有田焼の常識をくつがえす、「布の真似をした磁器」
日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、日々探しているスタイリストの河井真奈さん。
今回、河井さんが紹介してくれたのは、インテリアに上質なアクセントを添えてくれるフラワーベース。有田焼の窯元「文山(ぶんざん)」が代々伝わる技法を現代的に進化させた、「セラミックミミックファブリック(ceramic mimic fabric)」コレクションのアイテムです。
「布の真似をした磁器」を意味するコレクション名のとおり、シンプルな筒形の白い磁器は布をまとったような質感に仕上げられていて、まるでアートオブジェのよう。どんな空間にもすっとなじみながらも、あたたかみのある確かな存在感を発揮します。
私たちがよく知る有田焼とは違った魅力をもつ「セラミックミミックファブリック」とは一体、どのようなものなのでしょうか?
風になびく布を土に写しとる、窯元伝統の「てびねり」技法
「器コーディネーターとして活躍している安田亜紀さんから、素敵な器があると紹介していただいたのが、『セラミックミミックファブリック』との出会いです。
本物の布のように不規則で動きのある風合いと、手にしてわかる繊細な軽さと薄さ、そしてさらりと心地よいマットな感触にすっかり魅了されてしまいました。
有田焼といえば、鮮やかな絵付けや、つるんとなめらかで光沢のある仕上がりが特徴だと思っていたので、これが有田焼の窯元『文山』の作品ということにもびっくり。
昭和28年に佐賀県の有田町で創業した『文山』が開発したのは、亜麻(リネン)の布を使って陶土の生地を“たたきしめる”という『てびねり』という技法です。これにより布の風合いが土に写しとられ、自然な『布なり』のシワ感が生まれます」
「『セラミックミミックファブリック』は、この技法をさらに現代的に進化させたもの。外側だけでなく内側までも布目が写しとられていて、光に当てると、ところどころ透けて見えるのも美しさを増しているポイントです」
「職人がひとつずつ手仕事で作っているため、それぞれシワやひだの様子が違った仕上がりに。素朴なぬくもりと、洗練されたモダンさが同居しているのが、『セラミックミミックファブリック』独特の個性だと感じています」
無造作に花を挿すだけで映える、3種の布目のフラワーベース
「当初はリネンの布目だけが作られていた『セラミックミミックファブリック』ですが、フラワーベースはリネンに加えて、レースとピッケも展開されています。
リネンはナチュラルな風合いで、凛とした白さが引き立ちます。どこか懐かしく、やわらかさを感じさせるレースには、可憐な草花も似合いそう。縦横に交差するラインが爽やかなピッケは、すっきりとした印象です」
「futoでは、高さ15センチのものはリネンのみ、手のひらサイズのミニはリネン、レース、ピッケの3タイプを扱っています。
シンプルな筒形でしかも白いので、どんなインテリアともケンカせずにしっくりなじんでくれる一方で、アートオブジェのような存在感もあるのが不思議な魅力。
ボリュームのあるブーケはもちろん、数本の花を無造作に挿すだけでもおしゃれに見える。また、ミニサイズは違う布目のものを2、3個並べて置くのも素敵です」
「おうち飲み」がもっと満たされる、冷たさを優しく伝えるグラス
「フラワーベースに加えて、『セラミックミミックファブリック』コレクションからご紹介したいのが、私自身も愛用しているタンブラーとロックグラス。お店でも人気のアイテムです。
こちらはリネンのみで、やはり薄さと軽さが格別。そして、布目のシワが生み出す独特の凹凸とマットな磁器の質感が、ガラスや金属の器とは違ったやわらかな冷たさを唇と指先に伝えるのです。
冷酒やウイスキー、ビールといったお酒を飲む際にもぴったり。心地よい飲み口の感触や手触り、スタイリッシュなルックスが美味しさを引き立ててくれます。
2020年6月1日に、日本の優れた商品・サービスを認定し、国内外に発信するプログラム「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)2020」の金賞を受賞したことが発表された『セラミックミミックファブリック』コレクション。
今後、海外からの注目も高まっていくことが予想されるジャパン・ラグジュアリーなアイテムを、いち早く贈りものに選んでみてはいかがでしょうか?」
大切な人に贈りたい、「セラミックミミックファブリック」の特別な“白”
■1:フラワーベース
■2:ロックグラス&タンブラー
今回は、有田焼の窯元「文山」が手がける「セラミックミミックファブリック」コレクションのフラワーベースとグラスをご紹介しました。
和洋問わずどんなタイプのインテリアにもしっくりとなじみながら、ちゃんとおしゃれに映える「白い器」。センスがいい人ほど、その価値をわかってくれるはずです。
※掲載した商品はすべて税抜で、記事公開時のものです。
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- EDIT&WRITING :
- 谷 花生