withコロナという言葉が生まれるほど、この先も長い付き合いになりそうなコロナ対策生活。
今までの生活の常識や価値観を変え、暮らし方に変化をもたらすだけでなく、自分や周りの健康について向き合い、正しい知識を持って生活する必要がありそうです。
特に、コロナだけでなくインフルエンザなどあらゆるウイルスに立ち向かうには、健康な体が必須条件。中でも免疫力を上げ、抵抗力を下げないように対策することが大事。
今回は、免疫力をつけるために、生活する中での注意点や対処法、免疫アップ食材として推奨されるフルーツ「キウイ」について、3名の専門家にお話を伺いました。
免疫力アップの第一歩は「食生活を見直す」ことから
新しい生活様式として、ウイルスの感染防止のために掲げられているのは、「三密を避ける」「手洗いの徹底」「マスクの着用」ですが、そういった行動以外で大切なのは、自分の体の免疫力を維持し、上げることです。
「免疫力が低下すると、様々な感染症にかかりやすくなります。免疫低下の原因はストレス、疲労、睡眠不足、運動不足、飲酒、喫煙など色々ありますが、免疫力を維持する上で重要なのは栄養面。ですから、免疫力のためには食事に気を遣っていただきたいです。
ウイルス対策をし続けることが大切な今の生活は、以前より食事には気をつけているという人も増えていると思いますが、色々な料理からあらゆる栄養を摂取することが大事です。毎日のことなので、何より続けられることも大切に」(上西先生)
免疫力を維持する栄養を正しく知る
「免疫低下には、ビタミンとミネラルの欠乏が関わります。ビタミンとミネラルは、各種の代謝を営む補酵素*1として働きます。ビタミンの欠乏は、免疫にかかわる細胞機能の低下を招くことに。
そしてミネラルの欠乏は、胸腺の形成不全や抗体となる免疫グロブリン*2のレベルを低下させます。また、肥満や糖尿病などの過剰栄養も、免疫力を低下させてしまいます。
免疫力に関係し維持する栄養素を知ることで、色々な食品から摂取できるよう栄養バランスの摂れた食事を心がけることができると思います。食事から摂る多くの成分が、総合的に作用しながら免疫力を維持します」(上西先生)
*2 血液中に存在して、体内に侵入してきた微生物、異物と戦う。
【免疫力に関係する栄養素】
・エネルギー:タンパク質、n-3系脂肪酸
・ビタミン:ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、D、E
・ミネラル:鉄、亜鉛、銅、セレン
・その他:食物繊維、乳酸菌
栄養バランスのとれた食事とBMI(適切な体重維持)を把握する
バランスのとれた食事、とはよくいわれ、そうしたほうが良いとわかっていても、忙しい毎日ではなかなか難しい場合もあります。バランスのとれた食事の正しい内容とはどんなものでしょうか?
免疫力アップのための、バランスのとれた食事に大切なポイントは3つとのこと。
【バランスのとれた食事3つのポイント】
1. PFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)がとれていること
→適切な体重維持のためのエネルギー摂取
2. ビタミン、ミネラルがとれていること
→代謝をサポートするビタミン12種類、ミネラル4種類を摂取
3. 水分摂取(熱中症対策含む)
→食事を抜くと水分摂取量は減少する(さらにマスク着用で喉の渇きが鈍くなる)ため
「PFCバランス、つまりタンパク質、脂質、炭水化物の3点がバランスよくとれていることが大切です。BMI(適切な体重維持)のためのエネルギー摂取のことをいい、炭水化物が50~60%、脂質が20~30%、タンパク質が15~20% がベストバランスといわれています。どれかが多すぎても少なすぎても、よくありません。肥満や痩せすぎの原因になるからです。
特に、高齢者は痩せすぎに注意が必要です。年代別で目標とするBMIが出ていますので、参考にしていただき、自分の体重(BMI)が目標範囲内にあるかをチェックし、目標体重を維持していくことが大切です。痩せていることや太っていることは、ウイルス感染しやすいリスクにもなります」(上西先生)
【目標とするBMI範囲】
<年齢>→ <目標とするBMI(kg/㎡)>
18~49歳 → 18.5~24.9
50~64歳→ 20.0~24.9
65歳以上 → 21.5~24.9
「前述のように、免疫低下を防ぐにはビタミンとミネラルの摂取が大切です。特にビタミンはビタミンA~Eまで全てのビタミンが免疫に関係しています。ですから、色々な食品から摂取する必要があるのです。
例えば、外出先であれば単品よりは定食を頼むなど、様々な食材が摂れるような食事になるよう工夫するといいと思います。
サプリメントからの摂取もできなくはないですが、取り合わせや人によって体質も違うことから、できるだけ食事からの栄養摂取をおすすめします。
そして、免疫アップにも欠かせないうえ、特にこの時期は熱中症対策としても忘れてはならないのが水分摂取です。人は1日に2.3~3.5ℓもの水分が必要とされるため、十分な水分と電解質の補給が大切です。
特にマスクをしているこの頃は、喉の渇きも感じにくいため、注意して水分補給しましょう。食事を抜くのは水分摂取量が減少してしまうので、気をつける点です。
しっかりと食事から水分を取ることが大事です。食事から50%の水分が摂れます。朝食を抜いてしまう人は、熱中症になりやすい人が多いともいわれています」(上西先生)
抗酸化力アップで免疫低下を防ぐ
「免疫には、抗酸化力が密接に関係しています。抗酸化力とは、過剰な活性酸素・フリーラジカル*3による酸化ストレスを除去する能力です。活性酵素やフリーラジカルは、老化、がん、生活習慣病などに関係しており、適切な量になることで免疫力も保たれるといわれています。そこで、抗酸化力の高い果物や野菜などの食事からの摂取による、免疫低下対策をおすすめします。
抗酸化力が高いといわれるキウイを用い、アスリートに協力してもらった検証があります。駅伝シーズンで練習量が増える時期、酸化ストレスが高度だった長距離選手に、2ヶ月間毎日キウイを2個食べてもらい、酸化ストレス度と抗酸化力の測定をした実験を実施。
2ヶ月後、酸化ストレス値が下がり、抗酸化力が上がったという結果が出ました。このことからも、キウイの潜在的な、抗酸化能を改善する可能性が示唆されたといえます。
また、インフルエンザ罹患の減少も見られたことからも、キウイには免疫力を維持し、抗酸化力アップを図れるといえるので、手軽さからも日々の食事の中で摂取することもおすすめします」(上西先生)
防衛体力を維持する適度な運動が大事
厚生労働省が公表した「新しい生活様式」では、「長丁場に備え、従来の生活では考慮しなかったような場においても、感染予防のための生活様式を実践していくことが必要である」とされています。
それは、免疫力を下げないために生活で必要なこととして、食事以外にもあるということに他なりません。いつ訪れるかわからない見えざる敵に対し備えることは、自分や周りの人の健康が良好な状態を維持し続けることです。
この新しい生活様式の中では、健康の維持として適度な運動を勧められています。コロナ禍で知っておきたい、運動についてお聞きしました。
「健康維持と増進に必要な体力には、2つあります。行動を起こす(筋力など)能力やそれの維持(筋や全身の持久力)、調節(柔軟性や平衡性など)する能力のことを『行動体力』といいます。
一方、物理的ストレスに対する抵抗力(寒冷、暑熱、低酸素、高酸素、低圧、高圧、振動、化学物質など)、生物的ストレスに対する抵抗力(細菌、ウイルス、その他の微生物、異種蛋白など)、生理的ストレスに対する抵抗力(運動、空腹、口渇、不眠、疲労、時差など)、精神的ストレスに対する抵抗力(不快、苦痛、恐怖、不満など) といった抵抗力のことを『防衛体力』といいます。
ウイルス対策として免疫力を上げるために大切なのは、この防衛体力です。防衛体力は、食事から栄養を摂ること、そして運動で高めます。アフターコロナになってからも、見直された新しい生活様式として適度な運動は取り入れ続けていくべき、と考えます」(田邊先生)
運動と免疫の関係を知る
「ただ、運動が大事でもくれぐれも気をつけていただきたいのは、過剰な運動を避けるということです。発表されている『運動量/強度と免疫機能、上気道感染症の罹患リスクの関係』*4からも、運動量と強度を、運動習慣なし/中等度/過度で分けて見た際、中等度群が一番、免疫機能が高く、また上気道感染症のリスクが低かったという結果が出ています。
高強度の運動を高頻度で行う競技アスリートなど、ストイックに運動をし続ける人々が実はウイルス感染に弱い(免疫力の減弱や易感染症を生じやすい)ことや、オリンピック出場者が罹患した主な内科系疾患のうち呼吸器系疾患であり(夏季約4割/冬季役6割)、その多くが上気道感染症であった、などの報告もあるように、運動のやりすぎは罹患リスクが高いといえます。
免疫低下を防ぐには、習慣的な適度な運動が大切です。適度な運動とは、少し息が弾むくらいが目安です。自分で続けられる運動を実施するようにしましょう」(田邊先生)
【防衛体力を高めるおすすめの適度な運動】
1. 有酸素運動:ウォーキング、その場足踏み
2. 筋力トレーニング:上半身と下半身の自体重筋トレ
3. ストレッチ:首・肩・腰・股関節周辺の筋肉を伸ばす運動
*できれば1~3をミックスで行う。
まずは「プラス10分orプラス1000歩」を目標に、運動を始めてみましょう。慣れてきたら「軽く息のはずむくらいの運動」を徐々に実施して行くことがおすすめです。
「激しい運動をした後は、免疫が下がりやすいです。日頃から運動している人は特に、帰宅後は手洗いの励行、ゆっくり休むなどの意識づけが良いでしょう。
また、免疫低下予防のためにも、運動後に栄養摂取することをおすすめします。免疫力維持のための栄養摂取としておすすめなのは、抗酸化能の高い果物や野菜。運動後の疲れた状態なので、皮むきや加熱調理のないような簡単に摂取できるものが特におすすめです」(田邊先生)
キウイフルーツの驚くべき免疫力UPパワーとは?
「免疫力が上がるというのは、低下していた免疫力が正常値になることです。体内の本来の免疫システムを正常に機能させるためには、バランスの良い食事で栄養不良を起こさないようにすることが大切です。免疫低下を防ぐための食事の中でも、簡単に摂取できる上に含有されている栄養素が高いバランスであるのが理想的です。
それには果物や野菜がおすすめですが、中でも果物は、調理の必要のないものでもあり、また一年中生産しているものは特に摂食が日々続けやすいといえます。
季節性がなく、身近な果物の中でも特に、栄養素充足率が著しく高いといえるのがキウイフルーツ。
免疫力に欠かせないビタミン群、特にCやE、そして食物繊維などが豊富に含まれており、1日の摂取推奨量や目安量・目標量といった値はほとんどが、超えている、または近い数値となっています。
1個あたり50~60kcalの低カロリーで、血糖値に影響しにくい低GI食品でもあるので、ビタミンなどの栄養素が欠乏しやすいダイエット中の人にもおすすめできます。
また、一年中手軽に入手しやすく、長期保存も可能です。面倒な皮むきもせずに、ハーフカットだけですぐに食べられることも利点です。
生食できるため、栄養素の損失が少なく、しっかり栄養補給できることも高ポイントですが、何より面倒でないことから摂食を長続きできるところが長所です」(西山先生)
【キウイフルーツに多く含有される栄養素と働き】
以下の1、2それぞれの働きは、ともに免疫力の維持・増進へつながる
1. 抗酸化作用→活性酵素除去
-ビタミンC(コラーゲン生成→皮膚のバリア機能アップ、白血球への働きアップも)
-ビタミンE
-カロテノイド
-ポリフェノール
2.プレバイオティクス*5→腸内細菌叢改善(腸内フローラ)→短鎖脂肪酸*6増加→β-ディフェンシン*7産生アップ
-食物繊維
*6 ヒトの大腸内で腸内細菌によって作られる酸(有機酸)の一種で腸を元気にする働きがある
*7大腸、口腔、食道や気道の上皮細胞で産生されるディフェンシン(ディフェンシン:生体が産生する抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用をもつペプチド.自然免疫に寄与する)
手軽に取れる!2種のキウイフルーツで免疫アップ&維持につなげる
豊富な栄養素が他のフルーツの何倍もの量で含まれている、キウイフルーツ。私たちの身近な生活で手に入りやすいといわれる、主要果物の中の栄養素充足率スコア*8が圧倒的に高い果物です。
キウイフルーツにしか含まれていない、タンパク質分解酵素があることも特徴です。アクチニジンといって、果肉が緑色のキウイフルーツに豊富に含まれている特有の酵素。
たんぱく質の分解を促す働きがあるため、肉料理や魚料理など、たんぱく質が豊富に含まれるものと一緒に食べるときには、消化をサポートしてくれる働きがあります。
鮮やかなグリーン果肉は、酸味と甘みのバランスが良くジューシーな食感が特徴で、特に食物繊維はバナナ3本分にも相当するといわれ、豊富に含まれています。
明るい黄色果肉のゴールドは、10年以上の歳月をかけて生まれたゼスプリ独自の品種。トロピカルでジューシーな甘さが特徴で、特にビタミンCが豊富。レモン8個分以上の含有量なので、1個で1日の必要量を摂ることができます。
ゼスプリは、ニュージーランドで培ったおいしいキウイフルーツの生産ノウハウを、日本で栽培契約を結ぶ生産者とシェアし、国産ゼスプリ・ゴールドとサンゴールドの生産もしています。
ほぼ一年を通して入手できるキウイフルーツ。半分にカットして、スプーンですくい、すぐに食べることができます。面倒な皮むきや調理がないので簡単に食べられるため、手軽に日々続けられます。
水分も豊富なキウイフルーツは、夏の水分補給にも向いています。水や飲料などで水分を摂るのが苦手な人も、フルーツを食べることはしやすいかもしれません。
熱中症対策として、食べるときに塩を少しまぶす、そのまま凍らせてからシャーベットやスムージーにする、などの食べ方もおすすめです。
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「新しい生活様式」と改まっていわれると難しい気もしますが、できることから自分や周りの人の大切な健康を守り維持していくと思えば、前向きにできる気がしますよね。特に、食事は楽しく、健康的に続けられる方法で気遣いたいもの。
豊富な栄養素で、免疫力アップ以外にもあらゆる体への効果が期待できるキウイフルーツを手軽に食べることなら、日課にできそうです。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- Sachi Tamura