夏の風物詩、そうめん。めんつゆや薬味の香りが、暑い夏がやって来たことを実感させてくれますよね。また、あの白くつるんとした麺が光るビジュアルは、日本人なら胸がときめくはず。

そんなそうめんですが、最も贅沢ないただき方を追求してみるのもひとつの楽しみです。そこで今回は、そうめん研究家の方や有名メーカーの方に、そうめんの選び方やおいしい食べ方について教わります。

「贅沢なそうめん」を決める4つの条件

そうめんと贅沢とはあまり結びつかないものですが、そうめんの本質を理解し、とことん味わうことこそ、贅沢な味わい方といえるのではないでしょうか。もちろん、贅沢の条件は人それぞれですが、そうめん研究家としては、ただ「海老の天ぷらを添えれば贅沢」というわけではないようです。

涼しげなそうめん
「贅沢なそうめん」を決める4つの条件

そうめん研究家のソーメン二郎さんの出身は、日本三大そうめん産地のひとつ、奈良県桜井市。三輪(みわ)そうめんの発祥の地で知られています。本家の姉夫婦が三輪そうめん製麺所を営んでおり、幼きころからお米のご飯のように、そうめんに親しんでいたといいます。

そんなそうめんを知り尽くしたソーメン二郎さんにとっての、贅沢でおいしい極上のそうめんの条件を教えていただきました。

■1:産地が明記してある手延べそうめんであること
■2:機械麺ではないこと
■3:小麦の香り、コシ、のどごしにバランス感があること
■4:ゆで太りしないこと

手延べそうめんとは生地を棒状にし、2本の箸にかけてゆっくり引き延ばしていく作業を繰り返すことで、麺を細くしていきます。その手延べの方法は独特のもので、ねじりながら編み込むように延ばしていくところに特徴があります。これにより、強く弾力がありながら、口に含むとなめらかでやわらかい感覚がありつつも、噛むと歯切れが良いといった優れた食感を生み出します。

また、機械麺とは機械で圧力をかけて生地をこね、平板状にして千切りし乾燥させてつくる方法です。

そうめんを箸で持ち上げる様子
「贅沢なそうめん」を決める4つの条件

プロが教える「高級そうめん」の選び方

次に、ソーメン二郎さんに、高級手延べそうめんやおいしいそうめんの選び方を伺いました。

「そうめんを選ぶポイントは、各地のそうめん製麺所の手延べそうめんを味比べして、自分がおいしいと思うそうめんを選ぶことです。三輪そうめん、揖保乃糸、小豆島そうめん、島原そうめん、半田そうめんなどがあります」

手延べそうめんには、全国各地にたくさんの産地があります。ひと通り知っておきましょう!

・岩手県「卵めん」
・宮城県「白石温麺(うーめん)」
・富山県「大門そうめん」
・愛知県「和泉そうめん」
・三重県「大矢知そうめん」
・奈良県「三輪そうめん」
・兵庫県「揖保乃糸」「播州そうめん」
・岡山県「備中そうめん」
・山口県「菊川そうめん」
・愛媛県「五色そうめん」
・香川県「小豆島そうめん」
・徳島県「半田そうめん」
・佐賀県「神崎そうめん」
・長崎県「島原そうめん」
・熊本県「南関そうめん」

5つの「有名そうめん」、それぞれの味の特徴は?

このうち、ソーメン二郎さんに、三輪そうめん、揖保乃糸、小豆島そうめん、島原そうめん、半田そうめんの特徴と味を教えていただきました。

■1:三輪そうめん

三輪の神杉
三輪の神杉 50g×30束 ¥5,000(税抜)

「奈良県桜井市の名産品。そうめんのルーツとされ、強靭なコシと極細麺は、夏の清涼感を感じさせ、お中元に選ばれる代表的な品。三輪山が御神体の大神神社の周辺には、三輪そうめん製麺所が密集しています」

■2:揖保乃糸

揖保乃糸 三神
揖保乃糸 三神(さんしん)※一部有名百貨店で取り扱い。数量限定。

「約430の製麺所からなる兵庫県手延素麵協同組合のブランド品である手延べそうめん。全国的な流通とブランドを誇ります。特級品、上級品、縒つむぎなどの等級があり、そのさらに上の三神(さんしん)は神業的な超極細麺です」

■3:小豆島そうめん

島の光
島の光

「香川県の代表的な名産品。名産品のごま油、瀬戸内の食塩を使用したこだわりの手延べそうめんです。小豆島手延素麺協同組合のブランド品が「島の光」です」

■4:島原そうめん

「長崎の手延べそうめん。小麦や水にこだわったつくりでコシがあり、のどごしも清涼感に富んでいます。九州では定番の逸品。沖縄のチャンプルーは島原そうめんを使用しています」

■5:半田そうめん

「徳島の手延べそうめん。ひやむぎくらいの太さで、ほかのそうめんとはまったく違うのどごし感、コシの強さで人気です。徳島の名産品である、すだちと一緒に食べるスタイルが人気急上昇中」

そうめん組合が教える!極上のそうめんのおいしい食べ方

極上のそうめんを手に入れたら、ぜひおいしくいただきたいものです。そこで三輪そうめん、揖保乃糸、小豆島そうめんの3つのそうめん組合の方に、そうめんのおいしいゆで方とおすすめの麺つゆを教えていただきました。

おいしいゆで方とおすすめの麺つゆのつくり方

●三輪そうめん

【ゆで方のポイント】
水の量:1束50gに対し水3カップ(600ml)
ゆで時間:2分間
おいしくゆでるコツ:ゆで湯の温度が下がらないよう、水を足さずに火を弱めてふきこぼれを防ぐ。

【おすすめの麺つゆ】
・昆布とかつおの合わせだし

https://www.miwasoumen-kumiai.com/

●揖保乃糸

【ゆで方のポイント】
水の量:1人前2束100gに対して1リットル
ゆで時間:1分30秒~2分が目安
おいしくゆでるコツ:ゆであがった麺を素早くザルに移し、水で粗熱を取った後、清水を流しながらよくもみ洗いする。再度氷水で冷やしてしめる。麺つゆも冷やすとよい。

【おすすめの麺つゆ】
・昆布とかつおのだし
・椎茸だし
・干し海老のだし

http://www.ibonoito.or.jp/recipe/boil.html

●小豆島そうめん

【ゆで方のポイント】
水の量:そうめん6把(3人分)の場合、3リットル
ゆで時間:約2分
おいしくゆでるコツ:よく沸騰したら、麺をほぐしながらパラパラと湯の中へ落とし入れる。しばらくすると麺が浮きあがり、半透明の状態になるため、ここでゆで加減を一度確認。ゆですぎないように注意。

【おすすめの麺つゆ】
・めんつゆの中に数滴オリーブオイルを入れたもの

http://www.shimanohikari.or.jp/tips.html

そして最後に、気になるソーメン二郎さんにとっての極上のそうめんのおいしい食べ方は…?

「まずは、エクストラバージンオイルと岩塩だけで食べてみてください。そしてそうめんそのものの小麦の香りを味わってください」

さすが、そうめん研究家とあって、そうめん本来の味を楽しむ、麺つゆに頼らない味わい方。しかもエクストラバージンオイルと岩塩という日本の伝統を覆す味わい方とは!

ぜひ今年の夏、「極上のそうめん」を食卓で堪能してみてください!

ソーメン二郎さん
『そ道』 家元、そうめん研究家
(そーめんじろう)三輪そうめんの里、奈良県桜井市生まれ。「そうめん道」ブログ主宰。『簡単!極旨!そうめんレシピ』(扶桑社)発売中。
http://somendo.blogspot.com
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利