「本物の家具」がもつ魅力を味方につけてもらうために、インテリアエディター「D」が厳選した大人のためのインテリアアイテムをご紹介する連載。身長156cmと小柄なエディターが、実際に家具を触ったり、座ったりしながら、女性ならではの視点でインテリア名品の魅力を掘り下げます。
第13回はフレックスフォルムのひとりがけソファ「フィールグッド」です。
狭小スペースを仕事場にも寛ぎの場所にもしてくれる「フィールグッド」
ミラノのブルガリホテルにも置かれている「フィールグッド」。大柄の男性がゆったりと寛ぐことができるシンプルな形状は、大空間に置けばアクセントになります。その一方で、実は日本の狭小空間にもぴったりな形状でもあります。一見相反するインテリアの両方にマッチする秘密は、サイズ感とクッション具合の絶妙なバランスにあります。
「フィールグッド」は、アームが横に張り出すことなく、上から見たときにほぼ円形におさまっています。それゆえに回転脚を利用してクルクルしても、最初に設置したスペースだけで、周りに大きく余分な空間をとる必要がありません。
座った感じの第一印象はやわらかく、沈みすぎることなくほどよい位置でキープしてくれるので、いい姿勢を楽に保つことができます。奥までしっかり座り込むと、背面のクッションがやわらかく受けとめてくれ、安楽椅子としては小ぶりながらも極上のリラックス感が得られます。
それもそのはず、シートクッションには水鳥の羽毛がたっぷりと使われており、背面には高級寝具にも使われるダクロンと低反発ウレタン層が心地よいカーブをつくってくれています。
空間と季節に合わせて着替えられる「フィールグッド」
フィールグッドは、どなたでも簡単に座面カバーを変えることができます。季節ごとにリネンやカシミヤなど素材を変えて楽しむのもおすすめです。
フレックスフォルムのソファは、カバーリングの技術の高さと、スペアカバー制作費が経済的な設定になっていることが特徴です。また、椅子張り用に同社が開発したオリジナルのカシミヤは、羽毛クッションの心地よさを最大限に引き出してくれます。オーソドックスなヘリンボーンなどの柄もあり、お洋服を仕立てるような喜びがあります。
洗練されたライフスタイルを、家具をとおして提案し続ける「フレックスフォルム」
創業者のガリンベルティ兄弟は、ミラノ・スカラ座の家具調度品を手がけていた父の影響で、1959年に兄弟で家具工房を立ち上げ、1970年株式会社フレックスフォルムを創業しました。
「Home at last」というフレックスフォルムのキーワードは、最も寛げる場所は家であってほしい、という願いが込められているそう。一つひとつのアイテムは普遍的な印象をあたえるものの、組み合わせ次第で現代的な暮らしを提案しているのが特徴です。ブランドのほとんどのデザインを手がけるアントニオ・チッテリオが監修した青山ショールームのディスプレイで具体的に見てみましょう。
実は一見オーソドックスに見えますが、ディテールに目をこらすとハッとするような発見があり、通好みとも言える奥行き深い面も魅力です。Made in Italyにこだわり、ソファの中材に使う木材は、地元で採れる良質なポプラ材を厳選しています。
クラッシックなデザインを現代にマッチさせる巨匠デザイナー「アントニオ・チッテリオ」
イタリアのロンバルディア地方・メーダ出身。ミラノ工科大学建築学部卒の建築家・デザイナー。家具職人の父の影響を受け、物心つく頃にはデザイナーを目指していたそう。Flos、カルテル、ヴィトラなどの一流企業をクライアントにもち、権威あるコンパッソドーロ賞も2度受賞したことのあるイタリアを代表するデザイナーです。
ミラノのドムスアカデミー、ロンドンのロイヤルカレッジ(RCA)、ローマ大学で教鞭をとっており、若いデザイナーの育成にも力を注いでいる一面も。
実は、フレックスフォルムの創業者と生家が近く幼馴染で、フレックスフォルムの家具は、9割がたチッテリオがデザインしています。ひとりのデザイナーが、ほぼ全アイテムを手がけることで積み上げられる統一感、安心感も同ブランドの魅力のひとつです。
洗練された暮らしを体感しに、フレックスフォルムのショールームへお出かけしてみてはいかがでしょうか?
問い合わせ先
- フレックスフォルム トウキョウ
- 営業時間/11:00〜19:00
- 定休日/水曜(祝日除く)
- TEL:03-6418-5590
- 住所/東京都港区南青山6-11-1
- TEXT :
- 土橋陽子さん インテリアエディター
公式サイト:YOKODOBASHI.COM