いくつになっても成長できるのが人間。では、あなたは最近、自分の“成長”を感じましたか? オフィスコミュニケーションやビジネスマインドをわかりやすく伝える、3人のビジネス書作家の皆さんに<人間レベルを引き上げるための良習慣>を伺いました。
■自分の人間レベルを引き上げる「考え方」が身につく良習慣
すぐに実践できる60の成功法則を提案する新刊「成功法則大全」(WAVE出版)。その著者で、国内外の“成功”に関する1000冊以上の書籍から「成功のコツ」を分析した高田晋一さんに、常に成長できる人になるために心に留めておきたい<考え方>をお聞きしました。
■1:少しチャレンジングな目標をもつ
「『目標に挑戦する』ことほど人間が魅了されることはありません。常に目標を持ち、それに挑んでいる限り、あなたの成長とその喜びは止まることがないはずです」と、高田さんは“目標を持つこと”の大切さを指摘します。
また、めざす人間像に近づくために高田さんが勧めるのが「理想像を持つこと」。
「具体的な人物だとさらによいでしょう。迷ったときに『あの人だったらどうするだろう?』と自問自答することで、理想像に近づくことができます」(高田さん)
■2:新しい経験に定期的にチャレンジする
「同じ経験ばかりだと、自然と成長スピードは落ちていきます。経済学で言う“限界効用逓減の法則”と同じ考え方です」と高田さん。
お勧めは、定期的に「新しい経験」にチャレンジする習慣。実際、洋服やバッグといった「モノ」に支出するよりも、旅行やイベント、映画といった「経験」に支出する方が幸福度が上がりやすい、という研究結果もあるのだそう。
「新しいお店に入る、新しいセミナーに申し込んでみる、新しい地域を旅行してみるなど、常に“新しい経験”を心がけてみましょう」(高田さん)
■3:ライフワークをもつ
500名以上の社会的成功者にインタビューしたある研究によると、彼らの成功要因として最も多く挙がった言葉は「情熱を注げることに取り組む」だったそう。
「仕事でなくても、スポーツでも、ダンスでも、読書でも、ファッションでもいいかもしれません。好きなことを追求している限りは、あなたは成長を止めることがないでしょう。それはいつか、思いもかけない社会的成功をも呼び込むかもしれません」(高田さん)
自分の人間レベルを引き上げる<人脈・つながり>を増やす良習慣
助け合える職場にするためのコミュニケーションづくりのヒントが見つかる「働く人改革 イヤイヤが減って、職場が輝く!ほんとうの働き方改革」(インプレス)。その著者で、“人”を切り口にした職場改革を提案する業務改革・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまねさんに、自分にとってプラスになる人脈を増やすための習慣を伺いました。
■4:自分が“何者”か、きちんと示す
「自分が何者かを示せれば、相手が“この分野はこの人に”と頼りやすい」と沢渡さん。
これをロールプレイングゲームに置き換えると、強靭な肉体を持ち武器を使った攻撃に長けた「戦士」、体力は弱いが攻撃の呪文を自由に操る「魔法使い」、体力回復など守りの呪文の使い手「僧侶」など、どの場面でどのキャラクターを投入すればよいかが一目瞭然。ビジネスの場も、それと同じだと沢渡さんはいいます。
「たとえば契約の法務処理が得意な人に、営業を任せてもうまくいきっこないですよね。自分には何ができて、何ができないかを示しておくと、チームの結束を高めることにもつながります」
■5:ビジョンや情報を抱え込まず、オープンにする
部下や仕事相手が<自分が何者かを示す>ためには、上に立つ人間が自分のビジョンや情報をオープンにすることが大事、と沢渡さん。
「それがわからないと、相手はどこでどう役に立てばいいのか分からず、みんなが迷路の中をウロウロしている状態になるんです。情報は組織の上の方にたまりがちなので、上に立つ人ほど情報をオープンに出すことが大事です。ビジョンを明確に伝えられる人の周囲には、情報も人も集まります」(沢渡さん)
■6:「No」ではなく「どうすればできるか」を伝える
「最初から『できません』と答える人に、人は寄りつきません。反対に、『今は難しいけれど、いつならできます』『自分ではできないけれど、できる人を紹介しましょうか』と言える人は信頼され、人が寄ってくるものです」沢渡さんはいいます。
「それができるのは、日頃からいろんな情報に触れ、いろんな人を知っている、引き出しが多い人。この人と一緒に仕事ができたら面白いだろうな、と思われる人って、そういう人だと思います」(沢渡さん)
■7:感謝の気持ちを積極的に伝える
沢渡さんが自ら実践する<習慣>がこちら。
「例えば、おいしいと思ったレストランでは、レジで必ず「おいしかったです!」と必ず伝えます。そうするとお店のモチベーションも上がって、またおいしい料理が食べられる。それはすべてのことの基本で、ビジネスの場でも同じ。求心力のある人は、感謝を具体的に言葉で伝えているな、と思うんですよね」
感謝を言葉で伝える姿勢は、第三者へもよい影響を与えます。
「胸に金バッヂをつけたある企業の役員の方が、路線バスを降りるときにドライバーさんに『ありがとうございました』と伝えていたんです。そういう人って部下から見ても気持ちいいですよね。この人はちゃんと見てくれる人、まわりを幸せにできる人だなと。そうするとこの人のためにいい仕事をしようと思うわけです」(沢渡さん)
自分の人間レベルを引き上げ、最強の自分をつくる<口ぐせ>
ヤフー株式会社の社内大学「Yahoo!アカデミア」学長も務める同社コーポレートエバンジェリスト・伊藤羊一さん。その近著「キングダム 最強のチームと自分をつくる」(かんき出版)は、「仕事力の鍛え方」の極意を人気コミック「キングダム」のメッセージに乗せてまとめた一冊です。
同書で魂を奮い立たせるメッセージを発信する伊藤さんに、ご自身も実践する<最強の自分をつくる口ぐせ>を伺いました。
■8:「心を自由に」
「僕らは、周囲の人と、相互に依存しながら生活している。だから、何かことを起こそうとするとき、僕らはつい、周りの人たちとのしがらみをまず考えてしまう」と伊藤さん。
「しかし、それでは一歩を踏み出すことができません。だから僕は、何かを判断するときには、必ず『心を自由に』と唱え、何にも縛られずに自由な心で、GoかNo Goかを判断するようにしています」(伊藤さん)
■9:「迷ったらワイルドな方を選べ」
これは、ヤフー株式会社の宮坂学社長が2012年の社長就任時に語った言葉。
「これを聞いてから僕も、ずっと自分の行動規範として、口にしてきました。僕たちが意思決定するときには、ハイリスクハイリターンか、ローリスクローリターンか、という選択肢で悩んでいることが多い。面白い人生、面白い仕事にするためには、ハイリターンを狙いたい。ならば、リスクを取る。すなわち、ワイルドな方を選ぼう、として、自分を鼓舞するのです」(伊藤さん)
■10:「ポジティブにガンガン進もう」
「ものごとをポジティブに捉える方が気持ちも前向きになる。ならばポジティブにものごとを捉え、ガンガンと踏み出そうとするのがよいのです」(伊藤さん)。
伊藤さん自身、そうしたポジティブ思考を意識しているのだそう。「人を巻き込むリーダーは、常にポジティブです。昔はネガティブな思考で一歩踏み出すのにちゅうちょすることも多かった僕も、常にポジティブでいようとすることで、一歩が踏み出せるようになってきました」(伊藤さん)。
自分の理想の姿は、自分自身でつくり出すことができるのです。
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3人のビジネスマインドの専門家に、人間レベルを引き上げる10の習慣をお聞きしました。最後にもうひとつ、伊藤羊一さんが大切にしている言葉を教えていただきました。
それは、「Just do it!」
「頭や口で理屈をこねても、最終的には行動しなければ意味がない。うまくいかなくても、その経験を踏まえて次につなげればいい」という伊藤さんのメッセージは、すべての良習慣に通じます。伊藤さんはいいます。
「常に行動することが大事。時には、何も考えずに飛び込むことも必要です。だから、Just do it!」
耳にしたことのあるフレーズもあると思いますが、なんども耳にするということは、それだけ大切なことだと成功した人が口にしているということ、どれかひとつでも心に留めて、実践してみてくださいね。
あまねキャリア工房
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 酒寄美智子