最近の富裕層の方には、どんな家づくりが人気なのでしょうか?
今回は、フランク・ロイド・ライトの建築概念を取り入れ、富裕層向けにも数多くの家づくりを手がけるハウスメーカー「オーガニックハウス」に、近年の富裕層が好む家のトレンドをうかがいました。
また、実際に建てられた邸宅の実例もご紹介していきます、
近年の富裕層向けの邸宅は「普遍性」と「最先端」が2大トレンド
オーガニックハウスは、近代建築の三大巨匠の一人で、世界的に著名なアメリカの建築家であるフランク・ロイド・ライトの理念に従って建築するハウスメーカー。
そのオーガニックハウスで家を建てる富裕層たちの邸宅には、近年、どんな傾向があるのでしょうか。オーガニックハウスの担当者に伺いました。
「最近、富裕層の方々には、文化的に造詣が深く普遍性を重要視する方と、最先端のデザインと技術に敏感な方の、ふたつの志向性があります。
フランク・ロイド・ライトが確立した建築様式も2つあり、前者は『プレーリーハウス』を好む傾向があり、コアなライトファンの方は、木やレンガを使った『ユーソニアンハウス』に興味を持たれます。
後者の場合、モダンな素材のシンプルなデザインの現代的な『ユーソニアンハウス』が好評です。いずれも、作り付けの家具で空間をシンプルにまとめ上げているのがポイントです」
「プレーリーハウスとは、プレーリースタイル(prairie style)の家のことです。水平ラインを意識したデザインが特徴で、水平線・地平線を眺めたときの視覚的な広がりとともに、大地にどっしりと根を下ろしたような安心感・安定感を、住む人や通り行く人に与えてくれます」
「ユーソニアンハウス(Usonian Houses)は、一般的な家族のための、コンパクトで魅力に満ちた住宅です。外観はL型の平面が基本的な形状です」
富裕層に向けた家づくりで重視しているポイント4つ
富裕層向けにはどのようなところに重点を置いて家づくりを行っているのでしょうか。
■1:地域のランドマークとなるような外観
「お客様のライフスタイルをとらえ、敷地の中でのベストなボリュームとメインファサード(建築物の正面部分)を整えて、“通り”のイメージアップを図り、地域のランドマークとなる外観を創ることに注力します。帰宅したとき『いい家だなあ』と感じられ、休日には家で過ごしたくなるような空間を提案することを目指しています」
■2:LDKには居心地が最も良いゾーニング
「特に敷地の環境を読み取り、LDKの居心地が最も良いゾーニングを行うことが重要です。どこに座って何を見たいか、感じたいか。家族が自然に集まってくる場所を作るにはどうすればいいか。室内に解放感がありながらプライバシーに配慮するにはどうすればいいか、など考慮しています」
■3:温かくやさしい空間づくりのための素材選び
「建物に使う素材は、木やレンガなど、温かく感じられるマットなものを用います。できるだけ目に優しい色合いを使い、人にやさしい空間づくりを心がけています」
オーガニックハウスによる邸宅の実例を拝見!
さあ、いよいよ富裕層の邸宅を拝見! オーガニックハウスが手掛けた実例を見せてもらいました。
■実例1:家族の個と一体感を両立したエレガントな邸宅
一体感を感じられるリビングルーム
「思わず手を触れたくなるような、自然な風合いを持つ素焼き煉瓦と大谷石を用い、この住まいだけのエレガントさを感じさせてくれるリビングルームです。
この住まいで実感できるのは、『日々の美しい暮らし』と『温もりと開放感にあふれた住み心地』。この住空間では、フランク・ロイド・ライトがユーソニアン住宅で試みた『内部空間と外部空間をほどよく一体化させ』、『家族が自然に集まって適度な距離で存在を感じられる』設計が特徴。家族ひとり一人が『個』を確保しながらも、お互いの気配を感じられる。それでいて一体感をもてる住空間となっています。
フローリングの先に続くウッドデッキ、高さを揃えた天井と軒天は内と外をつなぐ仕掛け。暖炉とテレビに囲まれたリビングを中心に家族が集まり、ソファベンチの奥に配された書斎コーナーは、家族をゆるやかにつなぐ工夫。リビングのソファーに座ったとき、吹抜の解放感を感じる場所と、低く抑えた天井を設けて守られる感覚が得られる居場所を創る工夫を施しています」
リビングとダイニングキッチンをつなぐ安定感のある空間
「リビングとダイニングキッチンはつながった空間なのに丸見えではない。見えないのに家族の気配は感じられる。それは、フランク・ロイド・ライトが重視した『有機的につながる空間』をイメージするひとつの答えです。
家具の高さをそろえ、長く伸びる吊り棚が水平ラインを強調して空間の安定感を演出しています。レンガの目地や棚が作り出す陰影も、空間の深みを感じさせてくれます。また、重いレンガは床から積み上げ、天井や吹き抜けの上に浮かぶ壁は柔らかい光を感じさせるアイボリー系クロスを用いることで、重力に逆らわない安定した雰囲気づくりをすることを重視しています」
■実例2:解放感とプライバシーを両立した、空間のリズムを感じる邸宅
立体的な広がりと高さの変化が「空間の音符」を奏でる
「高低差のある天井のデザインは、部屋の目線の高さに変化を生み出し、より立体的な面白さとともに住空間にリズムをもたらします。同時に部屋の周りを低く抑えることで、守られるような(シェルター)感覚をもたらします。
『高さを揃えた天井と庇(ひさし)』は内から外につながる感覚を、『連続した窓』は空間にリズム感をもたらしてくれます。外部に腰壁を立て、大地と床面との高低差を利用して、外を歩く人の視線をコントロールすることで、解放感を保ちながらプライバシーを確保する工夫も大切。立体的な広がりと高さの変化は、空間の音符を奏でるように有機的連続性を感じさせます」
温かみを感じ、コンパクトで家族との一体感を感じさせてくれる邸宅。その富裕層たちが今、求める邸宅の特徴から、より一層、家族の絆を深めたいという思いや、安心感や安定感を得たいという思いが感じられます。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子、原田恵子(イクシアネクスト)