正解は… 2:おもしろくない です。
こちらは文化庁の平成28年度『国語に関する世論調査』で、正解率がたったの2割強だった設問です。
「ぞっとしない」の意味を辞書でひくと、以下のように記載されています。
特に驚いたり感心したりするほどではない。あまり感心しない。いい気持ちがしない。
「ぞっとする」という言葉が、「恐怖を感じる」という意味で使われるので、「ぞっとしない」はその否定形で「怖くない」という意味かとカン違いしてしまいそうですが、実は「面白くない。感心しない」という意味なのです。
ちなみに「ぞっと」という言葉を同じ辞書で調べると、以下の意味が載っています。
(1)恐ろしさで身の毛がよだつさま,極度の恐怖から,からだがふるえあがるような感じのするさまを表す語。
(2)美しいものに出あったりして,強い感動が身内を走り抜けるさまを表す語。
(3)寒さでからだがふるえあがるさまを表す語。
非常にまぎらわしいですが、「ぞっとする」の「ぞっと」は、「ふるえるような」感情を広義に表現するのに対し、「ぞっとしない」という言い回しは、上記の辞書でいうところの(2)の意味だけを強く否定する表現、ということになります。「ぞっと+しない」=強い感動が+ない、という意味になるということですね。この解釈は、ほかの複数の辞書でも同様です。
ですので、タイトルにあるように「怪談話はぞっとしない」と言う人がいたら、その人は「怪談話なんてつまらないものだ」と言っているわけで、その人が怖がりか? 怖がりではないか? という判断は、これだけではできません。
本当につまらないと思っているのか、実は怖がりなので怪談話を避けたくてこういう言い方をしているのかは、「ぞっとしない」という言葉ひとつでは、読み取れないのです。
…というところで、もう一問、クイズです。
【問題2】
「怖(こわ)い」と「恐(こわい)」は、どのような違いがあるでしょうか? 以下の3つの選択肢から選んでください。
1:厳密には意味が違う。
2:片方は実は誤った漢字である。
3:片方だけが常用漢字である。
正解はどれでしょうか? こちらは迷う方も多そうですね?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年)/ 参考文献:『日本国語大辞典 第2版』小学館
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱