観光列車で、夏の海の景色を楽しむ旅へ

「日本の渚百選」にも選ばれている景勝地・御輿来海岸沿いを走る「特急 A列車で行こう」や、錦江湾と桜島のコラボレーションが美しい「特急 指宿のたまて箱」など、夏休みは観光列車で海の景色を楽しみませんか? 車内販売のご当地グルメを食べながら、ゆったり旅を楽しみましょう!

今回は、オーシャンビューが美しい全国の観光列車を5つ、阪急交通社の大平さんに教えていただきました。

■1:山陰の名勝、萩・長門・下関を巡る列車「○○のはなし」

山口県の萩、長門、下関を巡る観光列車「○○のはなし」。“はなし”は萩、長門、下関の頭文字からとっています。新下関駅~下関駅~長門市駅~東萩駅の区間で運行され、東萩駅発の下り列車のみ、停車駅に仙崎駅が加わります。

「○○のはなし」の外装。下関市の花であり、山陰線沿線に咲く花「ハマユウ」や、萩市の果樹に指定されており、天然記念物の原木が長門市に現存する「夏みかん」、世界へとつながる美しい海があしらわれている

山口県は、日本と西洋をひき合わせるきっかけとなった歴史があるため、列車のデザインは“和”と“洋”を意識。外装には、日本と西洋を繋いだ「海」と、山陰線沿線に咲く花「ハマユウ」、萩市の果樹に指定されている「夏みかん」をあしらっています。内装は、1号車が“和”、2号車が“洋”をテーマにした空間となっており、車窓からは山陰のダイナミックな自然美を臨めます。

1号車の内装
2号車の内装

下関の名産・ふく(ふぐ)や長州地鶏など、地元食材を使った特製弁当が魅力

乗車3日前までに予約をすれば、車内で特製のお弁当もいただけます。下関駅~東萩駅行きでは、高杉晋作も愛したとされる、下関の老舗料亭「古串屋」が手掛ける「夢のはなし弁当」と、長門湯本温泉「大谷山荘」の料理長監修による「長門おとずれ弁当」を提供。

下関の老舗料亭「古串屋」の「夢のはなし弁当」
長門湯本温泉「大谷山荘」の料理長監修による「長門おとずれ弁当」

「夢のはなし弁当」は下関の名産・ふく(ふぐ)をはじめ、うにや鯨など、響灘の贅沢な味覚が勢ぞろいした一品。「長門おとずれ弁当」は、日本海の幸や長州地鶏など、地元食材をふんだんに使ったメニューが詰まっています。

おつまみセットやスイーツセットも好評の「○○のはなし」

東萩駅~下関駅・新下関駅行きでは、萩で最も古い割烹料理店「千代」の「萩のおつまみセット」と、地元の人気洋菓子店「Sweetsうきしま工房」の「萩のスイーツセット」がラインナップ。

地元の人気洋菓子店「Sweetsうきしま工房」が手がける「萩のスイーツセット」
萩で最も古い割烹料理店「千代」による「萩のおつまみセット」

「萩のおつまみセット」は、板長自らが萩の食材を厳選し、一品一品丹精込めてつくったセット。車内で販売している、山口の地酒と一緒にどうぞ。「萩のスイーツセット」は、酒かすを使ったマドレーヌなど、素材の旨味を活かしたスイーツが味わえます。

「○○のはなし」沿線で訪れたい! 話題の観光スポット&ご当地グルメ

「○○のはなし」沿線には、ぜひ訪れたい話題のスポットが多数あります。

・世界の絶景ランキング入りの「角島大橋」、「星野リゾート 界」などの観光スポット

角島大橋

コバルトブルーの海の上を走る、世界の絶景ランキングTOP3にも入った「角島大橋」や、赤い鳥居が連なる様子が青い海に映える「元乃隅稲荷神社」、世界遺産の「松下村塾」、「萩城下町」があり、連日多くの観光客で賑わいます。さらに2019年には、長門市の長門湯本温泉に「星野リゾート 界」も完成予定です。

・夏みかん、瓦そば、ふく(ふぐ)、辛子明太子などのご当地グルメ

萩市の夏みかんや、下関郊外にある川棚温泉の名物「瓦そば」など、グルメも充実。山口県の海では、冬は新鮮なふく(ふぐ)、夏は良質な鱧が獲れるので、こちらもぜひ味わいたいところです。

また、関門海峡を挟んだ先にある福岡県の名物「辛子明太子」は、実は下関発祥なのだそう。下関にもおいしい辛子明太子を販売するお店が多数あります。

✔「〇〇のはなし」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!

・小串駅~湯玉駅の海沿い

小串駅~湯玉駅の車窓

新下関駅から長門市駅の間にある、小串駅と湯玉駅。山口県西部と接する響灘沿いにあり、小串駅から隣の湯玉駅までは、響灘の海岸線ギリギリを走ります。クリアブルーの海が窓一面に映し出され、美しさと迫力がある車窓となっています。

・黄波戸駅~長門市駅の海沿い

黄波戸駅~長門市駅の車窓

長門市駅の1つ前、黄波戸駅を過ぎた後の風景も絶景! 長門市駅に近づくと深川湾沿いを走るようになり、ビーチの砂浜とマリンブルーの海のコントラストを楽しめます。

・三見駅~玉江駅の海沿い

三見駅~玉江駅の車窓

三見駅と玉江駅は、長門市駅から萩駅の間にある駅。2駅の中間区間は日本海沿いを走行し、果てしなく続く青い海を臨むことができます。

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■2:南蛮文化の魅力を随所に取り入れた、熊本の大自然を走る観光列車「特急 A列車で行こう」

「特急 A列車で行こう」の外装。南蛮文化を意識した、華やかなデザインが特徴

「16世紀の天草に伝わった南蛮文化」をテーマにデザインされた、華やかな外観の観光列車「特急 A列車で行こう」。内装も美しく、色鮮やかなステンドグラスや、落ち着いた色調の木が、特別な旅の空間を演出します。列車は、熊本駅~三角駅で運行されています。

車内には彩り豊かなステンドグラスが配されている

「JR九州の中でも人気が高い観光列車です。ステンドグラスから光が差し込む車内では、優雅なひと時が過ごせますよ。車内には子ども用の椅子も設けられているので、家族で楽しめるのもうれしいですね」(阪急交通社・大平さん)。

地酒が楽しめるバー「A-TRAIN BAR」で、デコポンを使った「Aハイボール」を

デコポンをアレンジした「Aハイボール」などがいただける

2両編成のうち、1号車には、地酒などのドリンクが楽しめるバー「A-TRAIN BAR」を設置。デコポンをアレンジした「Aハイボール」などが提供されています。隣には共用のソファーが配されているので、ドリンクを片手にゆっくりとくつろぐことも。

地酒などのドリンクが楽しめる「A-TRAIN BAR」
「A-TRAIN BAR」の近くには、ゆったりくつろげる共用のソファーも

地アイス「塩バニラ」や「天草塩キャラメル」などのご当地スイーツも

列車の中では、天草特産の塩を使用した地アイス「塩バニラ」や、「天草塩キャラメル」などのスイーツも販売! 一緒に味わってみてはいかが?

天草の塩を使った地アイス「塩バニラ」
ほど良い塩気が甘さを引き立てる「天草塩キャラメル」

半個室のような「セミコンパートメント」の座席は、大人数での利用向き

セミコンパートメントの座席とソファー席が配された2号車

2号車は、高めの仕切りを設け、半個室のようなつくりになっているセミコンパートメントの座席と、ソファー席を配置しています。セミコンパートメント席には折り畳み式の大きなテーブルが付いているので、家族旅行など大人数での利用にぴったり! 窓に向かって座れる「子ども席」もあります。

「○○のはなし」沿線で訪れたい!話題のスポット

・世界文化遺産「天草の﨑津集落(あまくさのさきつしゅうらく)」

終点の三角駅から少し足を延ばせば、世界文化遺産に登録された「天草の﨑津集落(あまくさのさきつしゅうらく)」がある、天草地方の観光を楽しむことも。当時の歴史を肌で感じながら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

✔「特急 A列車で行こう」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!

・御輿来海岸(おこしきかいがん)

御輿来海岸沿いを走行する「特急 A列車で行こう」

熊本県宇土市の北側にある海岸で、「日本の渚百選」にも選ばれている景勝地。晴れた日には、有明海を挟んだ対岸にある雲仙普賢岳を望むことも! また、干潮時には、潮が引いた後に美しい砂紋を見ることができます。

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■3:神話が息づく宮崎の大地と海を、車窓から楽しむ!「特急 海幸山幸」

「特急 海幸山幸」の外装。日南市周辺で植林されている「飫肥杉(おびすぎ)」を用いている

「木のおもちゃのようなリゾート列車」をコンセプトに掲げ、宮崎駅~南郷駅で運行されている「特急 海幸山幸」。列車外装には、日南市周辺で植林されている「飫肥杉(おびすぎ)」をふんだんに使用。飫肥杉は宮崎県の県の木に指定されており、耐水性に優れることから、江戸時代には木造船の材料に用いられていたといいます。

海幸山幸の名前の由来は、日本神話に登場する兄弟「海幸彦」と「山幸彦」から。宮崎県には海幸彦と山幸彦に関する伝説が残っており、神話が息づく宮崎の美しい自然の中を走ります。

日南海岸の青い海や、瑞々しい山の景色を車窓から楽しめる「特急 海幸山幸」

列車は2両編成で、1号車が「海幸」、2号車が「山幸」となっています。両車両にはゆったりと座れるリクライニングシートとソファーシートを設置。リラックスした状態で、日南海岸の青い海や、瑞々しい山の景色を車窓から楽しめます。

1号車の内装

「先頭車両では、アテンダントさんが”海幸彦と山幸彦の伝説”を紙芝居で披露してくれます。宮崎に伝わる伝説を知ることで、きっと旅がより深く楽しいものになると思いますよ!」(大平さん)。

車内の随所に、海幸彦と山幸彦に関する意匠が凝らされている
2号車の内装

「特急 海幸山幸」で味わえる宮崎の地ビールや焼酎

車内販売では、爽やかできりっとした味が特徴の宮崎の地ビール「太陽のラガー」や、白麹と黒麹をブレンドし、まろやかな風味に仕上げた焼酎「海幸山幸」などを販売。風光明媚な風景と一緒に味わう地元のお酒は、また格別です。

宮崎の地ビール「太陽のラガー」
まろやかな風味が特徴の焼酎「海幸山幸」

✔「特急 海幸山幸」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!

・青島駅~北郷駅「鬼の洗濯板」

車窓から見える、名勝・鬼の洗濯板

宮崎県宮崎市の青島周辺には、「鬼の洗濯板」と称される波状の岩が広がります。自然が長い時間をかけて織り成した風景は、神秘的でダイナミック! 国の天然記念物にも指定されており、宮崎県を代表する景勝地として多くの観光客が訪れています。

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■4:玉手箱のように白い霧が出る仕掛けが人気!「特急 指宿のたまて箱」

「特急 指宿のたまて箱」の外装。ドアが開く時は玉手箱のように、ドア上部から白い霧が出てくる

薩摩半島に伝わる竜宮伝説をモチーフにした「特急 指宿のたまて箱」。白と黒で半分に塗り分けた外装が、インパクトのある観光列車です。昔話『浦島太郎』の玉手箱にちなみ、ドアが開くときに、ドアの上部から白い霧がシューッと出てくる仕掛けも! 鹿児島中央駅~指宿駅間を走行しています。

指宿に関する本を集めた「特急 指宿のたまて箱」1号車

1号車の壁面や椅子には、客船やヨットに用いられる木材「チーク材」を使用。海を間近に臨めるカウンター付きの回転椅子や、指宿に関する本を集めた本棚が設置されています。

1号車の本棚。指宿に関する本がズラリと並ぶ

海を間近に臨める回転椅子がある「特急 指宿のたまて箱」2号車

2号車を彩る木材は、南九州産の杉材。こちらも海が臨める回転椅子と本棚が配されています。そのほか、背の低いカウンターが付いているキッズチェアも! 家族旅行がもっと楽しくなりそうです。

2号車の回転椅子
2号車の内装

「特急 指宿のたまて箱」で味わえるオリジナルスイーツ

車内では、「いぶたまプリン」や「カメロンパン」など、オリジナルスイーツを販売。いぶたまプリンは、フレッシュな卵と牛乳で作ったクレームアメリと、濃厚な黒ゴマが2層になっているプリン。黒ゴマの旨味がしっかりと効いており、クレームアメリとの相性も抜群! 人気商品なので、売り切れることもあるそうです。

クレームアメリと黒ゴマの組み合わせが絶妙な「いぶたまプリン」

「カメロンパン」は、浦島太郎を竜宮城へ招待した亀をイメージしたメロンパン。亀の甲羅を象っており、列車の外観と同じツートンカラーになっています。パンの中には、さつまいものペーストが入っています。

列車の外観と同じツートンカラーが可愛らしい「カメロンパン」

✔「特急 指宿のたまて箱」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!

・錦江湾と桜島

桜島を臨みながら錦江湾沿いを走行する「特急 指宿のたまて箱」

鹿児島中央駅を出発後、車窓からは錦江湾に浮かぶ桜島が眺められます。たくましく雄大な桜島と、青く広がる錦江湾のコラボレーションは絶景です。

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■5:沿線名物のお弁当や地酒と一緒に、鹿児島の風景を楽しむ!「特急 はやとの風」

「特急 はやとの風」の外装。スタイリッシュでシックな車体が印象的

スタイリッシュな漆黒のボディに金色の文字が映える、シックな車体が印象的な「特急 はやとの風」。吉松駅~鹿児島中央駅で運行されており、車窓からはのどかな田園風景や、錦江湾に浮かぶ桜島を眺めることができます。

「途中停車する嘉例川駅も見どころです。駅舎が明治時代の姿のまま保存されていて、昔懐かしい、趣のある雰囲気が漂います」(大平さん)。

車両ごとに異なる趣を感じる「特急 はやとの風」

車内は木をふんだんに用いており、1号車は明るい色調の木材を使用。2号車は、品のあるレッドブラウンの木材で統一しており、車両ごとに異なる趣を感じられます。

1号車の内装
2号車の内装

「特急 はやとの風」展望スペースから絶景を望む

1号車と2号車にはそれぞれ展望スペースを設置。沿線の絶景を大パノラマで望めます。

1号車と2号車には、それぞれ展望スペースを設置!

「特急 はやとの風」で味わえる贅沢な駅弁「百年の旅物語かれい川」

1号車にはサービスカウンターも! ここでは、オリジナルの駅弁やドリンク、スイーツ等を買うことができます。人気の駅弁「百年の旅物語かれい川」は、嘉例川産の椎茸と筍の炊き込みご飯や、紅さつまの天ぷら「ガネ」など数品のおかずが入った、贅沢なお弁当。地元食材にこだわり、すべて手作りです。お弁当は、JR九州のみどりの窓口等で事前に「駅弁引換券」を購入する必要があります。

ご当地発泡酒「サツマゴールド」や、安納芋の「黄金のプリン」も人気

南薩摩特産のさつま芋「黄金千貫」を用いた発泡酒「サツマゴールド」

そのほか、南薩摩特産のさつま芋「黄金千貫(こがねせんがん)」を原料とした発泡酒「サツマゴールド」や、土日祝に数量限定で販売される、種子島産の安納芋を使用したプリン「黄金のプリン」などがラインナップ。乗車をしたら、ぜひ食べておきたいところです。

✔「特急 はやとの風」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!

・錦江湾と桜島

車内から眺めることができる、桜島と錦江湾の風景

こちらも錦江湾と桜島が絶景ポイント! 鹿児島市内に入ると見ることができ、市内を出て指宿方面へ向かう「たまて箱」とは異なる表情の風景が楽しめます。

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観光列車を利用すれば、旅の思い出がもっと特別なものになりそうですね。今年の夏休みや秋の行楽シーズンに、ぜひ乗車してみてはいかがでしょうか? 観光列車は座席数が限られているため、早めの予約がおすすめです。

取材協力・画像提供

西日本旅客鉄道 広島支社
九州旅客鉄道

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
ニッタハル (晴レノ日スタヂオ )