ウィスキーの樽材チップがもたらす、「燻製紅茶」の芳醇な香り
静岡県島田市にある牧之原台地は、日本有数のお茶どころ。この地で代々お茶の生産を行ってきた「カネロク松本園」の革新的な和紅茶、「燻製紅茶」をご存知でしょうか?
開発したのは、3代目の松本浩毅さん。中国伝来の製法をもとに、これまで日本茶の文化にはなかった「茶葉を燻す」という製法を独自で研究開発し、ウィスキーの樽材チップを用いた「燻製紅茶」を生み出しました。
中でもスペシャルなアイテムが、まるでウィスキーのような見た目に驚かされるボトリングティー「Japanese Smoked Tea」です。その味わいに惚れ込んだバーや酒屋でも扱われていますが、量産ができないため、仕入れ先が限定されている商品なのだそう。
スタイリスト河井真奈さんが手がけるギフト専門ショップ「futo」でも、トップクラスの人気を誇るという「燻製紅茶」のボトリングティー。そのこだわりに満ちた製法と、味わいの魅力を教えていただきました。
世界農業遺産に登録された、「静岡の茶草場農法」を継承
「カネロク松本園さんは、世界農業遺産に登録されている『静岡の茶草場(ちゃぐさば)農法』で茶葉を生産されています。茶園の周囲や近隣の山に自生しているススキや笹などの山草を刈り取り、茶樹の根元に敷きこんでいくという農法です。
これにより有機肥料を使用した減農薬が実現し、健康的で上質な製品が生産できることに加えて、絶滅を危惧される希少な花々や昆虫の生態も守っているのだそうです。
そんな伝統農法を継承する一方で、日本茶の新たな分野を開拓したのが『燻製紅茶』。カネロク松本園3代目を担う松本浩毅さんが『世界のどこにもなかったオリジナルのお茶を作りたい』という想いから、試行錯誤を重ねて研究開発されました」
世界から注目される、ジャパニーズウィスキーの熟成樽を活用
「アイデアのベースとなったのは、紅茶発祥の地と称される中国・武夷山の『ラプサンスーチョン』。松の木を燃料に燻して乾燥したお茶で、アールグレイのもとになったといわれています。
これまで日本茶の文化にはなかった茶葉を燻すという製法を知り、さまざまな燻製チップで試作を繰り返した結果、ひときわ芳醇な香りが生まれたのが、ウィスキーの熟成樽で燻製した茶葉でした。
使用されている樽材にも、松本さんのこだわりが貫かれています。日本で唯一のウィスキー専業メーカーであり、世界中のウィスキー愛好家から高い評価を得ている『ベンチャーウィスキー』に協力を仰ぎ、秩父蒸溜所でウィスキーの熟成に用いられたものを提供していただいているそうです。
“燻製”という方法に行き着いた理由のひとつに、『お茶の生産者として、自分が大切に育てた茶葉に香りづけのために添加物を加えるような手法には、抵抗があった』という松本さんの気持ちにも、心を打たれました」
これまでにないデザインのボトリングティーを目指して
「実は、当初、futoで扱う商品は茶葉だけのつもりでした。ボトルタイプは賞味期限も半年と比較的短く、茶葉に比べると価格も少し高くなるので。でも、お店を開店する際にお試しにと6本だけ置いてみたら、オープン初日に完売! 翌日慌てて追加発注して、松本さんの手元にあるものをすべて送っていただきました。
好評の理由は、商品の確かさはもちろん、まるでシングルモルトウィスキーのような、意外性のある見た目。ここにも松本さんのこだわりが詰まっているのです。
世の中に流通しているボトリングティーの多くは、ワインや日本酒のようなデザインが多いそうです。しかし、『燻製紅茶』はウィスキーに関わるお茶であり、またバーテンダーの方から『店に置きたい』というラブコールもあったことから、ダイレクトにウィスキーを想起させるボトルデザインに。
さらに、抽出するお茶の色も大切な要素です。緑茶とは違い、紅茶には時間の経過によって白濁する、クリームダウンという現象が起こります。この壁をクリアするために、静岡県でお茶の抽出とボトル詰めを受託している『Benefitea』のコールドエクストラクション製法で試作を繰り返し、ティーポットでは出せない深い味わいと、美しい琥珀色の『Japanese Smoked Tea』が完成しました」
意外な楽しみ方もできる、芳醇&濃厚なテイスト
「見た目だけでなく、味わいも格別の『Japanese Smoked Tea』。はじめて飲んだ時には、口に含んだ瞬間にふわっと香る燻製のフレーバーと濃厚さにびっくり! 喉をうるおすために飲むというよりも、まさにウィスキーのロックのように、少しずつじっくりと味や香りを楽しみたいと感じました。
私はまだ試したことがないのですが、松本さんによると、ウィスキーと割るのもおすすめだそう。アルコールが苦手な人にも、好きな人にも、そして美味しいものを熟知している舌の肥えた人にも、必ず喜んでいただけるアイテムだと思います」
スタイルもフレーバーも幅広い!「燻製紅茶」3選
■1:燻製紅茶ボトル「Japanese Smoked Tea」
高級ウィスキーを思わせるパッケージとボトルがインパクト大。ビターなチョコレートやチーズなどと相性抜群です。
■2:茶葉「燻製紅茶(ウィスキー)」
茶葉タイプの「燻製紅茶」は、ギフトにはもちろん自宅用にもおすすめ。好みの濃さに淹れて楽しめます。
■3:茶葉「燻製紅茶(林檎、桜)」
新たに取り扱いをスタートした「林檎」と「桜」は、「ウィスキー」に比べてパンチが抑えられた軽やかな燻製香が特徴です。
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今回は、カネロク松本園の「燻製紅茶」をご紹介しました。ギフトには意外性や驚きも重要です。目新しさと美味しさが両立しているアイテムを、大切な人への贈りものに選んでみてはいかがでしょうか?
※掲載した商品はすべて税抜で、記事公開時のものです。
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- EDIT&WRITING :
- 谷 花生