毎年、「海の日」を迎えると、「いよいよ本格的な夏到来!」と感じる人は多いのではないでしょうか。ハッピーマンデー制度により7月の第3月曜日と定められているため3連休となり、早くからレジャー計画を立てる人も多いですね。今回のテーマは「海の日」。その制定の目的や由来、「海の日」や「海」にまつわる雑学をご紹介します。
【目次】
【「海の日」とは?「意味」と「由来」】
■「海の日」は何をする日?
「海の日」は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」国民の祝日です。
■「海の日」は「いつ」、「誰が」決めたの?
日本では、「国民の祝日」は「国民の祝日に関する法律」(1948年法律第178号。以下「祝日法」と言う)によって定められています。7月20日に定められていた「海の記念日」が、1996(平成8)年の祝日法の改正により、「海の日」として国民の祝日になりました。その後、2003(平成15)年からは、ハッピーマンデー制度(月曜を祝日にすることで土曜・日曜・祝日の3連休にする制度)により、7月の第3月曜日が「海の日」と改められました。
■「海の日」の「由来」は?
1876(明治9)年の7月20日、明治天皇が東北巡行を終え、「明治丸」という汽船で横浜に到着したことを記念して設けられた「海の記念日」が、「海の日」の前身です。
【2024年の「海の日」はいつ?】
「海の日」は7月の第3月曜日。従って、2024年の「海の日」は7月15日(月曜日)です。3連休となった人も多いのではないでしょうか。
【「海の日」が休日になったのはなぜ?】
日本では「祝日法」により、年間16日の「国民の祝日」が設けられています。そして、「国民の祝日は、休日とする」と定められているのです(祝日法第3条第1項)。
【「海の日」のイベント】
「海の日」を含む7月1日から31日までの1か月間は「海の月間」。全国でさまざまなイベントが企画されています。
■海の日プロジェクト in 青海
「海と日本PROJECT」は、日本財団、総合海洋政策本部、国土交通省の旗振りのもと、オールジャパンで推進するプロジェクトです。私たちを支えてくれる海の現状を伝え海を未来へつないでいくためのアクションの輪を日本全国に広げる活動をしています。その一環として、「海の日」には国際クルーズターミナル(東京都江東区青海二丁目地先)にてイベントを開催します。海上保安庁音楽隊によるコンサートやお楽しみ抽選会、海上自衛隊東京音楽隊によるコンサートなど、楽しい企画が盛りだくさんです。
■ うみのフォトコンテスト2024
公益財団法人日本海事広報協会主催。海の魅力を伝える写真をテーマとしたフォトコンテストです。海の楽しさ、美しさなど、海の魅力を伝える写真であれば、国内在住の誰でも参加可能。募集期間は2024年7月1日(月)~8月31日(土)です。
■東京海洋大学「海の日」記念行事
東京海洋大学では、多くの人に海に親しみ・興味をもってもらうために、「海の日」の記念行事を開催します。
「海の日」制定の由来となった重要文化財「明治丸」に関するシンポジウムや、ミュージアム公開、プラネタリウム上映など、本学の教育研究活動をわかりやすくご紹介する各種プログラムを実施します。
【いまさら人に聞けない「海の日」と「海」にまつわる雑学7選】
■国際的な海の記念日は?
毎年6月8日は、世界をひとつに繋ぐ海の豊かさや、海が私たちに与える恩恵、そして直面する環境問題について考えるための国際デー「世界海洋デー(World Oceans Day)」です。1992年にリオデジャネイロで開かれた「環境と開発に関する国連会議」(通称:地球サミット)を受けて、IMO(国際海事機関)が海洋の復興および保護の促進を目的として定めました。持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう」でも、世界で取り組む共通課題として、海の環境と海洋資源の確保が挙げられています。
■「海の日」を英語で言うと?
「海の日」は[Marine Day]です。
■「いちばん大きな海」はどこ?
地球の表面の70%は海で覆われています。これは陸地の約2.5倍。北半球と南半球で比べると、北半球では陸地も多く海が60%ですが、南半球では80%が海です。では、地球上でいちばん広い海は?と言うと、それは日本列島の前に広がる太平洋です。面積はおよそ1億6,600万平方キロメートル、日本列島がおよそ439個も入る広さ。太平洋の面積は、地球上のすべての陸地を合わせた面積よりも広いのです! そして2番目に大きいのは大西洋。ヨーロッパから見て西側に位置することから「大西洋」 と呼ばれていますよ。およそ8,600万平方キロメートルで、太平洋の半分の広さです。3番目はインド洋で、およそ7,300万平方キロメートル。海全体の面積は約3億6、000万平方キロメートルあります。
■「いちばん深い海」はどこ?
地球上でいちばん深い海は、太平洋にあるマリアナ海溝で、水深は1万920メートルです。世界一高いエベレスト山が8,848メートルですから、地球上でいちばん高いところよりも海のほうが深いのですね。大西洋ではプエルトリコ海溝の水深8,605メートル、インド洋ではジャワ海溝の水深7,125メートルがいちばん深いポイントです。そして、海全体の平均の水深は3,800メートルで、富士山よりも深いことになります。地球の表面の70%以上は海で覆われていますから、もし陸地を削って海を埋めたとしても埋めることはできず、地球の表面全体が水深2,400メートルの海で覆われてしまうと言われていますよ。
■海の水はなぜ塩からい
海の水が塩からいのは、食塩のもとになるナトリウムイオンと塩化物イオンが多量に含まれているためです。ふつうの海水は、1リットルあたり31~38gのいろいろな物質が溶け込んでいて、そのおよそ80%がナトリウムイオンと塩素イオンです。この2つの物質は水の中で化学反応や生物などの影響でなくなることがありません。そのため、海水はいつまでも塩からいのです。
■「7つの海」ってどこ?
「7つの海を渡り…」といった表現を見聞きしますが、「7つの海」とは具体的にどこを指すのでしょうか。実はその答えは、時代によって変わります。風まかせの帆船で行き来していた中世の時代は、南シナ海、ベンガル湾、アラビア海、ペルシア湾、紅海、地中海、大西洋を指していました。現在では南太平洋、北太平洋、南大西洋、北大西洋、それにインド洋、北極海、南極海を指します。7つの海は法律などで定められているわけではありませんので、ふつう「7つの海を行く」といえば「世界中の海を行く」という意味で使われています。
■「排他的経済水域」って簡単に言うと?
海には「公海」と「領海」という考え方があり、「公海」はどの国にも属さない、誰でも自由に行き来したり、魚を捕ったできる海のこと。それに対して「領海」はその海の近くの国の陸地の続き、つまりその国の領土と同じです。1982年につくられた「国連海洋法条約」により、領海は12海里以内とすることが決められました。1海里は1,852メートルですから、12海里は22,224メートル、約22キロメートルになります。この条約では、併せて「排他的経済水域」も決められました。これは「陸地から200海里(約370キロメートル)までの海は、その国が魚などの海底資源をとったり管理する権利をもつというものです。公海と領海の中間の海という考え方で、200海里の中を行き来するのは自由ですが、魚や海底資源をとるにはその国の許可が必要な海と理解すればよいでしょう。
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日本では、「海の日」は「国民の祝日」と定められていますが、世界中でも「海の日」でお休みになるのは日本だけなのだそう。実は日本の海の面積は、陸地の面積の約12倍。四方を海に囲まれた海洋国家の一員として、環境問題に目を向けたり、海の恵みに感謝しつつ、連休を楽しみたいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /公益財団法人 日本海事広報協会(https://www.kaijipr.or.jp) :