浴衣を買っても着る機会が少ないのは、何だかもったいないですよね。とはいえ、浴衣のTPOはイマイチわかりづらいもの。大人の浴衣は、お祭りや花火大会以外で、どんなシチュエーションなら着て出かけてOKなのでしょうか?

1着の浴衣で2つの着こなしをご紹介します

この疑問を、着物で外出する機会が多いという、スタイリストの犬走比佐乃さんにぶつけると、「浴衣に半幅帯ならご近所まで。着物と同じように、半襟を付けた襦袢や足袋、お太鼓に結んだ名古屋帯を合わせれば、夏ならではのおしゃれとして、電車に乗る外出時にも着ていいと思います」との回答が。

おでかけOKの範囲は、着こなし次第。ただ、外出するときは涼やかに見えることが重要。色柄の組み合わせはもちろん、透け感のある織物や、ざっくりした麻の素材感が生かされた、上質な浴衣を選ぶのが正解です。

だからといって、わざわざご近所用と電車外出用の浴衣を、それぞれ用意する必要はありません。帯や足袋などの組み合わせを変えれば、1枚の浴衣で2通りに着こなすことができるのです。

以下から、犬走さん流・浴衣の装いポイントをご紹介します。おでかけにもくつろぎにもピッタリなので、普段着で浴衣を取り入れたい人はぜひ参考にしてください!

着物大好きスタイリストが教える「普通の日でも浴衣を楽しむポイント」

■1:上質感と洒脱感のある半襟や帯留めで、颯爽なスタイルに変身!

ひとつめは、シャボン玉が飛んでいるような風情の浴衣の着こなしから。シボが立ってさらりとした肌触りの麻混の生地は、一般的な綿の平織りの浴衣地にはない上質感が。

犬走さん曰く、「着慣れない色で遊ぶのも大人浴衣の醍醐味。華やかなブルーは、軽やか素材の浴衣ならではです。くつろぎも外出も差し色は使わず、潔くブルーとホワイトの2色グラデーションで」とのこと。くつろぎ向けは帯と草履、おでかけ向けは半襟と帯留め、草履がポイントです。

【■1-1:くつろぎ向け】

九州地方の伝統織物、博多織の半幅帯は、貝の口や矢の字という粋な帯結びで。上質素材の竹草履も大人の贅沢。綿麻の浴衣[仕立て上がり価格]¥100,000・博多織の半幅帯¥50,000・胡麻竹の草履¥30,000(田園調布 秀や)、巾着バッグ¥22,000(アタリー)

(1)リバーシブルの博多帯

リバーシブルの博多帯

小さな文様を繰り返し、リボン状の柄に仕上げる伝統織物の博多織。これは両面使えるタイプで、縞ならメンズライクに、花皿という文様つなぎ面なら甘めコーディネートに…と重宝。

(2)胡麻竹の草履

胡麻竹の草履

台の表面に竹を張った草履は足当たりが気持ちよく、素足で履く浴衣向きの履物。工芸品にも使われることが多い小さな斑点がある胡麻竹で、ワンランクアップの着こなしに。

【■1-2:おでかけ向け】

織りの白い帯で格上げした装い。綿麻の浴衣[仕立て上がり価格]¥100,000・正絹の名古屋帯¥150,000・帯揚げ¥12,000・帯締め¥15,000・桐の草履¥15,000・ナンタケットバスケット¥230,000・麻の半襟¥9,000(田園調布 秀や)、帯留め¥17,000(伝統工芸 青山スクエア)、足袋¥2,600(GINZA 和貴)

(1)夏素材の半襟

夏素材の半襟

麻地に刺しゅう入りの半襟で遊び心を。半襟を付けた長襦袢を着て足袋をはくと、ぐっとかしこまった雰囲気に。浴衣に向くのは、麻素材や絽という変わり織り、レース地など。

(2)江戸切子の帯留め

江戸切子の帯留め

小さな青い石がきらめくようなガラスの帯留めは、東京の伝統工芸、江戸切子によるもの。色数も小物のボリュームも控えめにするのが、涼しげに見せる夏の装いの鉄則。

(3)芭蕉布の鼻緒

芭蕉布の鼻緒

沖縄の特産である芭蕉布の鼻緒がすげられた、桐の草履。染料も素材もすべて自然のものである芭蕉布は、重要無形文化財にも指定されている手仕事もの。桐と芭蕉布の贅沢な逸品。


■2:帯や小物で締め色を効かせてシックで粋な着こなしに変身!

こちらは、日中と夜の外出にふさわしい2通りの着こなし。手筋(てすじ)絞りという絞り染めの麻着尺は、浴衣でも、盛夏の着物としてでも着用可能。

犬走さん曰く、「半幅帯での軽い装いも、ボリュームを出した帯結びにすると外出感が高まります。しっかり透け感のある名古屋帯にバッグや草履など上質素材の小物を選べば、ディナーなど夜のお誘いにも」とのこと。

くつろぎ向けは大人かわいいご近所コーディネート、おでかけ向けは黒を効かせた大人のシックな装いに。締め色の小物もポイントです。

【■2-1:くつろぎ向け】

フリーハンドで描いたようなやわらかな線で縞模様を描いたモノトーンの浴衣に、鮮やかなフレッシュカラーの帯。下駄の黒で引き締めて。麻の浴衣¥65,000・麻の半幅帯¥18,500・桐の下駄¥24,000(GINZA和貴)、バッグ¥29,000(アタリー)、日傘¥23,000(田園調布 秀や)

(1)バイカラーの帯

バイカラーの帯

リバーシブルで使える無地の麻帯。ボリュームアップしたい半幅帯での着こなしには、裏表で違いのはっきりしたものを。無地のバイカラーなら、コンパクトにも着こなせる。

(2)チャーミングな日傘

チャーミングな日傘

昼間の外出に欠かせない日傘も、装いの一部だと心して選択。グレージュの厚手の麻生地に寒色のドット刺しゅう、竹の柄のこの日傘なら、さまざまなコーディネートに対応。

【■2-2:お出かけ向け】

半襟も足袋も麻素材を合わせた、おしゃれ着としての組み合わせ。麻の浴衣¥65,000・名古屋帯¥230,000・帯揚げ¥9,800・帯締め¥25,000・ラフィアの草履¥30,000・小千谷縮の半襟¥5,500・麻の足袋¥3,500・扇子¥100,000(GINZA 和貴)、バッグ¥125,000(田園調布 秀や)

(1)シルバーの扇子

シルバーの扇子

浴衣や夏着物に、手にしているだけで涼を誘う扇子も必需品。竹や白檀なども涼しげだが、親骨にシルバーを用い、秋草の柄を張った扇子は超極上品。浴衣での会などで差がつきます。

(2)黒柿のハンドバッグ

黒柿のハンドバッグ

ラフィアや竹などのかごバッグは昼間のもの。夜の外出には、天然素材でもワンランク上のものを。高級木材の黒柿とレザーを使用したバッグを合わせれば、完璧な装いに。

(3)麻の足袋

麻の足袋

浴衣に帯、半襟と、透け感のある素材での着合わせなら、仕上げに麻の白足袋は必需品。夏の装いの極意は清潔感なので、汚れたらはき替えられるよう予備の用意も大人のたしなみ。

以上、手元の浴衣も、上記のように小物をプラスするだけで印象が大きく変わることが、おわかりいただけたかと思います。とくに半襟と足袋を変えると、雰囲気がガラッと変わります。今夏は浴衣をうまく着こなして、おでかけを楽しんでみてください!

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PHOTO :
佐藤 彩
STYLIST :
犬走比佐乃
EDIT :
小竹智子、中村絵里子(Precious)