カナダ・モントリオールで2020年3月に開催予定だったフィギュアスケート世界選手権は中止に。2020年の10~12月に代替試合の開催が模索されていましたが、新型コロナウイルス感染の収束が見通せないことや、延期した場合に次のシーズン中盤に組み込まれてしまうことから、ISU(国際スケート連盟)が中止を決断しました。
日本から男子シングルは羽生結弦、宇野昌磨、田中刑事、女子シングルは紀平梨花、樋口新葉、宮原知子が出場を予定していましたが、現在、世界中でスケートリンクが閉鎖されており、アイスショーの開催延期なども発表されています。しかし、悲しいニュースだけではありません。
羽生選手や宇野選手など、出場予定だったスケーターたちがコメントや動画を次々と配信! 部屋の中でできるエクササイズを披露してくれる選手もいます。今回はそんな彼らの貴重なメッセージと、スケートマニアから初心者まで楽しめる、過去の名プログラムをご紹介しましょう。
日本を代表するフィギュア選手たちが発信する、ポジティブなメッセージ
■私たちの美しき「希望の光」、羽生結弦選手
日本では、JOC(日本オリンピック委員会のアスリート委員会)が選手たちに「#いまスポーツにできること」というメッセージ動画を投稿するよう、呼びかけています。
これに応じた羽生選手は「真っ暗闇なトンネルの中で、希望の光を見出すことは、とても難しいと思います。でも、3.11の時の夜空のように、真っ暗だからこそ見える光があると信じています。どうか無理をなさらず、まわりにいる方々を信じて頼ってください。そして、皆さまが心から笑顔で語り合える日々が来ることを祈っています」と語りかけました。
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羽生選手のプログラムで今、振り返りたいのは『ホワイト・レジェンド』。2011年の東日本大震災後に参加したチャリティー演技会で披露したエキシビションナンバーです。
『花は咲く』など、復興への願いを込めたプログラムは他にもありますが、この『白鳥』の美しさはまさに「希望の光」。『白鳥の湖』をアレンジした楽曲で、柔軟性を生かした優雅なスピンや、高さのあるトリプルアクセルなどが魅力的。羽生選手の真摯な思いに胸を打たれますね。
■まさに勝利を宣言する王子! 宇野昌磨選手
ミズノブランドアンバサダーを務める宇野選手も、ツイッターでコメント動画を発表。
「きゅうくつで不便な生活を送っている毎日ですが、私たち一人ひとりの心がけで必ず終わりが見えてくると僕は信じています。世界中の人々が、安全な日常を取り戻せることを僕は願っています。アスリートとして、この状況の中でも今、自分ができることを精一杯やっていきたいと思っています。ともに超えましょう!」と語りました。
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宇野選手のプログラムで今、振り返りたいのは2015年のグランプリファイナルでの『トゥーランドット』。
冒頭の4回転トウループも決め、トリプルアクセルも流れるように着氷。しなやかで重厚感のあるストリングスにのせたステップシークエンス、そして終盤にカラフ王子が「私は勝つ」と歌い上げるパートで、こみ上げるような思いを表現したジャンプとクリムキンイーグルには大歓声が沸きました。会場を総立ちにした、力強いプログラムには今でも勇気がもらえそう。
■「記憶」に残るパフォーマンス! 田中刑事選手
田中刑事選手はツイッターで「世界選手権の中止で複雑な心境ですが、受け止めるしかありません。選手としてシーズンの集大成をお見せできる場がなくなりましたが、今は感染拡大を防ぎ、みんなで協力する時だと思います。
世界選手権に向けて練習時間を確保していただいた関係者の皆様、本当にありがとうございました!そして応援していただいたファンの皆様、今シーズンも沢山の応援が励みになり頑張ることができました。ありがとうございました!」とコメント。
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田中選手のプログラムで今、振り返りたいのは2017年の全日本選手権ショートプログラム『メモリーズ』。ゲイリー・ムーアの楽曲で、怒りや悲しみを表現したプログラムです。
五輪の切符を勝ち取るために、猛練習を積み重ねてきた田中選手の鬼気迫るパフォーマンスは必見。冒頭の4回転サルコウから圧倒的な演技を見せ、リンクを大きく使ったエモーショナルなステップシークエンスで観客を引き込みます。強い意志を感じさせる名演技は、永遠に色褪せません。
■才能が一気に花咲く瞬間! 紀平梨花選手
ISU(国際スケート連盟)が2020年4月20日に発表した最新世界ランキングで女子1位となった紀平梨花選手は、アディダスの「#HOMETEAM」企画に参加。
「コロナウイルスの影響がより深刻になってきて、自宅で過ごす時間が多くなってきてるかと思います。大変な状況ですが、普段しないことにチャレンジして前向きに乗り越えましょう。私が普段やっているトレーニングを紹介したいと思います。皆さんもぜひ時間を見つけてチャレンジしてみてください」と動画を公開。
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紀平選手のプログラムで今、振り返りたいのは、地球の誕生をテーマにしたフリースケーティング『A Beautiful Storm』。
2018年に初出場のNHK杯では、高さのあるトリプルアクセルを着氷。ドラマチックな曲調に乗って次々とジャンプを決め、キラキラと輝きを放つようなフレッシュな演技で初優勝を飾りました。最初から最後まで流れを切らさない、素晴らしいパフォーマンス。最後は会場からの大歓声に、両手でガッツポーズ! 紀平選手の弾けるような笑顔が印象的です。
■ダイナミックな演技は圧巻! 樋口新葉選手
樋口新葉選手もインスタグラムで「世界選手権が中止になってしまいました。とても動揺し、残念に思います。コロナウイルスの影響がはやく収束することを願っています。そして、今は心と体を休めて来シーズン頑張れるように計画を練ります。皆さんも体調に気をつけてください!!!」と、2年前のスケートカナダの写真とともにコメント。
そして「新たな趣味」としてオカリナ演奏を披露したりと、お茶目な一面も披露しています。
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樋口選手のプログラムで今、振り返りたいのは2018年世界選手権のフリースケーティング『スカイフォール』。
映画『007』のドラマチックなサウンドトラックに乗せて演じるのは、なんと主人公ジェームス・ボンド。銃撃戦をイメージした振り付けなどもあり、大胆で力強い演技が見どころです。ショート8位から巻き返し、会心の演技で2位に。苦しかった時期を乗り越えて手にした銀メダルは、その日が誕生日だったという岡島功治コーチへの最高のプレゼントになりました。
■心を込めた珠玉の演技! 宮原知子選手
羽生選手と同じく、JOCを通じてメッセージを表明した宮原知子選手は、家の中でのストレッチや筋トレなど、トレーニング風景も公開。
「今、コロナウイルス(感染)拡大により、世界中の方々が大変な思いをしています。最前線で活動されている医療関係者の方々に感謝するとともに、私自身、少しでもできることを守っていければと思っています。部屋での時間が多い今、なるべく規則正しく生活をするように心がけ、トレーニングのスケジュールを組んだりして日々を過ごしています。みんなでアクティブに楽しいおうち時間にしましょう」と語りました。
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宮原選手のプログラムで今、振り返りたいのはフリースケーティング『蝶々夫人』。
五輪代表の最終選考会を兼ねた2017年全日本選手権は、大きな怪我を負い、つらい時期を乗り越えてカムバックした試合でした。そこで披露した演技には強い気持ちがあふれ、リンクサイドの濱田美栄コーチも感激の涙を流したほど。細やかでありながら、大胆で美しいスケートは宮原選手ならでは。「今までで一番嬉しい優勝」と語った特別な試合は、今見ても感動すること間違いなしです。
海外の人気スケーターたちの動きにも注目
■ステファン・ランビエール先生のオンライン講座がスタート!
宇野選手や島田高志郎選手が師事するステファン・ランビエール氏は、ISUの公式ユーチューブチャンネルに「KEEP TRAINING(キープ・トレーニング)」という新チャンネルをローンチ。ビデオ会議ツール「Zoom(ズーム)」を使って各国の愛弟子たちを繋ぎ、オフ・アイスでの練習風景を公開しました。
ヨガマットとペットボトルを使った筋トレ方法などは、家の中でも真似できそう。ステファン先生がやさしい英語で説明してくれるので、ワークアウトだけでなく、英語のブラッシュアップも同時にできてしまうかも…!?
■スケーター主催のオンライン・チャリティ企画も
そしてアメリカのジェイソン・ブラウン選手は、インスタグラムに「僕の父と彼の会社をとても誇りに思います。彼らは医療従事者の為の顔面シールドを一生懸命作っています」と日本語で投稿。
さらに、新型コロナウイルス救済募金を呼びかけるライブストリームイベント「Blades For the Brave(ブレーズ・フォー・ザ・ブレイヴ)」を2020年4月17~18日にグレイシー・ゴールド選手とともに主催。賛同したスケーターたちと共に動画を配信しました。このイベントには荒川静香さんや安藤美姫さん、村主章枝さんも参加。現在も公式サイトから寄付を受け付けています。
ほかにも、スケーターたちの企画が数多く進行中。これを機会に、お気に入りの動画を堪能するもよし、ファンレターをしたためるもよし、こんな時期も「おうち時間」を楽しく過ごせたらいいですね!
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いかがでしたでしょうか? スケーターたちには、いつだって元気をもらえますね。夫婦でアイスダンス競技に取り組む小松原美里&ティム・コレト組も、インスタグラムでダンス動画を配信してくれています。今も自宅でトレーニングを続けている彼らのように、私たちも今できることに集中して、ともに困難を乗り越えていきましょう。
「Precious.jp」では、強く美しく戦うフィギュアスケーターたちを応援すべく、今後もさまざまな情報を発信していきます。どうぞご期待ください!
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- Fuyuko Tsuji