歩いていると足の付け根が擦れて痛い……。そんな辛い外反母趾に悩まされていませんか?

一般的に外反母趾は、パンプスやブーツなどの先が細い靴を履くことによって足先が縮こまってしまうことで引き起こされると考えている人が多いですが、実は外反母趾の本当の原因は他の部分に潜んでいることも。

外反母趾は足の痛みだけではなく、他の部分にも影響を及ぼします。

今回は、前回の冷え性巻き肩の改善方法に引き続き、プライベートサロン『むすひ』を経営する前島隼人さんに、外反母趾の本当の原因とその改善方法についてお話しいただきました。

前島 隼人さん(まえじま はやと)
整体サロン『ボディケアむすひ』代表
学生時代に痛くて夜も眠れないほどの腰痛を経験する。 数々の治療法を試すも改善しなかったため、独学で体について学び、腰痛を克服する。 その後本物の知識と治療技術を求め、古式整体「活法」と「さとう式リンパケア」を学び、2018年6月に整体サロン「ボディケアむすひ」をオープン。 「痛みの再発しない体作り」をテーマに、根本原因の改善と、セルフケアの指導に力を入れている。ボディケアむすひホームページ

外反母趾の原因は意外なところにあり!?

靴の形だけが外反母趾の原因ではなかった!
靴の形だけが外反母趾の原因ではなかった!

--前島さん、今回もよろしくお願いいたします。今回は外反母趾についてお話しいただければと思うのですが、多くの人が思っている原因以外のところに原因があるとか。

前島隼人さん(以下、前島)「よろしくお願いいたします。はい、多くの人は外反母趾は靴の形のせいで内側に押し込められてしまうことで起こると考えていますよね。それも間違いではないのですが、大きな原因は他にあることが多いのです」

--すばり、その原因というのは何なのでしょうか?

前島「大きな原因となるのは、足の親指の筋肉が凝り固まってしまっていることです。

以前、巻き肩の原因についてお話しした際、胸元や腹筋などの屈筋と呼ばれる部分が縮こまって固まってしまうことで起こるということを説明しましたが、外反母趾の場合、足の裏でこの現象が起こっているのです。

親指の付け根の筋肉も屈筋なので、ここが凝り固まって親指を内側に引っ張ってしまうことで外反母趾が起こるのです」

やってはいけない外反母趾の対処法は?

もしかしたらその対処法、間違っているかも!?
もしかしたらその対処法、間違っているかも!?

--つまり、原因をしっかりと理解しないまま対処しても、あまり意味がないということでしょうか?

前島「そうですね。全く意味がないというわけではなく、これ以上の悪化を防ぐ、という程度に留まります。

例えば、靴などによって親指が押し込められていると考えた時、先の細い靴を履かないようにするという対策を取る人も多いのですが、これは外反母趾を悪化させないことには効果的ですが、根本的な改善にはなりません」

--逆にあまりしない方が良い、という対処法はありますか?

前島「そもそも親指の内側の筋肉が縮こまって固まってしまっている状態なので、筋肉が緩んでいないその状態で足の親指と人差し指の間を広げようとしたり、テーピングで親指を外側に引っ張ったりということは避けた方が良いですね。多くの人がやりがちではあるのですが……。

しっかりと筋肉が緩んでいない状態で無理矢理に行うことで、逆に筋肉を痛めてしまうことになります。

歩き方を正しく改善すれば良いと考えている人も多いのですが、そもそも外反母趾を起こしている状態で歩き方を意識しても、おかしな部分に力が入ってしまい、体の他の部分の筋肉を硬くしてしまう原因にもなりかねません」

外反母趾は体の他の部分にも影響を及ぼす

もしかしたらその不調、外反母趾と原因が同じかも?
もしかしたらその不調、外反母趾と原因が同じかも?

--外反母趾が体の他の部分に不調を及ぼすことはありますか?

前島「足が擦れて痛い、という分かりやすい不調はもちろんですが、実は外反母趾を起こしたまま落ち着いてしまって足自体には痛みを感じないという人も多いのです。

とはいえ、外反母趾は痛みがない状態でも体の他の部分に不調を及ぼすことは多くあります。

筋肉は全身つながっているので、外反母趾を起こしている人は全身の筋肉が固くなってしまっているということが多いですね」

--具体的にどの部分に影響が出やすいというのはありますか?

前島「分かりやすいのは肩こりや腰痛です。外反母趾の人はこれらを併発している人が多くいますね。

外反母趾と肩こりや腰痛、別々の原因で起こっていると考えがちですが、筋肉が固まることで様々な不調が引き起こされるという点では原因は共通していると言えますね」

外反母趾を治す! 簡単な改善方法は?

自分でできる外反母趾改善方法とは?
自分でできる外反母趾改善方法とは?

--それでは、実際に外反母趾を治すため、親指の内側の筋肉を緩める方法を教えてください。

前島「実は、この筋肉を緩める方法はものすごく簡単に行うことができます。

方法としては以下の通りです。(動画あり)

  1. 椅子などに座り、右の足首を左足の膝に乗せる
  2. 左手を右足のかかとと内くるぶしの間に優しく添える
  3. 右手で右足先全体を優しく掴んで内側にクルクルと回す
  4. 右手で右足の親指以外を優しく掴んで内側にクルクルと回す
  5. 右手で右足の親指を優しく掴んで内側にクルクルと回す
  6. 左足も同様に行う

工程としてはこれだけです。特に痛みを感じるような方法ではないので、これまでストレッチなどが続かなかったという人でもテレビを観ながら行うなどできると思います。

コツとしてはかかとと内くるぶしの間に添えた手で、かかとと内くるぶしの間の筋がピクピクと動いていることをしっかり意識しながら行うことです。

3、4、5と進めるとピクピクと動く場所がどんどんかかと寄りになっていくのがわかると思います」

\外反母趾を解消する方法を動画でもチェック!/

--この方法での外反母趾の改善にはどのくらい期間が必要でしょうか?

前島「今まさに外反母趾で痛みを感じている、という人は痛みが軽減されるという変化を比較的すぐに感じることができると思います。

足の形に関しては2〜3週間で変化を感じる人もいますね。

外反母趾は治らない、と考えている人も多いのですが、原因を理解してしっかりと筋肉を緩めることで改善していくものです」

仕事柄、パンプスを履かない選択肢がない、という人もいるはず。ゆえに外反母趾の改善を諦めてしまっている人も多いかもしれませんね。

しかし、外反母趾の原因を正しく理解して対処していくことで外反母趾は改善することができます。それに伴って、同時に悩まされていた肩こりや腰痛の改善も期待できますね。

前島さんが紹介するセルフケアは“ながら”でもできる簡単なもの。痛みもないので、これまでストレッチの痛みや苦しさに断念してしまったという経験がある人でも続けやすいのが嬉しいですね。

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
Rina Onodera