春に行われるキリスト教最大のイベント「イースター」。海外では、このイースターの時期に休暇期間が設けられる国もあります。そこでこの記事では、「イースター休暇」をフィーチャー。2020年のイースター休暇はいつからいつまでなのか、またイースター休暇の内訳や欧州(ヨーロッパ)や米国の過ごし方をご紹介します。

※2020年のイースター休暇は、新型コロナウィルスに対する各国それぞれの対応によって、取得方法が変わっている可能性があります。本記事は、2020年のイースター休暇が通年通り、取得される場合を想定した内容となっています。イベント等の詳細は、各国の公式サイトなどでご確認ください。

■2020年のイースター休暇はいつからいつまで?

2020年のイースター休暇はいつからいつまで?
2020年のイースター休暇はいつからいつまで?

イースター休暇はイースターの日の前後に設けられますが、毎年日にちが変わります。2020年のイースター休暇の日にちと、休暇になる理由を解説しましょう。

イースター休暇は2020年4月10日から4月13日までの4日間

イースター休暇は、イースターの日の前後が休みになり、最大で3〜4日間の連休となります。このイースター休暇は、何月何日と決まっているものではなく、年によって日にちが変わります。なぜなら、イースターの日は「春分の日の後の、最初の満月の日の翌日曜日」と定められているからです。

ただし、イースターの日は日曜日で変わりませんので、多くの場合、イースターの日の日曜日を挟んだ、金曜日から月曜日までが休みとなります。

2020年のイースター休暇は、一般的には4月10日から4月13日までの4日間です。 ただし、国や地域によって休暇期間は異なります。また、学校や企業によっては、もう少し長めの休暇になるケースもあるようです。

イースターが休暇になる理由

「イースター」は、キリスト教最大のイベントで、クリスマスよりも重要視されているとも言われています。日本語で「復活祭」と訳されるこのイベントは、十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが3日後に復活したことを祝う、キリスト教にとっての大事なお祭りです。

そのため、キリスト教徒たちは、イースターの日には仕事を休み、神の休息に与ってキリストの復活を祝うのです。また、イースターの日前後は単なる休みではなく、休暇であるすべての日にそれぞれ意味があります。

■イースター休暇の内訳

イースター休暇のそれぞれの日には、名前がつけられており、意味があります。その名前と意味を紹介していきます。

木曜日は、イースター休暇直前の「ホーリーサーズデー」

イースター休暇直前の木曜日を「ホーリーサーズデー」といいます。日本語だと「聖木曜日」です。この日は、イエス・キリストが十字架にかけられる前日夜の、最後の晩餐の日を記念する日とされています。

教会では、この木曜日に聖餐式(せいさんしき)と呼ばれるミサや、洗足式が行われます。洗足式は、最後の晩餐の日に、イエス・キリスト自ら弟子たちの足を洗ったことが由来とされており、この日を「洗足木曜日」と呼ぶこともあります。 このホーリーサーズデーは、多くの場合、まだイースター休暇に入っていません。

金曜日は「グッドフライデー」

イースターの2日前の金曜日は「グッドフライデー」と呼ばれています。この日は、イエス・キリストが十字架にかけられ、処刑された日です。また、イースター休暇がスタートする日でもあります。

「グッドフライデー」は、日本語だと「聖金曜日」と訳されます。その理由は、イエス・キリストが人類の罪を背負って自らを捧げることにより、人類が救われたため「グッドフライデー」と言われるようになった、とされます。

また、この日は教会へ行き、自分たちの身代わりになったイエス・キリストに感謝し、お祈りします。 各家庭では、この日に「肉を食べない」、「断食する」、「娯楽を避ける」などの習慣もあるとされています。それは、血を流すことを避けるという理由からなのだそうです。

土曜日は「ブラックサタデー(復活徹夜祭)」

イースター休暇の土曜日は、「復活徹夜祭」もしくは「ブラックサタデー」とよばれます。「ブラック」の文字が表すとおり、十字架に架けられたキリストを追悼し、喪に服す日です。

教会ではろうそくに火を灯し、キリストの復活を待つ「復活徹夜祭」というミサが行われます。これは、夜通し行われる行事です。また、地方によっては、イエス・キリストを裏切った弟子・ユダに見立てた藁人形を焼き払う習慣もあるようです。

日曜日は「イースター(イースターサンデー)」

この日は、イースター休暇のメインの日「イースター」当日で、イエス・キリストが処刑されてから3日後に復活した日とされます。この日はイースターと呼ばれる以外に、「イースターサンデー」ともいわれます。

イースター休暇のなかでも重要な日なので、教会では特別なミサが行われ、キリスト教圏の国では、多くのイベントが開催されます。イベントの一例としては、仮装パレードや、イースターマーケット、かがり火を焚くなどの伝統行事などがあります。

月曜日は「イースターマンデー」

イースターの翌日が「イースターマンデー」です。この日はイースター休暇の最終日。多くの国や地域では、祝日となっています。 イースターマンデーは、家族や友達と過ごす日です。

イースター当日同様、多くの国や地域でイベントが行われ、家族連れやカップルでイベントに参加する方が多くいます。子供向けイベントの「イースターエッグ探し」も各地で行われます。

■欧州(ヨーロッパ)や米国のイースター休暇の過ごし方

欧州(ヨーロッパ)や米国のイースター休暇の過ごし方
欧州(ヨーロッパ)や米国のイースター休暇の過ごし方

イースター休暇は、教会のミサに参列したり、家族でご馳走を食べて過ごすのが一般的です。しかし、各国では、特色のある過ごし方もあります。以下より、欧州(ヨーロッパ)や米国など、各国の過ごし方を見ていきましょう。

※2020年のイースター休暇は、各国それぞれの対応によって、期間や過ごし方が変わってくる可能性があります。以下ご紹介させていただいている行事やイベントが、2020年も同じく行われない場合もあります。

■アメリカのイースター休暇

アメリカでは、盛大にイースターを祝います。その様子をご紹介しましょう。

休暇期間

アメリカの法律では、イースター休暇を国の祝日に制定していません。しかし、一部の州では祝日に定められているところもあります。よって、休暇期間も州ごとに違いがあるようです。

多くの場合は、金曜日から日曜日までの3日間を休暇としています。 2020年の日程は下記のとおりです。

4月10日(金)
4月11日(土)
4月12日(日)

過ごし方

アメリカでのイースター休暇の過ごし方は、

・教会のミサに参加し、お祈りする
・自宅でイースターならではの料理を食べる
・家族、友人、恋人と過ごす
・子供たちは「エッグハント」を楽しむ

などがあります。

また、家族や友人と自宅でご馳走を食べて過ごします。その際の代表的な料理には、「子羊の蒸し煮」や「ローストラム」などの羊肉を使った料理や、卵料理、ドライフルーツを混ぜて焼いたパン「パネトーネ」などがあります。

復活祭の当日には、子供達が「エッグハント」というゲームをします。これは、隠された卵を探し、誰が一番多く集められるかを競うゲームです。

アメリカのイースターで、ホワイトハウスの恒例行事となっているのが、「イースターエッグロール」。この行事は、子供たちが参加する、卵ころがしレースです。復活祭の翌日であるイースター・マンデーに行われます。

また、ニューヨークでは例年、「イースターパレード&イースターボンネットフェスティバル」が開催されます。これは、ユニークな帽子をかぶった人や、仮装した人たちが五番街を練り歩くイベントです。

■ドイツのイースター休暇

「イースター」は、ドイツ語で「オースターン(Ostern)」と呼ばれています。イースターの時期には、ドイツの街中に、イースターの象徴である卵やうさぎのモチーフが飾られます。

休暇期間

ドイツでのイースター休暇期間は、一般的には金曜日から月曜日までの4日間です。そのうち、日曜日を除く「グッド・フライデー」、「復活祭」、「グッド・マンデー」が祝日となり、4連休となります。

2020年の日程は以下の予定です。

4月10日(金)
4月11日(土)
4月12日(日)
4月13日(月)

過ごし方

ドイツでの過ごし方は以下のとおりです。

・家族で食事を楽しむ
・「イースターファイヤー」を見る
・「エッグ・ハント」を楽しむ

ドイツでは、エッグハントをした後に、家族でご馳走を食べる(食事をする)という流れのようです。イースターのご馳走には、羊やうさぎの肉を使ったメニューを食べます。また、「オースターフラーデン」というレーズンやドライフルーツ、ナッツが入ったパン菓子を食べるのも習わしです。

ドイツ北部の特徴的な風習には、高く積み上げた薪を燃やす「イースターファイヤー」というものがあります。薪を燃やすことで、悪霊を払ったり豊穣を願ったりする意味があるそうです。

また、南ドイツあたりでは、噴水や泉を飾りつける「イースターの噴水」という風習もあるそうです。

■イタリアのイースター休暇

「イースター」はイタリア語で「パスクア」といいます。イタリアのイースター休暇には、一風変わった習慣があります。

休暇期間

イタリアでのイースター休暇は、多くの場合、土曜日から月曜日までの3日間です。月曜日の「イースターマンデー」は祝日となっています。「グッドフライデー」はお祝いはしますが、祝日ではないようです。

2020年の日程は以下の予定です。

4月11日(土)
4月12日(日)
4月13日(月)

過ごし方

イタリアのイースター休暇の過ごし方は、

・家族や親戚とともに昼ごはんを楽しむ
・イースター特有のお菓子を食べる
・イースターマンデーにはピクニックをする

などがあります。 ほかの国でも、家族や友人と食事を楽しむことはありますが、イタリアのイースター休暇の過ごし方で特徴的なのは、「昼ごはん」を家族や親戚と一緒に楽しむことです。

しかも、この昼ごはんは、お昼からはじまり夕方まで続くのだそう。このときに食べられる料理は、ゆで卵などの卵料理からスタート。メインに子羊を使った料理を食べます。また、庭でバーベキューをする家庭も多いようです。

イースターのときに食べるお菓子には、鳩の形をしたパン「コロンバ」や、卵の形のチョコレート「ウオーヴァ・ディ・パスクア」があります。「ウオーヴァ・ディ・パスクア」には、チョコレートの中におもちゃが入っているため、子供へのプレゼントの定番です。

イースターマンデーには、ピクニックをするのがお決まり。イースターの日に食べきれなかった料理やお菓子を持って行き、ピクニックランチをします。

■スペインのイースター休暇

スペインはカトリック教国で、イースターはとても大事な行事とされており、各地でイベントが開催されます。イースターの週のことをスペイン語で「Semana Santa(セマナ サンタ)」といいます。

休暇期間

スペインのイースターは、イースター当日の前の日曜日からスタートします。この週のことを「セマナ サンタ」と呼ぶそうです。セマナ サンタのうちスペイン共通の祝日となるのは、金曜日の「聖金曜日」です。地域によっては、木曜日も祝日となるところもあります。また、セマナ サンタの期間は学校はお休みです。

2020年の「セマナ サンタ」は以下の予定です。

4月5日(日)
4月6日(月)
4月7日(火)
4月8日(水)
4月9日(木)
4月10日(金)
4月11日(土)
4月12日(日)

過ごし方

スペインのセマナ サンタは、他の国のイースターとは違い、独特の雰囲気に包まれます。というのも、宗教行列や宗教儀式をして過ごすからです。そして、それらの宗教行事は各地域にあります。

主なセマナ サンタの過ごし方は、

・「プロセシオン」と呼ばれる行列に参加する
・聖木曜日の夜から聖金曜日の朝に7つの教会を訪問する

などがあります。

「プロセシオン」とは、「パソ」と呼ばれる台に、キリスト像やマリア像を乗せた山車を担いで街を歩く行事。宗教色の強い行事で、目の部分だけくり抜かれ、頭の部分がとんがったマスクを被った伝統衣装に身を包んだ「コスタレロス(costaleros)」と呼ばれる人たちが練り歩きます。

また、スペインでは聖木曜日と聖金曜日が重視されていることから、その2日間に7つの教会を訪問します。これには、「7つの教会で祈りを捧げ、キリストが最後の晩餐を行った場所から、十字架にはりつけにされたゴルゴタの丘までの道のりを思い出す」という意味があるそうです。

イースターに食べられるお菓子には、フレンチトーストのようなお菓子の「トリハス」、小さいドーナツみたいな「ロスコ」、パンに殻付きのゆで卵を飾る「モナ・デ・パスクア」などがあります。

■スイスのイースター休暇

スイスのイースター休暇
スイスのイースター休暇

チョコレートが大好きなスイスの人たち。イースター時期にはチョコレートの消費量が1年のなかで最も多くなるのだそうです。

休暇期間

スイスのイースター休暇は金曜日から月曜日までの4日間。このうち、金曜日と月曜日は祝日です。 2020年のスイスのイースター休暇は以下のとおりです。

4月10日(金)
4月11日(土)
4月12日(日)
4月13日(月)

過ごし方

スイスのイースター休暇の過ごし方は、

・チョコレートを食べる
・家族でご飯を食べる
・「エッグハント」を楽しむ

のが習慣となっています。

この時期のスイスは、街中にうさぎや卵のデコーレンションであふれかえります。お店のショーウインドウはもちろん、住宅のシンボルツリーにも卵のオーナメントを飾ったりするようです。

そして、スイスのイースターといえばはずせないのが、チョコレートです。この時期限定のイースターチョコレートも販売されます。なかでも有名なのは、1952年からリンツが販売している「ゴールドバニー」。うさぎの形をしたチョコレートで、首についた赤いリボンと鈴が特徴です。

■フランスのイースター休暇

カトリック教徒が多いとされるフランスでも「イースター」は大切な祝日です。フランス語では「Pâques (パック)」と言います。

休暇期間

フランスのイースター休暇は、イースターサンデーとイースターマンデーの2日間です。とても短く感じますが、その前後の週末を利用し、1週間程度の休暇を取る人もいます。 2020年のフランスのイースター休暇は以下のとおりです。

4月12日(日)
4月13日(月)

過ごし方

フランス人のパックの過ごし方は、

・家族や友人と食事をする
・卵やうさぎの形のお菓子を食べる
・チョコレートエッグを交換しあう

などです。

特筆すべきは、「チョコレートエッグ」交換。これは大人たちのイースターの楽しみで、ショコラティエで大きなチョコレートエッグを購入し、交換し合います。

一方、子供たちは「エッグハント」をして楽しみます。一般的には卵を探すゲームですが、フランスでは卵型のチョコレートを探すのだそうです。

■香港のイースター休暇

かつてイギリスの統治下にあった香港では、どのようにイースターを祝っているのでしょうか。見てみましょう。

休暇期間

香港でのイースター休暇は、金曜日、土曜日、月曜日が祝日で、日曜日をはさんで4日間がイースター休暇となるようです。また、学校は2週間程度の「イースターホリデー」があります。 2020年の日程は以下のとおりです。

4月10日(金)
4月11日(土)
4月12日(日)
4月13日(月)

過ごし方

香港の人たちのイースター休暇の過ごし方は、

・近郊旅行、または海外旅行
・イースターのデコレーションをする

などです。

香港では、イースター休暇を利用し、旅行に出かける人が多いようです。場所は、マカオなどの近郊であったり、海外であったりと、さまざま。イースター自体はあまり重要視されていないのかもしれません。

デコレーションは、ほかの国と同じで、卵やうさぎをモチーフにしたものが飾られます。 香港でイースターといえば、香港ディズニーランドです。イースターならではのパレードやショーが催され、盛り上がりを見せます。

国や地域によって違う!イースター休暇

2020年のイースター休暇は、各国それぞれの対応によって、期間や過ごし方が変わってくる可能性があります。当記事では、2020年のイースター休暇が通年通り取得される場合、イースター休暇はいつからいつまでになるのか、イースターが休暇になった歴史的理由などをご紹介しました。

また、ホーリーサーズデー、グッドフライデー、ブラックサタデー(復活徹夜祭)、イースター(イースターサンデー)、イースターマンデーなど、イースター休暇の内訳をチェックしています。

さらに、2020年のイースター休暇が通年通り取得される場合の、欧州(ヨーロッパ)や米国のイースター休暇の過ごし方や、アメリカ、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、フランス、香港のイースター休暇期間も調べてみました。

イースター休暇のことがおわかりになったでしょうか。日本にはイースター休暇はありませんが、イースターの時期に、世界各地の風習を取り入れてみるのもいいかもしれません。

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