多様化していく「働き方」への向き合い方を、賢者がアドバイス

激しく変化していく現代社会のなかで、勇敢に、しなやかに、キャリアを重ねてきた大人の女性たち。より生き生きと、自分らしさを発揮しながらこれから先10年、15年と働き続けていきたいと願う私たちの前には、どんな未来が待ち受けているのでしょうか? ご自身も働く女性として、あらゆる局面を迎えてきた、エッセイストの小島慶子さんに、これからの時代の生き方のヒントを伺いました。

「拠点や仕事を複数もち、活動する人が増えていく。いくつもの居場所を、自由に行き来する時代に」

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小島慶子さん
エッセイスト
(こじま けいこ)1972年、オーストラリア生まれ。’95年アナウンサーとしてTBSに入社。退社後は、ラジオ、テレビ、雑誌など、多様なメディアで活躍するほか、東京大学大学院、昭和女子大学にて研究員としても活動。現在は、オーストラリア パース在住。著書に『さよなら! ハラスメント』(晶文社)ほか。

現在、東京での仕事と家族のいるパースの日豪を行き来し、2拠点ライフを実現している小島慶子さん。仕事も執筆業以外に、講演や大学での研究など多岐にわたります。

終身雇用という考え方が難しくなった今、拠点や副業などで自分の居場所を複数もつ働き方は、増えると思いますね。私自身、実践して見えてきたことがあります」と小島さん。

「複数の仕事をしていると、自分は結局何が好きなのか、何に喜びを感じるのか、共通する興味ややりがいなど嗜好がはっきりとします。

私の場合は一見バラバラの仕事に見えますが、根底にあるのは、辛い思いを抱える人たちが『世の中捨てたもんじゃない』と、少しでも思えるメッセージを届けたいという気持ち。自分の芯が見えると、新たな環境への挑戦が怖くないのも利点ですね」

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小島慶子さん

居場所を増やすきっかけに、大人の女性におすすめなのは、社会課題を解決する活動だと、小島さん。

「ソーシャルセクターはこれから必ず伸びていく市場。私自身、子供の貧困に取り組む『キッズドア』のアドバイザーや、就活でのハラスメントをなくす呼びかけなどに取り組んでいますが、ふだん、仕事では交わらない職種や環境の人たちとの交流は、世界観も人脈も一気に広がり、新たな仕事にもつながりました。

働く期間が長くなりそうだからと、仕事を増やそう、収入源を得ようとするとハードルが高いですが、社会活動なら気軽に参加できて、他者の評価も気にせず無理なく続けられます。

そこから仕事につながる何かを見つけてもいい。仕事の経験も積み、社会への視点も知識もある40~50代の女性は、やりがいを感じるはず」

いずれは国内に拠点を増やし、社会活動にもっと力を注ぎたいと小島さん。

「家族や会社にとって価値ある自分でいようとするのではなく、"自分にとって価値ある自分"でいることが、未来の幸せな働き方だと思います」

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EDIT :
樋口 澪(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材・文 :
大庭典子、剣持亜弥(HATSU)