『スナック もしも…』の制服は白いエプロン
文京区湯島。花街だった名残か、都内屈指の老舗スナックが残るエリアだ。湯島駅近くに立地する『スナック もしも…』も、36年もの歴史を持つ。
階段を降りて地下にある店に向かう。扉を開けた瞬間、実家に帰ってきたような感覚に陥る。それは40席ほどのアットホームな店の作りだけではない。仁子ママも、4人いるフロアレディも白いエプロンで、それが郷愁を誘うからかもしれない。
「バブルの前に始めた店だから、最初から良いお客さんがついてくれたのね。お客様は増えていったけれど、バブルが弾けたからもっと気軽に飲みに来てもらいやすい店にしたいなぁ、と思ったの。制服がエプロンなら親しみやすいでしょう?」と仁子ママ。
常連が大規模の周年パーティしてくれるほど愛されている店
アットホームな店のため、近所の常連が多いのかと思いきや、銀座や近くの上野で働く紳士が帰宅途中に寄ることが多いという。そういった男性がいかに多いか、この店がいかに長く愛されているのか、その証拠をフロアレディの雅子さんがアルバムを見せてくれながら教えてくれた。
この店では開店20周年から5年ごとに常連が幹事を執り、100人規模の周年祝いパーティをしているという。昨年の35周年には130名もの人数が集まり、楽しんだという。これはママとっても思い出深いパーティになった事だろう。この店を通じて仲良くなった常連が集まり、祝ってくれるのは店冥利に尽きるのではないだろうか。
それも21年も働く雅子さんをはじめ、長く働き続けているフロアレディがいるところも常連に愛される所以である。そんなに長く働ける、この店の魅力を聞いた。
「働き始めるまでカラオケもしたことがなかったんですよ。でもここはママもお客さんの人柄もいいし、楽しいから。やっぱりそこが大きいでしょうね」
雅子さんの意見を聞いて、仁子ママも続ける。
「私が素人で店を始めたから、女の子も素人っぽい子の方がいいでしょう。彼女は本当のお嬢さんだったもの。だけど今は歌えるようにもなったし、私は本当に人に恵まれていますね」
やはりスナックは人と人の繋がりがあってこそ成り立つのだ。
今宵の美女はデュエットもお手の物
二人の話に夢中で、今夜の美女に袖を引っ張られてしまった。
村田奈津実さんの、お父上がスナック好き。そのため、子どもの頃から旅館に宿泊した際は、その宿のスナックに連れて行かれていたという。
「旅館のスナックは小学生の頃から行っていました。父に鍛えられて、昭和のデュエット曲もいけます」
それは心強い。彼女にデュエット曲をリクエストする。彼女が何を選曲したかは次回で。
【スナック もしも…】
問い合わせ先
- スナック もしも… TEL:03-3832-7872
- 住所:東京都文京区湯島3-33-9 小能ビルB1F
営業時間:18:00〜24:00
定休日:土・日・祝
メニュー:飲み放題5,000円(瓶ビール、ウイスキー、焼酎、日本酒、赤ワイン、ジントニック+突出し、乾き物)
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- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 小倉雄一郎