海辺やテラス、庭で日差しを和らげ優雅な空間を演出してくれるパラソル。プールサイドやビーチに置けばラグジュアリーなリゾート感が。カフェテリアや庭に置けば、まるでイングリッシュガーデンのようなヨーロッパの香りが漂います。
「イタリアをはじめとする欧米諸国で街を歩けば、パラソルを見ない日はないといっても過言ではないほど親しまれた文化なんですよ」と語るのは、スコラロジャパンの岩城正行さんと川辺憲慶さん。スコラロ社は、イタリアでパラソルをつくり続けて50年以上の歴史を持ち、世界50か国以上に展開している老舗メーカー。スコラロジャパンはその日本総輸入元として、パラソルの販売および設置・メンテナンスを手がけています。
日本でも近年エクステリアとして注目の集まっているパラソルについて、そのお値段やお手入れ方法を詳しく伺いました。
パラソルの設置、人気の理由はおしゃれさと手軽さ!
設置が多いのは、リゾート地やレストランのテラス席
―― 大型のパラソルは、どのような場所に設置されることが多いのでしょうか?
「まずは、リゾート地ですね。リゾートホテルのガーデンやテラス、プライベートビーチ沿いなどに設置されることが多いです」(川辺さん)
「リゾート地以外では、レストランやショッピングモールなどの屋上やフラワーガーデンなどの屋外施設への設置も多いです」(川辺さん)
「日本ではパラソルというと海を連想されがちですが、緑の中でもまた異なった雰囲気を醸し出します。パラソルの支柱は一本だけなので、景色を遮るものが少ないんです。木々と同じような立ち姿で日差しを遮り、広々とした涼しい風が吹く空間を創り出してくれるんですよ」(川辺さん)
個人宅への導入ではプールサイドが人気!
―― 個人による導入もあるのでしょうか?
「はい、あります。個人宅で導入が多いのはプールサイドですね」(川辺さん)
―― プールにパラソル、夏らしいですね!
「エクステリア業界では、プールの設置が200万円程度でできるようになってきました。それによって、別荘などにプールをつくる方も増えています。でも、プールだけでは少しさみしい。プールサイドに休める場も欲しくなりますよね。そこでパラソルを設置される方が多いんです。年々、個人のプールサイドへの設置は増えています」(川辺さん)
パラソル注目のポイントは、好きなところに設置できる自由度の高さ
―― 年々設置が増えているとのことですが、パラソルはいつごろから注目されるように?
「注目されはじめたのは、2・3年前ぐらいでしょうか。それまでは『パラソル』というとビーチパラソルをイメージされやすかったですし、レストランなどの店舗では、軒先からシェードを伸ばす『オーニング』という日よけを使うことが多かったんです」(岩城さん)
―― 確かに、軒先から伸ばした日よけは以前からカフェで見かけることがありました。なぜ、オーニングからパラソルが注目されるようになったのでしょうか?
「オーニングだと、壁がないと日陰がつくれません。また、シェードを伸ばせる長さにも限界があります。そのため、好きなところに十分な日陰をつくれないんです。そこで、最初はビーチパラソルのような安価なパラソルを買ってきて使う方もいました。ただ、やはり安価なものだとすぐに骨が折れたり、傘が破れたりしやすい。『それならしっかりしたものを』と、本場のパラソルが注目されるようになりました」(岩城さん)
―― なるほど、パラソルは足場さえあれば好きなところに設置して日陰をつくれるんですね。
「そうなんです。さらに、日差しに合わせて傘の角度や向きを変えることができるモデルもあります。また、先ほど申し上げたようにパラソルはテントとも異なり、支柱が1本なので空間に広がりが出ます。簡単に畳むことができるのも魅力です。最近では、イベント出店の日よけに使うこともあるんですよ」(岩城さん)
種類豊富なパラソル、導入にはいくら必要?
最大サイズは36㎡!手軽なタイプは¥82,280〜
―― 現在スコラロジャパンで扱っている最大のパラソルは、どのぐらいのサイズでしょう?
「『カプリ6060』というモデルが、弊社の扱う物で最大、かつ最も高価な商品です。サイズは、6m×6mの36㎡、本体価格¥888,000になります」(川辺さん)
――36㎡!広いリビングと同じくらいありますね。そんな大きさ、どこに設置するのですか?
「最近導入したところだと、パークゴルフ場です。ゴルフ場は日差しからの逃げ場が少ないんです。この大きさの日よけでパラソルほど手軽に設置できるものはほかにないので、導入を希望される施設も多いんですよ」(川辺さん)
―― では、個人宅で導入が多いのは、どのようなモデルですか?
「弊社の取り扱いで最も手軽に購入でき、個人のお客様による導入が多いのは『ヴェーラ』という商品です。本体価格¥82,280になります」(岩城さん)
―― ヨットの帆のような、変わったデザインですね。
「まさに、『ヴェーラ』とはイタリア語で『帆』という意味です。洗練された都会的なスタイリッシュさと、海辺のリゾートのような雰囲気を演出します。1本でもおしゃれですが、複数本並べておくとまたひと味違った雰囲気になりますよ」(岩城さん)
―― パラソルを設置するとき、本体のほかに必要なものはありますか?
「ベースと呼ばれる重石が必要です。ベースには、丸型タイプ、平磐タイプ、またポッド部分にお花を植えられるポッド型があります。価格は形により異なりますが、¥15,000〜¥60,000です」(川辺さん)
「ベースを使わずに、本体の支柱を地面に埋め込むこともできます。プールサイドなどでは、ベースに足を引っ掛けてしまうと危ないと、埋め込みを希望される方も多いです」(川辺さん)
パラソルにも世代あり。第一世代から第四世代までの変遷
―― ひと口にパラソルといっても、さまざまなデザインがありますが、大きく分けるとどのような違いがありますか?
「まず、傘を支える支柱の位置の違いが挙げられます。先ほど紹介した『カプリ6060』や『ヴェーラ』のように支柱が中央にあるセンターポールタイプと、傘が支柱の横にカサブランカのようにぶら下がるブラッチョタイプです。
このふたつは時代や性能の変化というよりも、デザイン性や用途の違いが大きいです。ブラッチョタイプは傘の下全体を使えるので、日陰のデッドスペースが減るのがポイント。傘の角度や向きを変えられるデザインもあり、人気です」(岩城さん)
―― 時代によるデザインの変化もあるのですか?
「あります。第一世代と呼ばれる最初のパラソルは、支柱や骨が木材でした。第二世代では、風雨に強いアルミ素材になりました。第二世代までのブラッチョタイプのパラソルは、開いたときも閉じたときも傘のトップの位置は変わりません。支柱に腕のような角度をつけて傘を支えています」(岩城さん)
「独自のスライドシステムによって傘をスッと支柱に寄せてスリムに閉じられるようになったのが、第三世代です。『ガリレオ イノックス』というモデルで『パラソルの女王』と呼ばれています。支柱が真っ直ぐに立っている点も特徴です。傘の開閉時に、テーブルや椅子を移動する必要がないというメリットもあります」(岩城さん)
「そして昨2017年、新たに第四世代と呼ばれるモデルが出てきました。『アストロ』というモデルで『パラソルのプリンセス』ともいわれています」(岩城さん)
最新モデルはダンパーによる軽い上下スライドで開閉
―― 女王からお姫様になったのですね。第四世代には、どのような特徴があるのでしょうか?
「第三世代まではワイヤーを巻くことで傘を開閉していましたが、『アストロ』は傘を持ち上げる仕組みにガスダンパーを採用することで、スライドハンドルの上下で軽く開閉できるようになりました。デザインも、アールのかかった丸みを帯びたデザインで、華奢な印象になっています」(岩城さん)
―― これなら、初めて使う人や女性でも簡単に開閉できそうですね! 一方で、華奢なデザインとなると耐久性が気になります。
「強風テスト済みで、かなりの強度があります。素材のアルミはサビにくいだけでなく、軽くて強いのも特徴です。アルミサッシをイメージしてもらえば、その強さがわかるかと思います。さらに、傘の部分に風抜きキャップを付けることで、傘全体が風に煽られることがないようにしています」(岩城さん)
「ただ、このテストほど強風のときは、パラソルは閉じてくださいね(笑)」(岩城さん)
女性でも安心!パラソルのお手入れ方法
特別なお手入れは不要!気になったときだけで大丈夫
―― 大型のパラソルはワイヤーが固くて重そうなイメージもありますが、アストロ以外のモデルの開閉も、女性ひとりでできるものでしょうか?
「はい、できます。実際に弊社が出展するイベントなどでは、現地の女性スタッフが開閉することもあります。中にははじめてパラソルを扱う方もいますが、手元のハンドルで軽くスムーズに開閉できます」(岩城さん)
―― パラソルを自宅に設置した後のお手入れで気をつけることはありますか?
「特別なお手入れは何も必要ありません。アルミは風雨・塩・酸に強く、赤サビも発生しません。汚れが気になったときに水拭きするだけで大丈夫です。傘のキャンバスはアクリル繊維でテフロン加工(撥水加工)がかけてあります。基本的には気になったときにホコリやゴミを軽く払ったり拭いたりするくらいで問題ありません」(川辺さん)
「開閉がワイヤー式の場合は、2、3か月に一度程度、ワイヤー部分にシリコンスプレーを注油して滑りをよくしてください。自転車のチェーンの手入れと同じイメージですね」(川辺さん)
半永久的に楽しめる!キャンバス次第で雰囲気もガラリと変化
―― パラソルは一度設置すると何年ぐらい使えますか?
「モデルや使用頻度にもよりますが、弊社のパラソルはかなり長い年月使えます。先日、ある施設のパラソルを入れ替えたのですが、入れ替え前は木製のもので10年使っていました。現在はアルミ製ですので、より長く使えます。弊社では万一骨が折れたりしたら1本から交換できますし、傘のキャンバスも簡単に外して取り替えられます。支柱だけでいえば、半永久的と言ってもいいくらいです」(岩城さん)
―― 木製で10年は、すごいですね! キャンバスが取り替えられるのも、うれしいです。
「場所によってはテフロン加工をしていても長期間使っていると全体に汚れてしまう場合があります。そんなときは、キャンバスを取り外してクリーニングできます。また、キャンバスの色や横のフリルの有無で雰囲気がガラリと変わるので、最初のデザインに飽きてきたらキャンバスを変えれば長く楽しめます」(岩城さん)
本場イタリアでは冬も使う!パラソルは日よけを越えたイタリアの文化
―― パラソルは夏場のイメージが強いのですが、夏以外でも使うものなのでしょうか?
「イタリアでは冬でも使っています。コートを着て、パラソルの下でおしゃべりをしながらエスプレッソコーヒーを一杯、というのはよく見かける光景です。夏でも、冬でも、街のいたるところにパラソルがあり、パラソルを見かけない日はないですね。
また、夜のパラソルは日よけとはまた異なり、間接照明のような役割も果たします。日本でも、カフェテラスやビアガーデンで夜にパラソルを使っているところが増えてきました」(岩城さん)
―― ただの日よけを超えた、文化なんですね。
「1本あるだけで、その場の空間がリッチな雰囲気になる。雰囲気をつくりながらも、景色を遮らない。そんな憩いの場としての魅力が、パラソルにはあります。
また、スコラロのパラソルは1本1本イタリアの職人が手づくりしています。長く快適にお使いいただける、本当にいいものを。デザインや使い方、アフターフォローもそんな想いで取り組んでいます。
イタリアは非常に職人の誇りが高い国です。そして、仕事も遊びも全力で楽しむ国でもあります。そんなイタリアの職人魂と憩いの時間が詰まったパラソルという文化を、日本でも広げたいと思っています」(岩城さん)
今年7月にスコラロジャパンが屋外で行った実験によると、日なたに比べパラソルの下は暑さ指数が最大で5度低くなったそう。暑い日が続く今年の夏ですが、パラソルがあれば外でも風に当たりながらゆったりできそうですね。
自宅のプールサイドに。ホームパーティーで訪問客を迎える庭のテーブルに。おしゃれなパラソルの下で、ホッとひと息つきながら家族や友人との会話を楽しんでみませんか?
※掲載した商品はすべて税抜です。取付設置費用は含んでいません。また、別途送料がかかります。
問い合わせ先
- スコラロジャパン
- 営業時間/9:00〜17:00 月〜金(祝日および夏季休業期間等を除く)
TEL:03-6231-0310 - 住所/東京都中央区日本橋富沢町7-14 岡島ビル
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 廣瀬 翼(東京通信社)