相手にビジネスを行うマテリアルメーカー「I.S.T」の代表取締役社長を務める阪根利子さんにインタビュー。

阪根さんのお父さまが1983年にわずか4人で立ち上げた会社を引継ぎ、今や、ほかにはないプラスチック樹脂などを用いた高機能素材を開発。新しいものをつくり、世に送り出していく “考える技能集団” として世界を股にかけ、活躍を続けている阪根さん。そんな阪根さんが手がけた新たなウール素材が今、注目を集めています。詳しくお話しをうかがいました。

阪根利子さん
株式会社「I.S.T」代表取締役社長
 (さかね・としこ)兵庫県出身。1995年、「I.S.T」入社と同時に渡米、米国支店の経理に着任。’00年、米国現地法人を設立し、現法及び支店のCEOに就任。’16年、I.S.Tグループ全体の代表取締役に就任。「プラチナウール(TM)」のほか、太陽電池の保護膜としてヨーロッパの民間人工衛星に搭載される「トーメッド」など、ほかにはない高機能素材を開発、製造している。

【Shiga】科学技術を加えて、高機能素材を開発。“プラチナウール(TM)”の開発ストーリー

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株式会社「I.S.T」代表取締役社長、阪根利子さん

「私が代表取締役社長を務めている『I.S.T』は、プラスチック樹脂などを用いた高機能素材を開発している “科学屋さん” です。社員の1/3が研究、開発者で、ほかにはない新しいものをつくって世に出していく “考える技能集団” でありたいと思っています」 

創業は1983年。阪根さんの父がわずか4人で立ち上げた会社が、今では世界を相手にビジネスを行うマテリアルメーカーにまで成長した。なかでも今、注目を浴びているのが新しいウール素材「プラチナウール(TM)」だ。

「開発の発想やアイディアは、世の中やお客様の困りごとを改善していくところから始まります。ウールはチクチクするというイメージがありますが、それを技術の力で肌触りよく仕立てたいと考えました。環境面においても、カシミアはヤギで生育も限られますが、羊ならば牧場で育てられるので素材が調達しやすい。そこで技術を加えてチクチク感を改善したところ、着心地がよくなっただけでなく、表面がなめらかになって美しいツヤ感まで加わりました。それもシルクのような輝きではなく、プラチナのようなマットな光沢。そこでこのネーミングにしたのです」 

今では、厳格な品質基準をもつオーストラリアの「ウールマーク カンパニー」のライセンスパートナーとなったり、世界最高峰のウール産地、イタリア・ビエラでの扱いが始まったりなど、各方面で展開が広がっている。「質のよいウールは買い占められていることが多いなか、なめらかな質感と美しい光沢をもつこの新素材を『業界のゲームチェンジャー』『ラグジュアリーの民主化』と評してくださる方々もいます。まだ新しい素材だから種まきを続けていかなければならないし、大変なことではあるけれど、自分たちの科学技術を広めていくというワクワク感は格別。日本から世界に向けて、テクノロジーの力で新しいスタンダードを生み出す。この挑戦を粛々と続けていきたいと考えています」

◇阪根利子さんに質問

Q 朝起きていちばんにやることは?
天気の確認。晴天と雨天で気分が左右されるので。 

Q 人から言われてうれしいほめ言葉は? 
「冴えているね」「読みが当たっているね」。この年齢になると、どんなほめ言葉もうれしいものです。 

Q 急にお休みがとれたらどう過ごす? 
休みは積極的に計画してとることが多いのですが、急に決まったとしたらドライブへ。

Q 仕事以外で新しく始めたいことは? 
解剖学を学んでみたい。

Q 10年後の自分は何をやっている? 
今の仕事を大成功させたのち、1ドル札1枚だけを握って人生の最期を迎えたい。なので10年後はそこに向けて楽しいことにお金を使い始めていると思います。

Q 自分を動物に例えると? 
モグラかな。叩かれても叩かれても、あの手この手で諦めない。

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PHOTO :
香西ジュン
EDIT :
本庄真穂、喜多容子 ・木村 晶(Precious)
取材 :
木佐貫久代