ページをめくるたびに食欲がそそられる!「美味しい一冊」4選

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「美味しい一冊」4選。■1:鴻巣友季子さん(翻訳家)のおすすめ『茄子の輝き』著=滝口悠生 新潮社 ¥1,600 ■2:犬養裕美子さん(レストランジャーナリスト)のおすすめ『サクランボの丸かじり』著=東海林さだお 朝日新聞出版 ¥1,300 ■3:藤井志織さん(ライター)のおすすめ『おいしい中東 オリエントグルメ旅』著=サラーム海上 双葉文庫 ¥857 ■4:Chizuさん(スタイリスト)のおすすめ『巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる』著=石井好子 河出文庫 ¥630

ページをめくるたびに、行間からは食欲をそそる香りが立ち昇るよう。そんな卓越した食の描写に、すっかりグルマンな妄想にとり憑かれること必至の本をご紹介します。

食事シーンに思わず喉が鳴ったり、緻密な味の描写にうなったり、それはもう活字の「飯テロ」レベル! レストランジャーナリストの犬養裕美子さんの言葉を借りるなら、「この本をじっくり読む時間は、どんなディナーよりも贅沢!」

それぞれ趣は異なるけれど、美味しい妄想の旅に耽ることができるこれらの本で、豊かな時間を過ごしましょう。

■1:鴻巣友季子さん(翻訳家)のおすすめ『茄子の輝き』

「はかない記憶だからこそ何よりもきらめく垂涎の食シーンです」

かなり昔に新婚旅行で訪れた島根の話、元妻と義父母と過ごした旅先におけるこまぎれの思い出、新しく入社してきた女性へのゆるやかな妄想と回想…。芥川賞作家が記憶のなかにあるかけがえのない輝きを追います。

著=滝口悠生 新潮社 ¥1,600

推薦コメント:「ある男性の10年ほどをつづった連作短編集ですが、挟まれる飲食のシーンが作者渾身の見どころ。居酒屋『世界屋』でふるまわれる、鮮やかな紫色に輝く茄子の揚げ出しと薄く削られた鰹節と摺り生姜、野菜の天ぷら、水餃子…ああ夜中には読めません

■2:犬養裕美子さん(レストランジャーナリスト)のおすすめ『サクランボの丸かじり』

「鋭い観察眼と尋常ではない妄想力…。まるで3段弁当並みの豪華さ!」

1987年に始まって以来、『週刊朝日』の超長寿連載『あれも食いたいこれも食いたい』の最新刊です。

著=東海林さだお 朝日新聞出版 ¥1,300

推薦コメント:「食に関するエッセイで、最も影響を受けたのが東海林さだお先生の『丸かじり』シリーズです。『甘さの中に、どこか空の味がし、どこか樹木の系譜を宿した香りがある。セミが樹液を吸うように、人はサクランボを介して樹液を吸っていることになるのかもしれない』。

美味しさの理由をしぶとく追求する姿勢は『待ってました!』と大向こうから声をかけたくなるほど。わかりやすい解説は常に私のお手本です

■3:藤井志織さん(ライター)のおすすめ『おいしい中東 オリエントグルメ旅』

「中東のエネルギッシュな食文化に胃袋が刺激されます」

音楽評論家で料理研究家でもある著者が、中東各地で味わった料理や食のエピソードを、カラー写真とともにつづった紀行エッセイです。

著=サラーム海上 双葉文庫 ¥857

推薦コメント:「トルコ、モロッコ、イスラエル料理などは大好きで、料理の細かな描写、材料の羅列を読むだけで食欲が刺激されます。中東料理を通して背景の文化もわかりやすく整理されていますし、現地の人々の生命力にあふれた食への向き合い方に触れて、グルメ旅に出たくなります」

■4:Chizuさん(スタイリスト)のおすすめ『巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる』

「筆者と同じテーブルで熱々をいただきたい!真摯な"食いしん坊"本」

1950年代のパリに暮らし、シャンソン歌手でもあった著者が思い出深い料理を「匂い立つ」文章でつづったエッセイです。

著=石井好子 河出文庫 ¥630

推薦コメント:「『夕食にしましょうか』。下宿先のマダムが筆者に声をかけるところから始まるその一行で、美味しい匂いが漂ってくるよう。話はオムレツの具、ソースとリレーのように小気味よく続きます。食事を大切に思う姿勢が、人としての豊かさと優雅さに結びつくと感じさせる名エッセイです

※掲載した商品は、すべて税抜です。

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PHOTO :
よねくらりょう
EDIT&WRITING :
樋口 澪・宮田典子・剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)
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