汗をかき始める春は、ニオイが気になりだす時期でもあります。汗をかかない冬の間に弱ってしまった汗腺や、新生活によるストレスなどがニオイの原因になることも。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか(光文社新書)』も話題の医師・桐村里紗先生に、春のニオイについて聞きました!
春だからニオイが気になる!加齢臭やニオイの原因となる生活習慣とは
春は大きな環境の変化により、ストレスが溜まりやすい季節です。また、生活習慣も乱れがちなのではないでしょうか。実は、悪しき生活習慣がニオイの原因となっていることもあるのです。ここでは、ニオイの原因となっている生活習慣を解説します。
■生活習慣1: 腸内環境の悪化
食事するときに早食いのクセがあったり、肉ばかり食べて、野菜や海藻、果物などの食物繊維が不足しがちな方は、腸内環境が悪化している恐れが。その影響によって、腸の中で食べ物(主にタンパク質)の腐敗に伴う代謝物(=ニオイ物質)がつくられてしまいます。
■生活習慣2:汗をかく習慣がない
普段から汗をかく習慣がない人は、汗腺が弱っていると考えられます。汗腺が弱っている人の汗はミネラルを多く含んでおり、それをエサに常在菌が増えることでニオイを発生させやすくなっているのです。また、汗腺に溜まった垢や老廃物が汗と一緒に出て、よりニオイやすくなります。そういう人の汗はベタベタしています。
■生活習慣3:ストレスが多い
現代人に多い、ストレスフルな生活や不規則な生活。これもニオイの原因に。ストレスがかかると皮膚から発生する「ストレス臭」は、ネギやニンニクのようなツンとするニオイです。また、ストレスなどで自律神経が乱れると、脇や足の裏が汗をかいてニオイやすくなったり、汗自体が脂臭くなったりします。
また、慢性的な疲れは代謝を低下させます。そうなると、疲労によって蓄積された乳酸やアンモニアが肝臓で処理できず、それが汗のニオイの元になってしまいます。
意外な盲点!これも加齢臭やニオイの原因に
とりわけ悪いとは思えない生活習慣でも、実は加齢臭やニオイの原因となっていることも。それはどんな生活習慣なのでしょうか。
■意外な生活習慣1: シャンプーのし過ぎがニオイの原因に?
シャンプーは頭皮をすっきりさせ、髪によい香りをつけてくれます。しかし、シャンプーのし過ぎは逆効果になる可能性が。頭を洗いすぎると、皮脂を取りすぎてしまいます。そうすると、皮膚を守るためにニオイの元となる皮脂分泌が増え、皮脂の酸化や、皮脂をエサに繁殖した常在菌の代謝物が、頭のニオイの引き金になってしまいます。
■意外な生活習慣2: 糖質の摂り過ぎでニオう?
砂糖や炭水化物などに多く含まれる糖質を摂り過ぎると、余って利用されなかった分が中性脂肪に変化します。皮脂の元となる中性脂肪が高いと、皮脂分泌量が多くなり、ニオイやすくなります。
■意外な生活習慣3: アルコールの飲み過ぎはNG ?
お酒はやはりニオイの元です。アルコールは肝臓で最優先に処理されます。そのことで、本来肝臓で行われるニオイ物質の分解や脂肪の代謝などを妨げてしまうのです。そうなると、肝臓で代謝されないまま血液中に溢れたニオイ物質や中性脂肪が、口臭や加齢臭などの体臭の原因になってしまいます。
体臭をマネジメント!加齢臭やニオイの対策
ライフスタイルから体臭をマネジメントすることが大切です。ぜひトライしてみてください。
■対策1: 能動汗腺をトレーニング
汗をかく汗腺(能動汗腺)は鍛えることができます。汗腺を鍛えると、ニオイの原因が少ないサラサラ汗をかきやすくなります。
汗腺を鍛えるには、ゆっくりと体温を上げる有酸素運動をするのがおすすめです。ジョギングやウォーキング、水泳などを行いましょう。汗をかいた後は、水分補給をしながら入浴し、さらに汗をかくようにしてください。入浴することで、汗腺に溜まった垢や老廃物も排出することができます。
■対策2:抗酸化ビタミンを摂取
食べ物でニオイ対策をするのであれば、抗酸化ビタミンを毎日摂り入れましょう。抗酸化ビタミンは、加齢臭の原因となる皮脂分泌量を適正にし、皮脂の酸化を抑制してくれます。
ビタミンAの不足は、肌荒れから皮膚のターンオーバーの異常を引き起こし、皮脂の分泌を過剰にします。ビタミンAはレバーや魚の肝、またβカロテンを含む緑黄色野菜を食べることで体内でビタミンAが作られます。ナッツ、ゴマ、アボカドなどに含まれるビタミンEと、赤ピーマンや柑橘類、アセロラに含まれるビタミンCと併せて摂取することで抗酸化力が持続します。
■対策3: ノンストレスでサビないライフスタイルを維持
ストレスを溜め込むと、体にいいことはひとつもありません。人はストレスを感じると、交感神経が緊張して体がサビついてしまいます。ストレスを感じたら、なるべくその日のうちに解消するように心がけて。
すぐにできるストレス解消法は、リラックスして入浴し、睡眠をとることです。睡眠ホルモンであるメラトニンは、寝ているうちに悪玉の活性酸素を軽減してくれます。
デオドラントアイテムの選び方・使い方のコツ
デオドラントアイテムにはさまざまなものがありますが、選び方、使い方、コツを知って上手に使いましょう。
■消臭なら、イオン分解するスプレーやインナーを活用して
消臭効果の高いアイテムには、スプレーやインナーなどがあります。消臭スプレーは、ニオイ成分をイオン分解して消臭するタイプのものを選ぶようにするとよいでしょう。ニオイの気になる肌着や靴下などに使用することで、ニオイ成分のみを即座に分解してくれます。 インナーは、効果的かつ安全性も高いです。ニオイやベタつきを抑える機能性の高いものが、さまざまなブランドから販売されています。
■制汗剤はポイント使いを
収れん剤が含まれている制汗剤。収れん剤は、毛穴をふさいで汗そのものの量を減らすことで、常在菌の繁殖を抑制してニオイの発生を抑えています。
ですが、汗は体温調整のために出ているので、制汗剤を全身に使うのは避けてください。脇の下や足の裏など、汗をかきやすく、ニオイが強くなりやすい部分にのみ、使うようにしましょう。
■悪臭を隠す芳香剤は相性を考えて
芳香剤には、香水やアロマスプレーがあります。これらは、フレグランス成分で悪臭を隠すタイプのデオドラントアイテムです。フレグランス成分と強い体臭が組み合わさると、逆に不快なニオイになる可能性があります。ですので、芳香剤を選ぶときには、自分の体臭との相性が大切です。
また、強すぎる香料は「スメハラ」や「香害」になる可能性も。周りの人に配慮して、適量を使うようにしましょう。
家族や友人のニオイや加齢臭が気になったときの伝え方
言い出しにくい「ニオイ」のことを上手に伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。家族、友人のパターンに分け、ショックを与えない伝え方をお教えします。
■“友人”にショックを与えない伝え方:体の心配をする
ニオイについて、「加齢のせいではなく、生活習慣病が原因なのでは?」と、どこか体の具合が悪いのではないか、と心配してあげるようにして、伝えてみてください。そうすると、なにかしら心当たりがあるもので、「そうかもしれない」と、相手が原因を自分自身で探り、改善することもあります。
また、「自分もそうだったけど、〇〇したらよくなった」、などと付け加え、自分の体験プラス具体的なアドバイスをするのもおすすめです。
■“家族”にショックを与えない伝え方:ニオイに関する本をそっと渡す
いっしょに暮らしている家族であれば、ニオイに関する本を、テーブルの上など目につくところに置いておくといいでしょう。「これなに?」と聞かれればしめたもの。本の中身を話してあげたり、読んでみるようにすすめると、「自分もニオっているかも?」と、ニオイについて考えるきっかけになります。
\ニオわない体づくりを/
ストレスはニオイの大敵。ライフスタイルを見直し、デオドラントアイテムを活用して、ニオわない体づくりを心がけてください。
『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』
調査によれば、在日外国人の7割が「日本人の口臭にがっかりした経験」があるといわれているのだそう。また、35歳以上の日本人の8割が歯周病とのデータもあります。無臭社会日本、と言われますが、本当にそうなのでしょうか。 この本では、予防医学を専門とする内科医が、そもそもにおいとは何かにはじまり、におい物質と嗅覚や脳の関係、また口臭や体臭の種類や原因となる疾病と対策について、わかりやすく解説。 口臭や体臭は、健康のバロメーター。表面的ではない、真のにおい対策は、根本的な健康増進につながります。
『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(桐村里紗著・光文社新書)
桐村里紗のnote/tenrai株式会社
- TEXT :
- Precious.jp編集部