豆腐を練り込んだ漆でルックスも耐久性もパワーアップ! 山中漆器が進化した「sibo」のお椀が人気です
山中漆器は、石川県加賀市にある山中温泉で、およそ400年前の安土桃山時代から続く伝統工芸です。
最大の特徴は、木目の美しさを引き立てる「拭き漆」という塗りが施されていること。生漆(きうるし)と呼ばれる透けた漆を、何度も塗っては拭き取りながら木地に刷り込むことで、木目が見える器に仕上げています。
そんな山中漆器をより現代の暮らしになじむよう、カラフルさと使いやすさを加えて進化させたのが、白鷺木工が2017年よりスタートしたオリジナルブランド、SHIRASAGIの「sibo」シリーズです。
贈りものにふさわしい伝統工芸というバックボーンと、高価な印象がある漆器としてはほどよい値ごろ感、そして食卓に彩りを添えてくれるモダンな色合いと三拍子揃っている「sibo」のお椀。
南青山のギフト専門ショップ「futo」では、結婚祝いのギフトを筆頭に自分買いのお客さまも多いという「sibo」の魅力を、お店のオーナーでもあるスタイリストの河井真奈さんに教えていただきました。
https://futo.jp/
日本有数の漆器産地で磨かれた、木地挽物職人の目利きと技術
「石川県には3つの漆器産地があり、それぞれの特色から『木地の山中』『塗りの輪島』『蒔絵の金沢』と称されています。白鷺木工は、石川県加賀市の山中温泉地区で3世代にわたって、山中漆器を中心とした丸物木地を作り続けてきました。
丸物木地とは、お椀のような円形の木の器。原木を仕入れて、切り分けて製材し、木目に合わせてどこをどの製品に用いるかを選別したら、旋盤で大まかな寸法に粗挽きした後に、昔ながらの『手引きろくろ』と『ろくろかんな』を用いて器の形に仕上げ挽きします。
多くの丸物木地は板状に製材した木材から作られますが、山中漆器は材木を輪切りにする『縦木取り』にすることで、美しい木目を生み出しているのです。
さまざまな工程を分業することも多い中、それらをトータルで手がける木地挽物職人である白鷺木工。原木から見抜くのは難しい木目の美しさを選び出す目利きや、確かな技術力への信頼は高く、山中漆器はもちろん輪島塗などにも商品を卸しているそうです」
家業に新たな境地を拓く、オリジナルブランドSHIRASAGI
「長年、丸物木地の粗挽きまでを手がけてきた白鷺木工の転機となったのは、11年前。3代目を継いだ末広さんの弟さんが、それまで勤めていた市役所を辞めて白鷺木工に入り、ろくろの修行に取り組んだことがきっかけでした。
そして、弟さんがろくろの技術を身につけた2011年からは仕上げ挽きまで行うように。さらに、『木地だけではなく自分たちでオリジナルの商品を作り出そう』と一念発起。漆塗りの職人さんも雇い、2017年にオリジナルブランドのSHIRASAGIが生まれました。
私が末広さんに出会ったのも2017年。東京ビッグサイトで行われていたギフトショーでのことでした。バリエーション豊富なSHIRASAGIの器はどれも新しさが感じられて素敵でしたが、何よりスモーキーなカラーリングがおしゃれだった『sibo』シリーズのお椀に心惹かれました。
内側は木目が美しい『拭き漆』とナチュラル仕上げ、外側は細やかな凹凸感をもたせた『絞漆』のコンビネーション。丁寧に叩き塗りすることで生まれた上質なレザーを思わせる質感は、滑りにくく、さらに傷が目立ちにくいというメリットもあり、日常使いにぴったりです。
『絞漆』とは、漆にタンパク質を混ぜることで化学反応が起こり、独特の粘りを出すという昔ながらの工法。そのタンパク質に地元の手作り豆腐を使用しているのも、こだわりのひとつだそう。
『木地だけを作っていた頃はどのような商品になるかわからなかったけれど、SHIRASAGIの器は最後まで見届けられるので、ひとつひとつが我が子のようです』という、末広さんの言葉も印象的でした」
やさしいスモーキーパステルと、心地よい凹凸のハーモニー。伝統美の中に新しさが息づく、SHIRASAGIの人気アイテム3選
■1:食卓をモダンに彩る「sibo」のしらさぎ椀
試行錯誤を重ねて開発された、本漆を用いながらも、洗練されたスモーキーパステルの色合いが魅力のお椀。内側はナチュラル仕上げと赤の2色があり、グレー×赤の組み合わせは、futoだけのオリジナルカラーです。
2個セットで結婚祝いに、内側が赤いものを還暦祝いに。いつまでも元気にお食事を楽しんでほしいという想いを託せるアイテムです。
■2:祝いのための杯「祝杯」
国産のミズメ桜をくり抜いて作られた杯は、口当たりよくお酒を楽しめるようにと、強度を保てる極限まで薄く仕上げた匠の技が光ります。
上品な輝きの金箔と銀箔は、慶事にふさわしい晴れやかなムードを醸し出すとともに、注いだお酒をより一層おいしそうに引き立てる効果も。すっきりとスマートなフォルムなので、和のしつらえにも、洋のしつらえにもぴったりです。
■3:ほっこりと優しい「波のカップ」
明け方の優しく波打つ海をイメージしたフォルムのカップは、温・冷ともに使用可能。シルエットが美しいだけでなく、カーブがあることでしっかりと持てるのもポイントです。
ナチュラルな木の色を生かした楓と、黒の漆塗りを施した桜の2色をラインナップ。モダンさと癒やしのムードを兼ね備えたデザインはもちろん、好みの色を組み合わせられる点でも人気を集めています。
今回は、白鷺木工が手がけるオリジナルブランドSHIRASAGIの「sibo」シリーズのお椀をご紹介しました。食卓に映え、料理を引き立てる器は、日々の暮らしを豊かに変えてくれます。
大切な人へはもちろん、自分への贈りものとしても気分が上がるアイテムは、「futo」のオンラインショップでも購入可能なので、ぜひチェックしてみてください!
※掲載した商品はすべて税抜で、記事公開時のものです。
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- EDIT&WRITING :
- 谷 花生