世界第4位のワイン生産量※を誇るアメリカにあって、カリフォルニアには最大の生産地。アメリカ産ワインの約80%が、カリフォルニアでつくられています(※)。

なかでも世界的に名高い2大エリアが、ナパとソノマ。希少で高価なカルトワインを多く輩出するエリアですが、広大で気候も多様なカリフォルニアには、このほかにも魅力的なワイン産地がたくさんあります。

今回ご紹介するのは、サンフランシスコやサンノゼといった大都市からのアクセスも便利な「ローダイ」。2015年にアメリカのワイン専門誌『WINE ENTHUSIAST』で「今年を代表するワイン産地」に選ばれた、近年ワインラバーの関心を集めている産地です。

なぜローダイが「NEXTナパ、ソノマ」と注目されているのか? その理由を探ります。

※世界におけるワイン生産量/カリフォルニアの生産率ともに、2019年現在のデータ

カリフォルニアワインの中枢を担う、いま改めて注目すべき名産地・ローダイ

ローダイでブドウの栽培が始まったのは1850年代。現在、ブドウの生産者数は750人を超え(※)、栽培されているワイン用ブドウの品種は100種類以上!

※以下、本文中のローダイのワインに関する数字は現地での聞き取り取材とローダイワインの公式サイトに拠ります。

なかでもカリフォルニアを代表する赤ワイン品種のジンファンデルに至っては、世界の3割強を生産しており、「ジンファンデルの首都」と称されるほど。冒頭で「NEXTナパ、ソノマ」と書きましたが、実はすでに歴史も実績もあるブドウ産地なのです。

海外旅行_1,旅行,ワイン_1
85以上あるワイナリーは、ほとんどが小規模で家族経営。少量生産で丁寧なワインづくりに注力しています。
PHOTO : David Collier/Visit California

なぜこれまでローダイのワインがナパ、ソノマほど注目されていなかったのか? それは、「ワイン産地」ではなく「ブドウ産地」だったから。ナパやソノマを始めとする国内のワイン産地にブドウを販売してきた、カリフォルニアワインの陰の立役者だったのです。

それが近年になって、歴史あるブドウ農園の若い世代がワイン醸造に力を入れたり、地域ぐるみで環境とサステナビリティに配慮した生産方法をルール化したりと新しい動きがあり、「ワイン産地」として脚光を浴びるようになりました。

市内のテイスティングルームも70以上に増え、上質なワインが良心的な価格で購入できるとワインラバーたちの間でも話題に。ワイン通のみならず、ぜひ一度味わっていただきたい、ローダイのワイン。現地で行くべきスポットをご紹介します。

ワイナリー巡りは「ローダイ ワイン&ビジターセンター」での情報収集からスタート!

海外旅行_2,旅行
ダウンタウンからほど近い場所にある「ローダイ ワイン&ビジターセンター」
PHOTO : Stephanie Russo/Courtesy of Visit Lodi

サンフランシスコから東へ、車で約1時間半。ローダイの街に着いたら、まず「ローダイ ワイン&ビジターセンター」へ。

テイスティングルームとラウンジ、セミナールームからなる施設で、約80のワイナリーのワインを週替りで8種類ほど試飲することができます。

ここでワイナリーのマップを手に入れて、試飲しながらじっくりローダイ巡りのプランを練るのがおすすめです。ぜひ、実際に飲んで気に入ったワイナリーを訪れてみましょう。

海外旅行_3,旅行,ワイン_2
広々としたテイスティングカウンター。ワインの知識豊富なスタッフがフレンドリーに質問に答えてくれます。
PHOTO : Stephanie Russo/Courtesy of Visit Lodi

「ローダイ ワイン&ビジターセンター」に隣接したホテル「ワイン&ローゼス」も、ローダイ巡りの拠点にぴったりな場所。広い敷地内にレストラン&カフェ、スパ、マーケットなどを備えた歴史あるホテルです。レストランでは、80種類以上のローダイワインを良心的な価格で提供しています。

海外旅行_4,旅行,ワイン_3
「ワイン&ローゼス」内のレストラン「タウンハウス」。併設されたラウンジでは、日替わりでピアノやジャズバンドなどの生演奏が楽しめます。PHOTO : Wine&Roses

多数の受賞歴をもつ著名シェフ、ブラッドレイ・オグデンが監修する地元の食材をいかした料理も評判。豆腐やジャンバラヤ、セビーチェといった各国の料理の要素を取り入れるなど、捻りをきかせたメニューを味わうことができます。グラスワインが充実しているので、ソムリエに相談して、ローダイ・ワイン限定のペアリングをアレンジしてもらうのもいいですね。

ワイン&ロージズの最新情報はこちら

■注目ワイナリー1:ローダイが脚光を浴びるきっかけになった「マイケル・デイヴィッド・ワイナリー」

海外旅行_5,旅行
大きなタンクに描かれた賑やかなイラストにご注目を! 「マイケル・デイヴィッド・ワイナリー」の人気ワイン「フリークショー」シリーズのイラストが全面に描かれており、ワイナリーの遊び心や「わが道を貫く」という信念が感じられます。

ここから、数あるなかから訪れるべきワイナリーを3軒ご紹介します。まずは、世界で最も有名なワイン評論家、ロバート・パーカー(現在は引退)をして「地球上で最も価値のあるワイナリーのひとつ」と言わしめたローダイの「マイケル・デイヴィッド・ワイナリー」。

もともと1850年から続く農園でしたが、共にワイン醸造の名門大学で学んだ5代目のマイケル氏、デイヴィッド氏兄弟が1984年にワイナリーを設立しました。

小さな新進ワイナリーが一躍脚光を浴びるきっかけになったのは、2002年に初リリースされたジンファンデルのワイン「セブン・デッドリー・ジンズ」(現在は他社に売却)。

これがワイン業界誌や評論家から絶賛され、世界的に評価されるワイナリーへと成長しました。ワイン産地としてのローダイの知名度を飛躍的に高めたと同時に、現地のサステイナブルなワインづくりを牽引する存在でもあります。

ワイナリーはテイスティングルームに加え、カフェ、ベーカリー、ショップ(ワインのほか地元の野菜なども販売)、広いガーデンを備えた、テーマパークさながらの充実度。時間をとってゆっくり訪れたいスポットです。

海外旅行_6,旅行,ワイン_4
広いガーデンは入場無料。テイスティングルームやカフェを利用しなくても、自由に入ることができます。

マイケル・デイヴィッド・ワイナリーの最新情報はこちら

■注目ワイナリー2:40年以上の歴史をもつ「ルーカス ワイナリー」

海外旅行_7,旅行,ワイン_5
時期によっては樽から試飲できるチャンスも。PHOTO : Lucas Winery

ローダイの個人経営のワイナリーのなかで、もっとも歴史のあるワイナリーのひとつがこちら。1978年に設立された「ルーカス ワイナリー」です。

早いうちからオーガニックかつサステイナブルなワインづくりに取り組んでおり、ブドウ畑はCCOF(カリフォルニアの有機認証機関)認定、ワイナリー内の電力は太陽光発電によるもの。オーナー夫妻は地元の醸造家たちのリーダー的存在として知られています。

通常のテイスティングのほか、希望に合わせて内容をアレンジしてくれる詳しい解説付きテイスティングやワイン畑のツアーも実施。ワイン好きならずとも見逃せない、より深堀りしたワイン体験がかなうワイナリーです。

ルーカス ワイナリーの最新情報はこちら

■注目ワイナリー3:スペインのブドウ品種に強い「ボーキッシュ ヴィンヤーズ」

海外旅行_8,旅行,ワイン_6
畑からの眺めが抜群と評判の「ボーキッシュ ヴィンヤーズ」。時期と時間によっては美しいサンセットを拝むことができるかも? PHOTO : Lisa Mowry

スペインにルーツをもつオーナーが2000年にスタートした「ボーキッシュ ヴィンヤーズ」。現在100種類以上のブドウ品種を育てているローダイにあって、初めて本格的にスペインの固有品種に着手したのがこちら。ローダイの気候や土壌が多様かつ上質なブドウ品種の栽培に向いていることを証明したワイナリーといえます。

テイスティングやブドウ畑でワインとおつまみを味わうピクニックなどができるほか、スペイン料理とワインを楽しむイベントも定期的に開催。ローダイにいながら、スペインの豊かな食文化を体感することができるワイナリーです。

ボーキッシュ ヴィンヤーズの最新情報はこちら

ご紹介した3軒は、カリフォルニア独自の「ローダイ ルールズ」に基づいた醸造を行っているワイナリー。

「ローダイ ルールズ」とは、環境と人間への安全性に配慮した持続可能なブドウ栽培プログラム。農薬の使用量など細かな規定を設け、認定を受けたワイナリーのワインにはグリーンのシールが貼られています。

地元のワイン醸造家たちいわく、「『ローダイ ルールズ』に基づいてつくられたワインを飲むことは、地域の農業コミュニティーをサポートすること」。

ローダイがワイン産地として注目を集め始めている理由は、クオリティーやバランスのとれた価格に加え、未来を見据えたワイン産業や農業との向き合い方にあります。

地元の人たちの話を聞きながらワインを味わうことで、きっと「おいしい」以上の気づきや学びを得ることができるはずです。

毎年4月は食のお祭り「ローダイ・グレープ・フェスティバル」、5月には大型テイスティングイベント「ジンフェスト」が開催されるなど、ローダイは街を挙げてワインを楽しむイベントが盛りだくさん。イベントを狙って旅を計画するのもおすすめです。

ローダイのワインについて詳細はこちら

オーガニックの上質なオリーブオイルも見逃せない!

海外旅行_9,旅行,ワイン_7
「カリヴァージン」のテイスティングルームのそばに広がるオリーブ畑。マイルドな味わいで人気のアルベキーナ種を主に栽培しています。

ローダイには小規模な家族経営でサステイナブル&オーガニックな生産を目指すワイナリーが多いとご紹介しましたが、最後に同じスピリットをもつオリーブオイルメーカーをご紹介します。

「カリヴァージン」は、「Tree to Bottle(木から瓶になるまでまで、すべて一貫して製造すること)」を掲げるオリーブオイルメーカー。

もともと100年ほど続く農家で、さまざまな野菜やフルーツを栽培していましたが、2005年からオリーブ1本に絞ることに。オリーブに専念することで、無農薬栽培や手摘み収穫など、よりきめ細かな栽培が可能になりました。

エキストラバージンオリーブオイルはすべて、世界で最も厳しいとされるCOOC(カリフォルニアオリーブオイルカウンシル)の認定を受けたもの。コンクールでの受賞歴も多く、躍進目覚ましいオリーブオイルメーカーです。

海外旅行_10,旅行,調味料_1
テイスティングセミナーでは、オリーブ畑を散策したのち、店内のセミナールームへ移動。製造風景をビデオで鑑賞したあとに5種類のオリーブオイルをテイスティングします。

テイスティングルームでは、オリーブオイルや関連商品(オリーブの実やオリーブの木を使ったプレートなど)の販売に加えて、週1回テイスティングセミナーを開催。オリーブオイルのつくり方や違いはもちろん、自分の好みを知るのにも最適。食欲と知的好奇心を刺激するセミナーです。

海外旅行_11,旅行,ワイン_8
新しい施設の完成予想図

なんと来年にはワイン醸造をスタートする予定だという「カリヴァージン」。それに伴って、ワイナリーとオフィス、オリーブオイル工場、ショップ、テイスティングルームを備えた施設をオープンするそう。オリーブオイルとワインがどちらも楽しめる、ローダイの新名所になること間違いなしです。

カリヴァージンの最新情報はこちら

■HOT TOPICS:羽田発着の国際線が増便!ANAでカリフォルニアがぐっと身近に

前編、後編とお届けした「知られざるカリフォルニアの魅力」はいかがでしたでしょうか? 旅のプランニングにあたって、行き帰りのフライトも旅の満足度を高める重要なポイントですよね。サンフランシスコ、サンノゼへ直行便をもつANAを利用すれば、より快適でフレキシブルな旅程を実現することができます。

海外旅行_12,旅行
ANAが羽田空港発着のアメリカ路線を大幅増便!

2020年のサマーダイヤ(2020年3月29日(日)からスタート)からANAの羽田空港発着のアメリカ路線が大幅に増え、さらにカリフォルニアが近い存在になること間違いなし。

なかでも、新規開設するサンノゼ、サンフランシスコ、増便するロサンゼルス便は嬉しいニュース。充実した国内線ネットワークをいかして、日本各地からの移動もいっそうスムーズに。

羽田発/成田発と選択肢が広がるため、自分のスケジュールにマッチした日本と現地の発着時間を組み合わせることが可能。より長く、無駄なくカリフォルニアでの滞在を楽しむことができます。

世界最高評価の「5スター」を7年連続(2019年現在)で獲得していることや、北米路線では機内Wi-Fi接続ができること(有料)も魅力。きめ細かなサービスやエンターテイメントの充実度が、機内での満足度をぐっと高めてくれるはずです。

各国のスターシェフとのコラボレーションした機内食プロデュースチーム「THE CONNOISSEURS(ザ・コノシュアーズ)」もANAならではの試み。国際線では、著名シェフのお料理やトップソムリエによるドリンクを味わうことができます。近年の進化が目覚ましい機内食の最前線を体感できるプロジェクトです。

海外旅行_13,旅行
世界中にファンをもつトップパティシエ、ピエール・エルメ氏とのコラボレーションスイーツも提供(写真のカップデザート「エモーションモンブラン」がピエール・エルメ氏とのコラボレーションによるもの。ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラスで提供。時期によってメニューは異なります)

行きはサンフランシスコから入り、北から南へと移動しながら旅を楽しんで、サンノゼから帰国する。……そんなダイナミックなプランも、ANAなら可能です。ぜひ今回の記事を参考に、時間をめいっぱい有意義に使うカリフォルニアトリップをプランニングしていただければと思います。

※「HOT TOPICS」内の情報は2019年12月1日時点での情報です。また、画像はすべてイメージです。

ANAの最新情報はこちら


前編】穴場の港町リゾートから大自然まで!通が狙う「カリフォルニアの観光スポット」5選

前編は通が狙うスポット、この後編は話題のワイン産地にフォーカスして、「知られざるカリフォルニア」の一端をご紹介しました。

カリフォルニアに行き慣れた方もそうでない方も、改めて現地の多種多様な魅力を感じていただけたのではないでしょうか。ぜひ前後編合わせて、来年の旅計画にお役立てください。

カリフォルニアの最新情報はこちら

関連記事

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
PHOTO :
David Collier(vinyard)、Stephanie Russo(Visitor Centor)、Wine & Roses(Wine & Roses)、Lucas Winery(Lucas Winery)、Lisa Mowry(Bokisch Vineyards)、NAOKO MONZEN(Michael David Winery、Calivirgin)
EDIT&WRITING :
門前直子
SPECIAL THANKS :
カリフォルニア観光局