どちらも「警告」という意味の「アラーム」「アラート」、違いを説明できますか?
『東京アラート』という言葉が話題になっていますね。
「東京アラートが発動したのに、会社に出勤していいのかしら?」
「東京アラートが出たから、週末に久しぶりに帰省する予定だったけれど、とりやめたわ」
「東京アラートが出たけど、具体的にどうしろってこと?」
3番目の例文、意外とよく耳にしませんか?
…というところで、1問目のクイズです。
【問題1】「アラート」の意味として正しいのは、以下のどちらでしょうか?
1:あらかじめ設定した値に達した際に鳴る警告。
2:あらかじめ設定した値に達した際や、危険を知らせるため、不随意に鳴る警告。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:あらかじめ設定した値に達した際や、危険を知らせるため、不随意に鳴る警告。 です。
選択肢1の「あらかじめ設定した値に達した際に鳴る警告」は、「アラート」ではなく「アラーム」です。目覚まし時計が鳴るのも「あらかじめ設定した値」で「鳴る警告」ですよね?
「アラーム」は、「あらかじめ設定した値」の設定者が本人であったり、「警告の鳴る設定」について、受け手が事前に理解している場合の、予定調和的な「警告」になります。
「アラート」は、受け手が予期せぬところで、不随意に発せられる警告です。
あらかじめ設定した値(東京アラートであれば、感染人数割合の注意喚起値など)に達した際や、危険(天災警報など)を知らせる際に発せされます。
地震や弾道ミサイル検知時など、スマートフォンが危険を知らせて警報を鳴らすシステムも『Jアラート(全国瞬時警報システム)』と言いますよね?
ここで、冒頭の「東京アラートが出たけど、具体的にどうしろってこと?」という疑問に戻りましょう。
『東京アラート』は「警告音」と同じ働き、つまり「注意喚起」をするものであり、
「新型コロナウィルスの感染者数割合などが、このままの調子だと危険な状態になるであろうゾーンに入っています」という内容を知らせるものです。
具体的に「これこれこのような対策を取りなさい」などの、拘束力を持った規制の内容を示すものではありません。
ですので「東京アラートが出たけど、具体的にどうしろってこと?」という疑問が、あちこちで出てしまうわけです。
というところで、2問目に参りましょう。
【問題2】「仄めかす」ってなんと読む?
「仄めかす」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「それとなく言葉や態度に表して示す」「匂わせる」という意味の日本語です。
<使用例>「結局今回の『東京アラート』って、『夜遊びは感染しやすい』って、改めて仄めかしてる感じよね?」
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 仄(ほの)めかす です。
現在の『東京アラート』は、「こうしないほうが望ましい」と「仄めかす」役割に過ぎません。それぞれの感染対策の内容は「自粛=自らの考えるつつしみ方」で、ということになります。
各自の配慮により、感染数値が上方修正されればアラートはおさまり、より悪い結果が更新され続けた場合は、そこで改めて「新たな自粛要請」が検討されたり、発令されたりします。
「自粛要請」を出さないで済ませるための「自粛仄めかし期間」が「東京アラート発動中」なのです。
…とは言え、緊急事態宣言解除後、ここまで早く「東京アラート」が発動となると、「公式の要請が出ようが出まいが、まだまだ注意が必要」というのは明らかな気がいたします。
ワクチンが開発されることを祈りつつ、いましばらく、頑張りましょう。
本日は、『東京アラート』という言葉を読み解くため
・アラーム/アラート の違い
と
・仄(ほの)めかす
という言葉をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱