喫茶店でおいしいコーヒーを飲みたい……!

おこもり生活でその願いが叶えられない今、気になるのが「自家焙煎」です。しかし、専用の器具を揃えるのは少しハードルが高いし、気軽にできるものなのかもわからない……と最初の一歩を踏み出せずにいたところ、ライフスタイルブログ「オニマガ(onimaga)」で「フライパン焙煎」を知ったのでした。

生豆以外は自宅にあるものでまかなえるため、ハードルも低いし、何より楽しそう!

「オニマガ」を運営するオニマガさんは、自宅でさまざまな焙煎を研究し、記事にしています。オニマガさんが自家焙煎を始めたのは約7年前。自宅の近くにおいしいコーヒーを飲める店舗がなかったことから、自家焙煎に興味を持ったそうです。

自家焙煎を追求するオニマガさんにポイントを教えてもらいながら、「フライパン焙煎」に挑戦します。

いざ挑戦!「フライパン焙煎」

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「エチオピア イルガチェフェ」の生豆400g

フライパン焙煎に使うものはこちら。

・生豆 400g
・フライパン
・フライパンのふた
・ざる
・保存容器
・うちわ
・熱湯 適量

今回購入したのは生豆のみ。オニマガさんの記事を参考にAmazonで購入した「エチオピア イルガチェフェ」を使用します。

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当然ですが、まだコーヒーの香りはしません

生豆の選び方についてオニマガさんに伺ったところ、

「焙煎に使う生豆は、普段から飲み慣れた種類を選んでもらえれば大丈夫です。エチオピア イルガチェフを選んだのは、個人的に好きなのと、だいたいどこのお店でも飲めるからです。焙煎がうまくいったかどうかを判定しやすいという点から、新しい器具で実験する時はエチオピアで試すことが多いです。

初めて焙煎する方には簡単に購入できるAmazonや楽天などをオススメしていますが、焙煎に慣れてきたら種類の多い生豆専門店をのぞいてみると楽しいですよ」

との答えが。Amazonや楽天では、焙煎初心者用に複数の種類の豆を100g〜200gずつセットにしたものも売られているそう。飲み比べとして活用するのもよさそうです。

■1:生豆を熱湯で洗う

まずは生豆をざるにあげて、熱湯で洗います。汚れやホコリを流すことと、チャフ(表皮)を剥がすことが目的なのだとか。湯気と一緒に茹でたエンドウ豆のような匂いがふわっと漂います。

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かなり熱いので手で洗うことができず、お湯を回しながらかけました

■2:フライパンで蒸し焼きにする

濡れたままの生豆をフライパンに入れて、コンロに火をつけます。ふたをしたら、中火で3分ほど蒸し焼きに。

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フライパンをひたすら揺することになるため、重い鉄のフライパンよりも軽いテフロン加工がオススメとのことです

■3:豆を攪拌しながら炒める

フライパンを揺すって手に伝わる豆の感覚が変わったら、本格的に炒め始めます。フライパンを揺するだけでもヘラを使ってもいいそうなので、私はヘラを使うことにしました。炒め方についてのポイントは?

「一番大切なことは、豆を焦がさないことです。肉を焼くようにギューッと焼き付けると焦げてしまうので、豆を攪拌しながら炒めるようにしてください。豆をふっくらと焼き上げるようなイメージでやってみるといいですよ」(オニマガさん)

豆を焦がさないように注意しながら7、8分炒めていると、コーヒーの香りが漂い始めます。

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フライパンの端についているのはチャフなので、吹き飛ばしていいそうです

次々と出るチャフをふ〜っと息で吹き飛ばしながら炒め続けるのは、意外と大変です。一気に飛ばそうとして勢いよく吹いたせいか、クラクラしてしまいました。しばらくすると「ハゼ」が始まって豆がパチパチするらしいので、それまでひたすら豆を炒め続けます。

20分くらい炒め続けた頃に、ようやく「パチッ」と聞こえました。オニマガさんの方法だと、音が聞こえたら弱火にしてさらに煎り続けると1分半〜2分間くらい鳴り続けるそうです。筆者の豆はあまりたくさんは鳴っていないようですが、ひとまず弱火にしてみました。

■4:煎り止めをする

さらに豆を煎り続けると、ところどころ濃い茶色に変化してきました。

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コンロの周りにあるのは吹き飛ばしたチャフ。かなりの量のチャフが出るため、周りをアルミホイルで覆うなどの工夫が必要とのことです

豆のはぜる音がひとしきり鳴ったら、頃合いを見て火を止めます。どこで火を止めたらいいのかわからなかったため、オニマガさんに教えを請うことにしました。

「浅煎りは『薄い茶色』、中煎りは『濃い茶色(見慣れたコーヒーの色)』、深煎りは『黒光り(油が浮き始める)』です。

煎り止めのタイミングをはかる簡単な方法は、好きなコーヒー豆屋さんの豆の色と見比べる方法です。手元に好みの豆を見本として置いておいて、同じような色になっていれば、だいたい同じ煎り具合です。概ね好みの味にできあがっているはずですよ」

手元に市販のコーヒー豆がなかったため、自分の目で確かめることにしました。今の豆の状態はところどころが濃い茶色、つまり部分的に「中煎り」の状態だと判断し、火を止めました。

■5:豆をザルに入れて冷ます

焙煎後の豆をザルにあげて、うちわであおいで冷まします。時間がかかると焙煎が進んでしまうらしいので、ざるを揺らしながら思いっきりあおぎました。

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焙煎したての豆はかなり熱くなっているため、素手で触るのはやめた方がよさそうです

豆が冷めたら、焦げているものや生焼けのもの、欠けているものをより分けます。あまりわからなかったため、明らかに欠けているものや他と色が異なるものを取り除くことにしました。

豆の選別が終わったら、保存瓶に入れて一晩フタを開けたままにしておきます。これは、コーヒー豆からガスが出るためとオニマガさんから教えてもらいました。

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自宅にあったル・パルフェのジャーを使用。瓶に入れると、いい感じに見えるから不思議です

自分で焙煎したコーヒーの味は…?

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自分で焙煎できたことが嬉しくて、1日に何度も眺めてしまいます

「焙煎してすぐに飲むよりも、数日置いた方がおいしいですよ」と聞いていたので、すぐに飲みたい気持ちをぐっとこらえて、2日ほど常温で保存しておきました。密閉できる保存容器に入れておけば、日にちが経つにつれて、味や風味の変化を楽しめるのだとか。1か月を目安に飲みきるといいそうです。

そして2日後。午後のおやつの時間に淹れてみることにしました。電動ミルで豆を挽くと「ガガガガッ」とコーヒー豆よりも硬いものを削っている音がします。挽いた豆を見ると、きな粉のような黄土色でした。

コーヒーのいい香りもしないので不安になりながらも「飲んでみたらおいしいかもしれない」と気持ちを切り替えて、きな粉風のコーヒーを淹れました。

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淹れたてのコーヒー。なんだか色が薄め……?

分量通りに淹れたはずなのに、どう見ても色が薄いです。ひと口飲んでみたところ、味も香りもありませんでした。残念ながら、失敗です。

焙煎の失敗。考えられる原因は3つ

失敗はしたものの、落ち込むよりも「楽しかった。次はもっとうまくやろう」とワクワクする気持ちが強かったことが驚きでした。しかし、何が原因だったのかがわからなかいと、次に生かせません。

そこで、オニマガさんに焙煎した豆の画像を送ったところ、「火力不足による生焼けですね」との答えが。オニマガさんが考える「生焼けの原因」は、以下の3つです。

1)火力が弱かった(パチパチせずに時間だけが過ぎて、生焼けで終わってしまった)
2)焙煎時間が短か過ぎた(豆がしっかりはぜる前に煎りを終えてしまった)
3)豆の投入量が多すぎた(全体にしっかり火が行き渡らなかった)

パチパチの音が少なかったことと、長く火にかけていたことを考えると、1と3が該当するとのこと。

「初めから400gを煎るのは、ハードルが高すぎたのかもしれません。分量が少ない方が火が全体に行き渡るので、コツをつかむまでは100gで火力を強めにして焙煎してみてください」

改善策がわかったので、次の挑戦のために早速生豆を注文しました。

ちなみに、オニマガさんがフライパン焙煎した豆はこちら。色むらもほとんどなく、とてもきれいです。

オニマガさんがフライパン焙煎したコーヒー豆
画像はオニマガさん提供

最後に、自家焙煎の魅力についてオニマガさんに語っていただきました。

「続けていくうちに自分好みの味をつくれるようになることです。それから、自家焙煎はずっと実験を続けているような感じで、失敗も含めてすべての工程が楽しいこと。人にふるまうと喜ばれるのも、自分にとっては高ポイントです」

ブログ「オニマガ(onimaga)」はコチラ


失敗しても楽しいし、成功したらおいしいコーヒーを飲めるから嬉しい。それがフライパン焙煎のいいところだと実感しました。自宅でコーヒー焙煎、始めてみませんか。

この記事の執筆者
フリーランスのライター。企業の採用サイトやパンフレット、女性向けの転職サイト、親向けの性教育サイトなどで取材記事を執筆。好きなもの:中村一義、津村記久子、小川洋子、マンガ、古いもの、靴下など
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EDIT :
小林麻美