梅雨が明けて、暑い日々が続くと気持ちがだらけてしまいますよね。しかし、それでは上品な大人の女性の魅力は半減してしまいます。つい気がゆるんで、自宅と同じような振る舞いをするのは絶対にNG! だらしない態度は、周囲の士気をも下げてしまいます。

具体的には、どんな所作が印象を下げてしまうのでしょうか? 本記事では、日常のさまざまな分野でエレガンスを追究・実践する“エレガンシスト”のマダム由美子さんから、暑い日にやってしまいがちだけれど、周囲に下品に見えてしまっている9つの所作と、上品に見えるために気をつけるべきポイントをお聞きしました。

暑い日にやりがちだけれど「上品に見えない9つの所作」

■1:ゴシゴシと汗を拭く

ハンカチやハンドタオルをこすりつけるのはNG
ハンカチやハンドタオルをこすりつけるのはNG

暑いとどうしてもかいてしまう汗。でも、汗をかいたとき、そのままにしておくのは言うまでもありませんが、ゴシゴシ拭くのは美しく見えません。清潔感にも欠けるので、とくに人と会う前などは注意したいところ。

「汗を拭う時は、ハンカチまたは小型の四角いハンドタオルを使うのがベター。肌をこすらずに、上から押さえるようにするのがよいでしょう。ハンカチがなく、ティッシュを使う場合は、小さく折りたたんで、やはり軽く汗を押さえるようにしましょう」(マダム由美子さん)

ハンカチを持つ時も、手の基本の形、親指と中指を伸ばして挟むように持つのが、上品に見えるポイントです。

■2:周りに配慮せず制汗スプレーや香水を使う

暑くて汗をかくと、どうしても気になるのがにおい。帰社したときなど、制汗スプレーや香水を使う場面も増えると思います。しかし、真横に人がいるところで思いきりスプレーするのは、品位に欠ける行為といえます。

「身だしなみは、人前で堂々とするのではなく、控えめにしたいものです。スプレーは、顔を斜め45度下の方向に向け、うつむき加減で使用すると品よく見えます。また、香水の場合、つけるのは1日1回で十分です」(マダム由美子さん)

何事もやりすぎは逆効果。強すぎる香りは、かえって人に不快感を与える可能性もあります。周囲への配慮を忘れず、さりげなくまとうようにしていきましょう。

■3:日傘を雨傘のように差す

盾のように身を守りながら差すのはNG
盾のように身を守りながら差すのはNG

最近は、夏に日傘を持つことが一般的になり、男性にも広がっているようです。紫外線を防ぐだけでなく、暑さも軽減できるので、熱中症の予防にも効果的だとか。日傘を差す日が増えれば、その差し方も美しく見えるよう心がけたいものですね。

マダム由美子さんによると、「日傘はもともと貴族が使っていたもので、人を優雅に見せる小道具」ということで、雨傘で雨を遮るように体を縮こませて持つのは、NGなのだそうです。日傘を差すときは、「風の涼やかさも感じられるように、ボディーと肘の間に空間をつくると優雅に見える」とのこと。

太陽に向けて斜めに傾けるのではなく、軸が地面と垂直になるよう、まっすぐに持ちましょう。上半身の基本形、脇の下のりんごを意識して。

■4:ビールジョッキを握りしめて飲む

夏といえば、ビアガーデンの季節。クラフトビールやグランピングなど、新しいタイプのビアガーデンも出現し、女性が行く機会も増えてきました。ビールジョッキを持つとき、あなたはどんなふうに持っていますか?

「親指で真上から押さえるようにして、ジョッキの持ち手を握り込み、首をすぼめて飲む仕草は、あまり美しくありません。人差し指を持ち手に掛け、親指と中指でジョッキを挟み、左手の第1関節のあたりまでを底に添えます。鎖骨に飲ませるようなイメージで飲むと良いでしょう」(マダム由美子さん)

ビールジョッキを持つときの手
ビールジョッキを持つときの手

持ち手を握るのではなく、グラスを指で押さえるように持つことが大事。また、ジョッキに口を近づけるのではなく、ジョッキを鎖骨に向かって寄せ、そのまま真上に上げて、手首を曲げて飲むと綺麗に見えます。

ビールジョッキで飲むときの姿勢
ビールジョッキで飲むときの姿勢

■5:シャンパングラスをガチャンとぶつけて乾杯する

泡の爽やかな飲み口が合う暑い夏は、ビール同様、シャンパンもより美味しく感じられますよね。でも、シャンパングラスをビールジョッキのように、ガチャンとぶつけて乾杯するのはよくありません。

「居酒屋のような感覚で、グラスをぶつけるのは無作法です。本来、シャンパングラスは高価なものですし、お祝いの席で飲むことが多いですから、魅力ある上品な仕草を身につけたいもの。覚えておくと武器になります」(マダム由美子さん)

持ち方は基本の手の形で、親指と中指を伸ばしてグラスの足の部分を挟むように持ちます。

「シャンパングラスを持っている胸元の位置から、自分のおでこの位置まで真上に上げるのが美しい乾杯の仕方です。パーティーなどで大勢の方が集まる場合は、グラスを目線の上に15センチくらい上げるとよいでしょう。遠くの人へも乾杯の仕草がみえるので、コミュニケーションにもなります」(マダム由美子さん)

■6:足を広げてプールサイドのデッキチェアーに横たわる

足元が無防備になるのはNG
足元が無防備になるのはNG

近年、ナイトプールなども流行していますが、プールサイドのデッキチェアーに横たわるとき、足はどのようにしていますか?

「プールでは足を意識している人が少ないですね。歯科医院で治療を受けているときや、美容室でシャンプーをされているときも、足元が無防備に広がったり、だらしなくなりがちですが、これでは品がよくありません。横たわるときは、膝と足首をクロスして伸ばすと綺麗ですよ」(マダム由美子さん)

大人の女性なら、気が緩みがちなときでも、美しい姿勢を心がけたいものですね。

■7:指先を縮めて小刻みに枝豆を食べる

ビールのお供に欠かせないのが枝豆ですが、そんな枝豆の食べ方を意識している人は多くないのではないでしょうか?

「指先を縮めてハムスターのように小刻みに食べるのは美しくありません。基本の手の形のように、親指と中指を伸ばして枝豆を挟み、豆をキュッと押し出すように食べると綺麗に食べられるでしょう」(マダム由美子さん)

ちょっとしたしぐさで、人の印象は変わるもの。お酒を飲むときも、まずは小さなことから意識をして品のない印象を持たれないようにしていきましょう。

■8:首をすぼめて大きな音を立てながら麺類を食べる

そばと同じように他の麺も食べるのはNG
そばと同じように他の麺も食べるのはNG

冷たいものがおいしい季節、そうめんや冷製パスタを食べるとき、首をすぼめてズルズル音を立てるのは美しくありません。

そばを食べるとき、音を立ててすするのは、日本ではマナー違反ではありません。ただインターナショナルな現代、あまり大きな音を立てて食べるのは、上品に見えないこともあります。

「お蕎麦を箸で掴んだら、鎖骨に食べさせるように箸を運び、顔を斜め45度下に傾けて食べます。お蕎麦も一口パクッと口に入れてから、優しく吸うか、もしくはすすらずに、下の麺を箸で持ち上げて口へ運ぶと音が出ないので、相手に不快感を与えず、美しく見えるでしょう」(マダム由美子さん)

ちなみにバレエは、音を立てないように動くのが基本だそうです。今時、外国の方と食事をする機会もあるでしょう。どこへ行っても人に好印象を持たれる振る舞いができたら、上品な女性として恥ずかしくないですね。

■9:大きな口を開けてペットボトルの飲み物を飲む

暑い日は水分補給も大切ですから、ペットボトルで飲み物を飲むことも多いかと思います。そんなとき、どんなふうに飲んでいますか?

「ボトルの底に近い下の方を親指と中指で持って飲みます。飲み口の半分くらいのところで上唇を止めましょう。上まで大きく口を開けて飲むのは下品に見えます。飲む時も、正面でなく斜め45度に傾けて飲むと、印象は綺麗に見えるでしょう」(マダム由美子さん)

湯飲みやティーカップなどでお茶を飲むときは、飲み方も意識しやすいものの、ペットボトルだと飲み方など気にせず、つい無造作にゴクゴク飲んでしまいがち。それをペットボトルでもスマートに飲むことができたら、あなたの品位もワンランクアップしますよ。

これら9つの所作に気をつけて、マダムの教えを常に思い出し、しぐさが美しいという印象を持たれるよう心がけましょう。そうすれば、「上品な人」として人から一目置かれる存在になっていくはずですよ。

マダム由美子
エレガンシスト
(まだむ ゆみこ)社団法人日本ハイヒール協会理事長、ハイヒール研究家、中世西洋文化研究家。6才よりクラシックバレエをはじめ、ジャズダンス、アルゼンチンタンゴを習得。ライフテーマは、西洋のクラシックでエレガントな文化・芸術(バレエや香水、ファッションなど)から受け継がれる、女性本来の美しさの追究と新しいエレガンスの創造。外見・内面・ライフスタイルなどの幅広い分野で、中世西洋のエレガントな「美しさ」を 見つめ直し、現代の日本でも違和感のない形で取り入れ、 各メディアで「美しい生活」の提案を行っている。
公式サイト

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WRITING :
あわいこゆき
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