人生の幸福度に深く関わっているとされる“自己肯定感”。「私の人生がうまくいかないのはきっと自己肯定感が低いせい」との思いから、自分を変えようと努力したことのある人は多いのではないでしょうか。

ただ、自己肯定感を高めようと前向きな言動などを心がけても、なかなか習慣を定着させるのは難しいもの。変わらない自分に嫌気がさした結果、「やっぱり私って駄目……」とかえって自己肯定感を下げることになっては元も子もありませんよね。

自己肯定感を上げるには一体どうすればいいのか、今回は、メンタルトレーナーの古山有則さんから、誰でもすぐに実行できて効果抜群の方法を教えていただきました。

今すぐ、少しの時間でできる!自己肯定感を上げる「小さな習慣」6選

■1:歯ブラシを3倍の値段のものにする

歯ブラシをちょっと高価なものに変えるだけ!
歯ブラシをちょっと高価なものに変えるだけ!

自分に自信が持てない。自分には価値がないような気がする……。そう感じている人は、今すぐ洗面所に行って自分の使っている歯ブラシを要チェック。毛先の広がった使い古しはもちろんのこと、ほぼ新品でもこだわりの1本でなければ、捨ててしまいましょう。歯ブラシを3倍の値段のものにすることが、自己肯定感を高める第一歩だと古山さんは主張します。

「自分に自信が持てないという人に歯ブラシを替えてみようとアドバイスすると、『歯ブラシと自信は関係あるの?』とよくいわれます。しかし、歯ブラシのように自分が日常的に使っているものを替えることは、自信を育てるのに非常に効果的なんです。

歯ブラシに限らず、自分の日用品を『どうせ安くてもいいや』と思っていませんか? 何でも安く済ませようとするのは、自分にはその程度の価値しかないという潜在意識のせいかもしれません。

私もかつて歯ブラシはスーパーで安売りされていた68円のものを使っていましたが、あるとき薬局で500円の歯ブラシを購入してみたんです。すると、レジに並ぶときから新鮮なドキドキ感がありましたし、実際にそれを使って歯を磨くときも、磨いた後にも、いつもより歯や自分自身を大切にしているのを実感できました。

歯ブラシ1本という些細な変化ですが、自分に価値を感じるきっかけになったのです。

もちろん、値段が高いものが何でもいいわけではありません。ただ、自分の身のまわりのものをグレードアップさせると、何気ない日常に楽しみがもたらされますし、自分を好きになる投資として、かけた値段以上の価値があるのではないでしょうか」(古山さん)

歯ブラシは一例であって、そのほか枕、ボールペン、マグカップなど、毎日使うものであれば、何でもいいとのこと。日常的なアイテムに変化を加えることで、自己肯定感を高めていきましょう。

■2:断捨離する

二軍、三軍の服をためこんでいませんか?
二軍、三軍の服をためこんでいませんか?

前項の歯ブラシの買い替えにも関係しますが、自己肯定感を高めるためには、思い切った断捨離も効果があるとのこと。

「自己肯定感の低い人は、『いつか必要になるかも』と、ものをためこむ傾向があります。特に、女性で多いのは、衣類です。今すぐクローゼットを開けて、もう着なくなったものは処分しましょう。

ものが捨てられないと、自分にとって本当に好きなもの、衣類であれば着たいものを見失うので、自己肯定感がどんどん下がっちゃうんですね。よく着古した服を部屋着やパジャマにするという人がいますが、そんな二軍、三軍の服ばかりためこむのは、自分にはそれだけの価値しかないと貶めているようなものです。

もったいないから……とものに執着するのではなく、自分の感覚を尊重してあげること。自分が使ったり身に着けたりして心地がよいか、わくわくするかどうかを基準として、それに該当しないものはなるべく手放しましょう」(古山さん)

■3:物理的に高いところにのぼる

高いところにのぼると視点が変わる
高いところにのぼると視点が変わる

「嘘のような本当の話なのですが、自己肯定感を上げるのに山やタワー、ホテルの高層階など物理的に高いところにのぼるのは、効果大です。

実は、自己肯定感が高いか低いかは、歩いている姿だけでも見抜けます。自己肯定感が低い人は、うつむいて歩いていることが多いのです。そうすると必然的に視野が狭くなるので、自分の悩みやネガティブな感情から抜け出すことができません。

だから、普段は行かないような高いところにのぼって、視野を無理やりにでも広げてみること。悩み相談に訪れたクライアントにもよくおすすめしているのですが、高いところから眼下を俯瞰してみることで、自分にとってものすごく深刻だった悩みが取るに足らないものに思えてきたり、通りを行きかう大量の人々を上から眺めているうちに、これまでになかった着眼点を得られたりする効果があるようです」(古山さん)

■4:お笑い動画を見る

毎日、心から笑っていますか?
毎日、心から笑っていますか?

「自己肯定感が低い人は、日常生活において、心から笑う機会がとても少ないのです。というのも、自分がどう思うかよりも他人がどう思うかが気になるので、人と会話するときも相手の反応ばかりうかがって、笑うとしても社交辞令のつくり笑いくらいしかしていません。

体の筋肉は使わなければどんどん衰えていきますから、心から笑う機会が少ないと表情筋がこわばり、自分では気を使ってにこやかにしているつもりでも、笑顔はどこか不自然になります。

だから、毎日数分でいいので、お笑い動画を見て、心から笑いましょう。私もメンタルトレーニングの一環としてクライアントにこの方法をおすすめしているのですが、実際に試してみると周囲から『最近リアクションがよくなったね』『何かいいことあったの?』と尋ねられるほど変化があるようです。

お笑い動画と自己肯定感は一見すると無関係のようですが、笑顔をつくることが人生を好転させるきっかけになります」(古山さん)

■5:ささやかな筋トレをする

階段の昇り降りも立派な筋トレ
階段の昇り降りも立派な筋トレ

健康・美容のために、ウォーキング、ジョギングやジム通いを始めてみたものの、長続きせず挫折してしまったことはありませんか? そんな人でも大丈夫。古山流・筋トレならば、誰でも簡単に継続して自己肯定感を高めることが可能です。

「自己肯定感を高めたい人に、私は筋トレをおすすめしていますが、筋トレといっても『ジムに通わなきゃ』とか『毎日30分走らなきゃ』とか、特別なことを考える必要はありません。自分にほんの少しでも負荷をかけてアップデートさせる行為なら、何でもOKです。

たとえば、私との面談に赤ちゃんを連れてきた女性クライアントがいました。開口一番、彼女は申し訳なさそうに『前回の面談で筋トレをすすめられましたが、子育てで手一杯で続きません。私、いつも三日坊主なんです』と言うのですが、とんでもない!

赤ちゃんを抱っこするのは、すごく体力を使うことでこれこそ筋トレですよね。それを彼女に伝えたところ、『そう考えれば私ちゃんと継続できていますね』と笑顔になりました。“いつも三日坊主でダメな自分”という自己イメージも払拭できたのかもしれません。

わざわざジムに通うなどしなくても、たとえば、通勤電車で座らずに立つとか、会社でエレベーターを使わずに階段を使うとか、自分にとって筋トレになることは日常生活のなかでいくらでもあると思うのです。そういうささやかな筋トレを積み重ねて、できた自分を褒めてあげましょう」(古山さん)

■6:否定しない人と関わる

変わりたいあなたを応援してくれる人と関わろう
変わりたいあなたを応援してくれる人と関わろう

「類は友を呼ぶといいますが、自己肯定感の低い人は、自分と同じように自己肯定感の人同士でつるみがちです。そのままの人間関係では、いくら自分が変わりたいと思っても、なかなか実現することができません。

というのも、自己肯定感が低い人は、友人が『自分はこうなりたい』『こういうことをしてみたい』と前向きになっていると、『そんなの無理』とか『絶対やめたほうがいい』などと、心をへし折る発言ばかりぶつけてくるからです。

なので、自分が本気で変わりたいときには、身近な人には相談しないことが得策かもしれません。また、もしも友人からネガティブなことを言われたら、それを真に受けずにスルーすることが大事です。

人から何を言われたかではなく、あくまで自分がどうしたいかを最優先すること。友人から反発されて、ちょっと自信がぐらついたときには、思い切って自分の交友関係外にいる人と接点をもつようにするのもおすすめです。自分の世界を広げてみると、これまでまわりから『無理』とか『やめろ』などダメ出しのオンパレードだったことを『それいいね』と認めてくれる人が現れるものですよ」(古山さん)

いきなり自分の人間関係を一新するのは難しいですが、まず、職場でこれまであまり会話したことのない人などに挨拶してみることくらいはできそうですよね。そこで、芳しくないリアクションが返ってきたとしても、めげないこと。相手の反応を期待するのではなく、“行動できた自分”を褒めてあげましょう。

以上、自己肯定感を上げる小さな習慣をご紹介しましたが、「これなら私にもできそう!」というものがあったのでは? 古山さんによれば、行動することで経験値が上がり、小さな成功体験を詰むことが自信や自己肯定感を育むとのことなので、ぜひ今すぐ実践を!

古山有則さん
メンタルトレーナー
(こやま あきのり)大学院修了後、相続専門税理士法人に勤め独立。燃え尽き症候群、円形脱毛症などの挫折経験をきっかけに、独自のメンタルトレーニングを導き出す。自己肯定感に関する恋愛、復縁、人間関係の悩みについてインスタグラムで発信を行い、人気に。心を鍛える「古山塾」主宰でもある。著書に『嫌いな人がいる人へ 自分を知って生きやすくなるメントレ』(KADOKAWA)がある。
『嫌いな人がいる人へ 自分を知って生きやすくなるメントレ』古山有則・著 KADOKAWA刊
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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