ワイルドでありダンディ、無邪気な少年のような表情と円熟した大人の男の色香…相反する要素を内包する表現者・森田剛さん。Precious.jpでは、「近代演劇の父」と称されるノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセン(1828~1906年)の最高傑作のひとつともいわれる名作舞台『ロスメルスホルム』に主演する森田さんにお話を聞きました。全2回のオリジナルインタビューをまとめて振り返ってみましょう!

わかりやすさが溢れる現代だからこそ、難解なものを求めたくなる

俳優・森田剛さん
「観る側の解釈の幅が広く、自由を感じる。僕自身も、そういう作品が好き」(森田さん)
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「今、世の中にはわかりやすい作品にあふれています。時々、わかりにくい作品もありますが、それにはたくさんの説明がある。だからこそ僕は心のどこかで『難解な作品を観て、考えを深めたい人もいるだろう』とも感じていたんです。

今はまだ『ロスメルスホルム』の台本を読み始めばかりなので、現時点で深く語れることはありませんが、難しい言葉も多く、随所に立ち止まって考えなければならないことがちりばめられていると感じています。だからこそ、観る側の解釈の幅が広く、自由を感じると思います。僕自身も、そういう作品が好きなんですよね」

【俳優・森田 剛さんインタビュー前編】「一方通行ではなく、双方の力が重なり合っていく感覚をお互いに感じて」

余計なことを削ぎ落とし、細かく濃く、見せすぎず演じる

俳優・森田剛さん
「“リアルに感じる”ということに、重きを置いている」(森田さん)

「どんな作品でもそうですが、先入観が邪魔になることが多々あるのでなるべく余計なことを削ぎ落として、素の自分で作品に入っていくよう心がけているんです。そうすることで、演じる人物の無意識の部分に焦点をあてられると思うから。
僕が演じる『ロスメル』は歴史がある家の当主。生まれた時から置かれている状況って、あまり疑問を持ちませんよね。それがある時から、この状況がおかしいと気付く。その時に、その人がどう立ちふるまうのか。それを細かく濃く、見せすぎず演じることがポイントかなと思います」

【俳優・森田 剛さんインタビュー後編】最新主演舞台からプライベートまで深掘り!


■『ロスメルスホルム』公演情報

●上演スケジュール

愛知公演/2023年10月28日(土)・10月29日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
福岡公演/2023年11月3日(金・祝)~11月5日(日) キャナルシティ劇場
兵庫公演/2023年11月10日(金)~11月12日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
東京公演/2023年11月15日(水)~11月26日(日) 新国立劇場 小劇場

●キャスト・スタッフ

出演/森田剛、三浦透子、浅野雅博、谷田歩、櫻井章喜、梅沢昌代
原作/ヘンリック・イプセン 脚色/ダンカン・マクミラン 翻訳/浦辺千鶴 演出/栗山民也

●あらすじ

歴史と伝統に縛られたロスメルスホルムと呼ばれる屋敷には、所有者ヨハネス・ロスメル(森田剛)と家政婦のヘルセット(梅沢昌代)、レベッカ(三浦透子)という女性が下宿人として住んでいた。ロスメルの妻ベアーテは自殺している。
ある日、妻の兄・クロル教授(浅野雅博)がやってきて、モルテンスゴール(谷田)が掲げる「新しい進歩主義」に対抗すべく、ロスメルを保守派に引き込もうとする。しかし、ロスメルはレベッカの影響もあり、これまでの価値観から解き放たれようとしていた。
ロスメルの説得を試みるクロルは、ベアーテの死の原因は、レベッカだと伝える。ロスメルはレベッカを「進歩主義の同志」と思っていたが、その気持ちは愛情だったのか…心に罪を抱いたロスメルとレベッカが選んだ道とは?

公式サイト


俳優・森田剛さん
俳優・森田剛さん
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森田 剛さん
俳優
もりた・ごう/1979年埼玉県生まれ。アイドルグループ『V6』『Coming Century』として活躍。解散後は独立し、俳優として活動。代表作に映画『人間失格』、『ヒメアノ~ル』、『DEATH DAYS 劇場版』、NHK大河ドラマ『毛利元就』、ドラマ『ハロー張りネズミ』ほか多数

※この記事は9月8日〜9月9日の記事を再掲載したものです。

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PHOTO :
高木亜麗
STYLIST :
SATOSHI YOSHIMOTO
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WRITING :
前川亜紀