3年に一度開催される、日本ソムリエ協会主催の「全日本最優秀ソムリエコンクール」。第8回となる2017年は、4月11日、12日の2日間に渡って開催されました。編集部はそのコンクール会場にて潜入取材。全国から集まった精鋭たちによる、“日本一のソムリエ”をかけた熱き戦いの模様をレポートします。

本選に進出した24名のソムリエたち。

全129名のエントリーのなかから精鋭24名が本選に進出

全国5都市で開催された予選には、129名のソムリエがエントリー。ワインはもちろん、あらゆる飲料に関する知識や技術、資質などが国際基準に基づいて審査され、本選には予選を突破した精鋭24名が会場となるホテル雅叙園東京に集結しました。

ファイナリスト5名と、コンクール実行委員長の石田 博氏(写真左)、審査委員長の森 覚氏(写真右)。

本選初日の準々決勝、準決勝では筆記試験、ブラインドテイスティング、サービス実技のほか、「日本ソムリエ協会50周年記念パーティに向けた提案は?」「煮玉子に合うワインは?」といった課題も。審査は一部を除き英語で行われるため、提案力やプレゼンテーション力、判断力、洞察力に加え専門性を必要とする高レベルな語学力も必要とされます。初日に選出されたファイナリストは下記の5名(※上写真、左から順に)。

・井黒 卓氏(東京「ロオジエ」/29)

・岩田 渉氏(京都「Cave de K」/27)

・森本美雪氏(東京「コンラッド東京」/30)

・野坂昭彦氏(東京「ホテルニューオータニ」/40)

・星山厚豪氏(兵庫「YAKINIKU HOUSE れんがや」/39)

※( )内はコンクール出場時の勤務先と年齢

公開決勝の様子。写真右は日本ソムリエ協会会長の田崎真也氏。

本選2日目では、約800名の観客を迎えて公開決勝が行われました。今回のコンクールのために来日した2010年世界最優秀ソムリエ、ジェラール・バッセ氏を始めとする審査員たちを前に、ファイナリスト5名がステージ上でプレゼンテーション。甘口白ワインに合うアパタイザーの提案やブラインドテイスティングなど、全5問の課題を経て優勝者が発表されました。


左から日本ソムリエ協会会長の田崎真也氏、優勝した岩田 渉氏、ゲスト審査員のジェラール・バッセ氏。

優勝者は参加者中最年少かつコンクール初挑戦!

森 覚審査員長が「昨年の世界大会で苦戦した経験を糧に、“世界と戦える選手の選出を目指そう”とハイレベルな出題をそろえた」と語る本選を制したのは、27歳と今回の参加者中最年少かつコンクール初挑戦の岩田 渉さん。「トリッキーな問題をクリアしたファイナリストたちのなかでも、ことごとくポイントを押さえていた」(森審査委員長)と、高い評価を受けての優勝となりました。

「自信はありませんでしたが、“楽しんでいる人が勝つ”というジェラール氏の言葉に励まされました。勝因は“継続する力”だと思います。自分の努力のモチベーションは“探究心”。これから世界一を目指して頑張りたいと思います」(岩田さん)。

左から優勝者の岩田氏、準優勝した井黒氏。

岩田さんと準優勝の井黒さんは、来年10月に京都で開催される「A.S.I.(国際ソムリエ協会)アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」への参加資格を獲得。この大会の優勝者は2019年にベルギーで開催される「A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」に進出することができます。岩田さんの「世界一を目指したい」という言葉通り、まさに今回の栄誉は“世界への道”。岩田さんと井黒さんは共に現在20代で、海外在住経験があり語学も堪能な“新世代のソムリエ”。世界を視野に入れた今後のさらなる活躍に期待が高まります。

お問い合わせ先
一般社団法人日本ソムリエ協会
TEL:03-3256-2061
https://www.sommelier.jp/

 

この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2019.2.5 更新
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クレジット :
取材・文/門前直子
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