化粧室は同性だけの狭い場所。また、お手洗いや化粧直し、着替えなどを行う空間でもありながらも、公共の場所でもあり、マナーには特に気を配る必要がありますよね。利用の仕方によっては、居合わせた人にネガティブな印象を与えてしまうことも。

そこで、おもてなし協会認定 おもてなしコンシェルジュの大川ユカ子さんに、会社や駅、デパートなどの公共の場の化粧室でのマナーを教わります。

化粧直しの時間は何分まで?

よく言われるのが、女性は化粧室で化粧直しをする時間が長すぎるということ。そもそも、何分までが理想なのでしょうか。会社の化粧室、駅やデパートなどの公共の場の化粧室それぞれ、大川さんに教えていただきました。

場所に応じた気遣いが大切です。

会社の化粧室

「基本的にランチの後に行うことを想定すると、4~5分以内が理想です。お昼の休憩時間内であり、午後の仕事に向けて職場の仲間やお客様に不快な思いをさせないよう身だしなみを整えるという意味では、化粧直しも仕事のうちといえるかもしれません。

ただし、ランチ後の化粧室は一斉に人が集まりやすいので、手を洗うベイスン(ボウル)の前では、できるだけ化粧直しは避け、別途、鏡が使えるスペースで行うよう心がけましょう。

また、ランチタイム以外では勤務時間内である点を意識して、あまり時間をかけずに素早く化粧直しを済ませ、速やかに勤務に戻る姿勢も必要です」

駅やデパート、公共の場の化粧室

「2~3分以内が理想です。公共の場では譲り合う気持ちをもって、長く洗面台を占領しないよう心がけたいものです。混雑の具合にもよりますが、ほかにも洗面台を使いたい方がいらっしゃる場合は、どれだけ化粧直しの途中であっても、端に寄るなどして、待っている方にスペースを譲るのが品格ある女性といえます。

移動する際は無言ではなく『こちらをどうぞ』などとひと声かけ、譲っていただいた側も『失礼します』『ありがとうございます』などと言葉を交わすと、お互いが気持ちよく使えます。

メイクをしっかりと直したい場合は、専用のパウダールームがある場所を選びます。ただし、待っている方がいる場合は、なるべく早く済ませる気遣いが必要です」

化粧直し時に気をつけたい3つのマナー

化粧直しの際にも、マナーを意識したいもの。普段、周囲の人たちを不快に感じさせていることもあるかもしれません。大川さんに化粧直し時のマナーを教えていただきました。

■1:カウンターを占領しない

公共の場では、スペースの使い方に気をつけましょう。

「限られたスペースを自分ひとりで占領しないようにします。よくあるのが、ポーチの中身を広げすぎてしまうこと。必要なものだけをポーチから出し、使い終わったら都度しまいましょう。ちなみに、ビューラーやリップの刷毛などを使用した後は、道具に付いたマスカラや口紅の汚れなどはしっかりティッシュでふいてから収納するのが大人の女性としてのたしなみです」

■2:友人や職場の仲間同士、大声で話をしない

「自分たちは楽しくても、周囲の人からは不快に思われていたり、ひんしゅくを買っていたりするかもしれません。また、誰に聞かれているかも分からないため、秘密保持の面で、後で問題になることもあります。特に職場の化粧室では、噂話やプライベートな話は避けましょう」

■3:香水やアロマをつけるときは周囲へ配慮を

「匂いの出るものを化粧直しで使うことは控えた方がよいでしょう。狭いスペースなので、思った以上に匂いが充満してしまうこともあります。​また、高齢者や妊婦さん、子どもが近くにいる際は、体調を悪くする場合もあるので注意が必要です」

トイレの個室内で気をつけたい5つのマナー

ところで、化粧室といえば、気になるのがトイレの個室を利用するとき。品格のある女性は、トイレの個室内でどのようなマナーを実践しているのでしょうか? 大川さんに教えていただきました。

■1:トイレのフタは閉めてから流す

「用を足したら、トイレのフタを閉めてから流しましょう。水が流れるとき、細菌が飛び散るのを防ぐためです」

■2:使用後のトイレットペーパーはキレイに

「使用後のトイレットペーパーは汚くちぎったり、長く垂れ下がった状態のままにしたりしないようにしましょう。トイレットペーパーはミシン目できちんと切るか、ペーパーホルダーの紙切り板を使って、まっすぐにカットします。次の人が気持ちよく使えるよう、品格ある大人としての気遣いを見せましょう。

また、ペーパーを三角折りにするのは、清掃が完了したサインです。通常の使用後に折り曲げる必要はありませんし、誤解を生む可能性も。不必要に触れないことのほうがマナーでもあります」

■3:トイレットペーパーが無くなったら替える配慮を忘れない

「自分が使用した後に、トイレットペーパーがなくなったら、予備のペーパーを補充しましょう。予備が見当たらない場合は、清掃の方にそれとなくお伝えする、または、社内でペーパーのストック場所を知っているのであればさっと取りに行く振る舞いも大切です」

■4:生理用品はティッシュやビニール袋に包んでから捨てる

「次に使う方のことだけでなく、清掃の方を思いやる心遣いも忘れたくないものです。使用後の生理用品などは、ティッシュで包むかビニール袋などに入れて捨てます。感謝の気持ちをもっていれば、自ずと行動に表れることでしょう」

■5:便座や便器の中をチェックする

「便座に水滴や髪の毛が付いていたら、さっと拭き取ります。便器の中も自分が汚していないかチェックしましょう。また、臭いが気になるときのために携帯消臭スプレーがあると便利です」

洗面所の使い方で気をつけたい4つのマナー

トイレから出た後は、洗面所で手を洗いますが、洗面所を使用するときにもエレガントに振る舞いたいものです。

■1:水が飛び散らないように静かに手を洗う

キレイな使い方が、所作を美しくします。

「周囲へ水が飛び散らないように配慮することも、大人の女性のたしなみです。水を出すときは、勢いよく出ないよう少しずつ調節します。ほかの人が場所を譲ってくださったときは『ありがとうございます』『失礼いたします』などの言葉で感謝の気持ちを伝えましょう」

■2:洗った後は水滴や髪の毛を拭き取る

「手を洗った後は、ひと呼吸おいて辺りを見回し、ボウルの周りに飛んだ水滴や髪の毛をさっと拭き取ります。手を拭いた後のペーパータオルやティッシュを使うとよいでしょう。鏡に飛び散った水滴もそっと拭いておくとスマートです」

■3:手が濡れたまま出ない

「出入り口のドアノブが濡れていたら不快ですし、不衛生です。どれだけ急いでいても、洗った手をきちんと拭いてから化粧室を出ましょう」

■4:清掃の方には常に感謝の気持ちを忘れない

「清掃の方とその場に居合わせたら『おはようございます』『いつもありがとうございます』など、こちらから積極的に声をかけましょう。感謝の気持ちを言葉にすることで温かい空気が生まれ、互いに気持ちよく過ごすことができます」


化粧室では、多数、気を配る必要がある箇所がありますが、いずれも共通しているのは周りの人や清掃員さんのことをどれだけ思いやることができるかということにありそうです。

ぜひ化粧室でもワンランク上の振る舞いをして、品格ある女性を体現しながら、気持ちよく過ごしたいですね。

大川ユカ子さん
おもてなし協会認定 おもてなしコンシェルジュ
一般社団法人スマートマナークリエイト 代表理事
(おおかわ ゆかこ)国内大手航空会社の客室乗務員として10年間勤務。国内線チーフパーサーや政財界のVIPフライトを担当し、1万時間以上の接客経験を持つ。現在は接遇指導やマナー教育等の人材育成に携わり、美容サロンスタッフ教育は1,500人を超える。
おもてなし協会 一般社団法人スマートマナークリエイト
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利
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