正解は… 夙(つと)に です。

意味をカン違いしたまま使っている方が多い!本稿で意味もよく確かめてくださいね!
意味をカン違いしたまま使っている方が多い!本稿で意味もよく確かめてくださいね!

「夙に耳にしてきた」「夙に言われていた」など、大人の会話ではしばしば登場する表現ですよね? しかし、漢字も言葉の意味も、なんとなく思い出せない、モヤっとしたイメージだけで扱ってしまう言葉ではないでしょうか?筆者が何度か遭遇した「夙に」の間違った使用例は

「最近、夙に思うんだけれど…」

のように、「特に」という文脈で誤用しているケースです。ヒントにも書きましたが、「夙に」の意味は「ずっと以前から」「早くから」です。

ですから、「最近、夙に」という言い回しは成立しません。時系列が滅茶苦茶です。こうした誤用が起こりやすい背景を、ヒントの例文を使って紐解いてみましょう。

使用例:「小泉さんが切れ者であるということは、夙に知られていましたよね?」

この会話文の厳密な意味は

「小泉さんはずっと以前から切れ者だ、と周囲に認めらてきた人ですよね?」です。

「小泉さんが切れ者だということは、特によく知れわたっていますよね?」ではないのです。

しかし、会話文が意図する内容が非常に似ているので、「夙に」の意味が「特に」だとカン違いする方が増えていったのでしょう。

実際に使っている例からカン違いが生まれ、複数の方に定着してしまう、ということは、現在でも大人の会話での登場頻度がそれなりに高い言葉である、ということを実証しています。

夙(つと)に = ずっと以前から。早くから。

こちらが正しい意味である、ということを、皆さま、この機にしっかりとご確認くださいね。

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Precious.jp編集部 
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参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成26年 )
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小出 真朱