トレンチコートは秋冬の主役とも呼べそうな、出番の多いアウターです。見られる機会も増えるので、ワンパターンの着方は避けたいところ。たくさんのバリエーションで着こなすには、「正面の打ち合わせ」、「ベルトの締め方」、「ボトムスとのコーディネート」の3点を工夫のしどころに。世界のおしゃれ達人が見せた、巧みなトレンチコーデを手がかりに、トレンチルックの着こなしパターンを拡張してみませんか?

海外のストリートでキャッチ!秋冬の定番「トレンチコート」で差をつける最旬テクニック4

■1:前開け&ベルトオフでカーディガン風に羽織る

トレンチコートをカーディガン風にアレンジした女性
前を開けてもルーズに見えないのは、トレンチの端正な持ち味が生きている証

発想を切り替えて、トレンチをロングカーディガンのようにとらえると、ぐっとライトな着映えに仕上げられます。前を完全に開けて、ベルトもオフすれば、トレンチ特有の武骨さがやわらいで、自然体のムードが漂います。

定番的なカーキ系カラーのトレンチを着る場合、コートの内側と色のコントラストを描くように意識しましょう。このように、トップスにブラック、ボトムスにホワイトを配置してカーディガンのようにトレンチをはおることで、すっきりと見せることができます。

■2:前開けでミックスコーディネートのまとめ役に

大きめサイズのトレンチコートを羽織る女性
風をはらんでゆらめくトレンチのボリューム感がポイント

フロントの打ち合わせを完全にオープンにする着方は、トレンチの内側に着るウエア次第で、雰囲気を方向づけられます。トレンチ自体にはカッチリしたイメージがありますが、Tシャツとジーンズという見慣れたコンビを引き合わせれば、程よいカジュアル感が加わって、全体がこなれた着映えに。

紺ブレザーを差し込むと、少しトラッド感が出て、さらに表情に深みを出せます。複雑なレイヤードのまとめ役としてトレンチを使うコーデのお手本です。

■3:ハイウエストでのベルトマークで細感を強調

トレンチコートのベルトを閉めたコーディネートの女性
ウエストより少し上あたりでベルトマークすのが、腰の位置を高く見せる秘策!

次はベルトを使ってスタイリングにめりはりを出すテクニックです。これまでの2ルックとは逆に、トレンチの前を締め、ベルトもしっかり締めます。普通に締めるのではなく、くびれが印象的な「フィット&フレア」のシルエットがつくれるよう、思いっきりキュッと絞るのがポイントです。

締めて余ったベルトを長めに垂らすと、縦落ち感が強まります。フィット感の高いレギンス系ボトムスで、さらに脚の細感をアピール。ストラップ付きのパンプスも華奢見え効果を引き出しています。

■4:ドレス風に魅せる華やかな立体シルエット

トレンチコートをドレス風のシルエットに見立てた女性
袖をまくって、ひじを出すことで、トレンチ姿が軽やかに

最後はトレンチをまるでドレスのようにまとう大技のご紹介です。コートの内側に着た服が隠れるほど、着丈が長めのトレンチをオン。内側の服がすっかり覆い隠されてしまって、トレンチがドレス代わりになる仕掛けです。

ベルトでウエストを絞ってエレガントなシルエットを演出。無造作な結び目自体もアクセントになっています。メタリックなパンプスで足元からつやめかせ、ドレスを着ているようなムードに整えました。

トレンチには英国テイストやマニッシュ感、正統派ムードなど、さまざまな長所があるので、秋冬ルックのムードを落ち着かせるのに役立ちます。その持ち味やメリットを生かしつつ、前開けやベルト使い、ボトムスコーデなどのアレンジで表情を変えていくのが、バリエーションを増やすうえでの工夫ポイントです。春先まで長く着るアイテムだからこそ、見飽きないコーデ術を磨き上げてみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃