夏こそ冷え対策をしている、という女性も増えているといわれるほど、外気温との凄まじい差を感じる低い室温には、毎夏悩まされます。
こうした「夏冷え」は、抵抗力を下げる原因にもなります。外出自粛の解除が出てから徐々に感染者数増の報告が再びあるなか、第二波・三波に備えて体調も整え続けることが大切です。
感染症予防にも大切な抵抗力を下げないために、withコロナ生活での夏冷えを「食事から変える対策」を推奨する、医学博士の奴久妻先生と管理栄養士の渥美先生にお話を伺いました。
2020年も猛暑予想! 冷えから守るため、夏こそ体を温めることが必要に
新型コロナウイルス対策による外出自粛が数ヶ月行われ、極端に行動が減ってしまったなか、運動不足による血の巡りの悪さから体に様々な弊害が出てしまう恐れも。
これからさらに暑くなるこの季節、特に女性が気をつけたいのは「夏冷え」です。血の巡りの悪い体には、冷えは体調不良に拍車をかけ、免疫力の低下につながるといわれます。今年も少なくとも9月頃までは猛暑、と予想されている日本。夏冷えに一番大切といわれる、温めについてお聞きしました。
「今年は夏の猛暑の日数は20〜25日、熱帯夜の日数は12~17日で、平年(それぞれ9.8日、5.1日)より2倍以上多いと予想されています。よって例年以上に、冷房のかかる部屋で長時間過ごすことや、冷たいものを多く摂取する生活になると、『夏冷え』を助長する可能性があるので、まずは体を温めることに気を遣いましょう。
体を温めることによって免疫力が高まることは、医学的にも根拠があると認められています。35℃に比べて37℃、38℃、39℃と体温が上がるほど、リンパ球ががん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する力が高まります。
このリンパ球の質的変化には、体温上昇により産生されたヒートショックプロテイン(HSP)の働きも関係しています。量的変化に関しては、ぬるめの湯温での入浴によって適度に体が温まり、副交感神経が優位になると、副交感神経の支配を受けるリンパ球の数が増えます。
逆に、交感神経が優位になるとリンパ球が減少します。また、眼、鼻、喉や消化管といった外界と接する粘膜組織にあり、ウイルス等から守ってくれる分泌型IgA*1は、温めることで増えることも確認されています」(奴久妻先生)
夏冷えを引き起こす3つの原因とは?
外出先では自分の判断で室温を決められないため、かなり体が冷えてしまったという経験も少なくないはず。夏でも体が冷えてしまう根本的な原因を知っておくことで、日常で出来る限りの対処をして回避したいところです。気をつけるべきはこの3つ。
■原因1:動かなくて体が冷える
「まずは、体を動かさないことです。暑さや外出自粛により、屋内で動かない時間が長くなると、全身の血流が悪くなります。そのせいで身体が冷えて全身が固くなり、老廃物が溜まることによって、肩や首がこる、足がむくむなどの症状にもつながってしまいます」(奴久妻先生)
■原因2:室内外の温度差
「また、室内外の気温差も身体の冷えの原因となります。暑い屋外では、血管が拡張して発汗による体温調節を行います。発汗したまま冷房の効いた屋内へ入ると、拡張した血管から熱が逃げ、発汗による蒸散熱を伴って身体から必要以上に熱が奪われ、深部体温が下がることに。
特に首筋、手首、足首は比較的太い血管が皮膚に近く、冷えた空気にふれると熱が逃げやすい場所。冷房の効いた室内では、首回りや手首、足首を被うような工夫が必要です」(奴久妻先生)
■原因3:冷たい飲み物や食べ物を摂る機会が多い
「そして、暑さから冷たい飲み物や食べ物を摂る機会が増えてしまうことも要注意です。夏期の体は特に、熱を逃がそうと血流が末梢に集中するため、内臓の血流が低下しやすく、消化機能が衰えます。
そこへ冷たい飲食物の摂り過ぎで消化管の血流が低下すると、動きが悪くなってしまいます。便秘、消化不良による下痢などを起こします。発汗による脱水を予防するために夏の水分摂取は重要ですが、冷たい飲み物だけにせず、温かい飲み物や常温の飲み物も取り入れることが大切です。
特に、夏に胃腸の調子が悪くなるような人は、1日に1度は温かい食べ物を摂るように心がけましょう」(奴久妻先生)
「夏冷え」チェックリストでwithコロナ生活を乗り切る
下記のチェックリストで5つ以上該当する人は「巣ごもりによる夏冷え」を起こしやすい傾向にあるといえます。今すぐチェックし、夏冷え対策を行いましょう。
【巣ごもり夏冷えチェックリスト】
□クーラーが苦手
□夏に体調を崩すことが多い
□首筋から背中にかけてゾクゾクすることがある
□皮膚が冷たい
□肩こりや首のこりがある
□特に夏は食欲がない
□消化不調になりやすい
□夏でも熱い飲み物を欲する
□痩せている
□眠りが浅い
夏こそ、体を温める食事を心がけましょう
冷房で寒くなっている室内に備えて羽織り等を持参して出かける、インナーを工夫する、など夏冷えを引き起こさない生活を意識することが大切です。栄養豊富な温かい食事を摂ることも対策として勧められています。
「身体を冷やさない食事として、夏にあえて温かい鍋を食べることはおすすめです。特に免疫力を高める鍋に欠かせない食材が、きのこ類です。きのこには、様々な栄養が豊富に含まれています。
きのこに含まれるビタミンB 群は糖質や脂質代謝にも関わり、中でも葉酸は酸素を運ぶ赤血球の形成に関わるため、有酸素エネルギー代謝を高めて体を温めるうえで効果的といえます。
また、きのこには免疫力を活性化する作用のある栄養素も含まれます。βグルカン*2を摂ることで、直接的に免疫細胞を活性化させます。βグルカンを含む食物繊維は、全身の免疫細胞の約7割が集まるという腸を整えることで、間接的にも免疫を活性化させることが期待できます。エリンギにはIgAを増やすという研究結果もあります。
きのこ類は夏の発汗で失われやすいカリウムを補給することもできるため、ナトリウムを排出しやすくし、血圧調整、むくみの改善効果もあります。
更に、神経調整作用があるナイアシン(ビタミンB3)が入っているため、身体だけでなく、心を整えることにも期待できます。
温かいきのこ鍋を食べることで、身体を温め、複数の身体機能から免疫を活性化させるだけでなく、様々な健康効果が期待できます」(奴久妻先生)
料理のだしとして使われるうま味成分も豊富なきのこは、塩分控えめでも味わえる鍋に。汁にたっぷり溶け出した栄養素を丸ごといただけるきのこ鍋で、夏冷えを乗り切りましょう。
体を温めるのにおすすめのきのこ鍋のポイントとは?
おすすめの夏冷え対策鍋レシピを渥美先生にお聞きしました。
【夏のきのこ鍋point!】
1.昆布だしやカツオだしより「きのこだし」
2.きのこは「水から入れる」
3.1種類ではなく「複数種のきのこ」
「だしは、一般的には昆布だしやかつおだしが挙げられますが、実はきのこだしの方がうま味を感じられます。昆布だし、かつおだしには、三大うま味成分の1つであるアミノ酸系のグルタミン酸が入っています。
それに対して、ブナシメジやエリンギ、マイタケといったきのこには、グルタミン酸に加えて、核酸系のグアニル酸も含まれ、2種類のうま味成分が入っています。
グルタミン酸のみの食材に比べ、グルタミン酸とグアニル酸の2 種類のうま味を含む食材は、アミノ酸系のうま味成分と核酸系のうま味成分のかけ合わせで『うま味の相乗効果』が起こるため、強度が高まります。
昆布だし、かつおだしを1とすると、ブナシメジだしは約6.4倍、エリンギだしは約22倍、マイタケだしは約20倍もうま味が強く感じられるともいわれています。きのこの元々持っているうま味をうまく活用することにより、味の満足度が高まるので、無理なく減塩することができるのも嬉しいポイントです。
また、きのこのうま味成分であるグアニル酸は加熱により作られ、60℃~70℃辺りで急増します*3。この温度帯をゆっくり通過することで、きのこのうま味がどんどん引き出されます。
きのこ鍋をおいしく食べるには、沸騰してからではなく、水の状態からきのこを入れるのが正解です。じっくり加熱するとうま味がたくさん出てくるので、だしの素などがなくても味わいのあるお鍋ができます。
そして、うま味を含む食品は複数入れることで、よりおいしくなります。きのこも1種類ではなく、2種類、3種類と複数入れることにより、様々なうま味や風味が相まっておいしくなるといわれています」(渥美先生)
簡単!夏におすすめの「体あっため」きのこ鍋レシピ
【鶏肉ときのこのたっぷりしょうが鍋】
[材料:4人分]
ブナシメジ1袋(100g)
ブナピー1袋(100g)
エリンギ1袋(100g)
マイタケ1袋(100g)
鶏もも肉 唐揚げ用 200g
長ネギ 1/2本
大葉 6枚
生姜 2片
【A】水2カップ
【A】塩小さじ1
【作り方】
1.ブナシメジ、ブナピーはV 字カットで石づきを切る。エリンギは輪切りにし、マイタケはほぐす。
2.長ネギは斜め1cm幅に切る。大葉は軸を切る。生姜はスライスする。
3.鍋に【A】と1を加え火にかけ、温まったら2を入れて加熱する。
夏きのこ鍋におすすめ! 手軽に摂れる「ブナピー」で免疫力アップ
種類豊富なきのこの中でも、特に夏きのこ鍋におすすめしたいのがブナピーです。プルンとした歯応えにツルンとした喉ごしが特長の、新食感きのこ「ブナピー」。
ブナピーには、肝臓の働きを助けるといわれるオルニチンが多く含まれます。オルニチンは、疲労回復、二日酔い予防、細胞の新陳代謝を向上し肌のターンオーバーを整える美肌対策、ダイエット効果への期待など…様々な有効性があるといわれています。
オルニチンで有名な食材であるシジミよりも、はるかに豊富に含まれています(シジミ:オルニチン10〜15mg/100g中 に対し、ブナピー:オルニチン110mg/100g中)。
また、ブナピーには食物繊維の一種βグルカンも豊富に含まれており、直接腸内の免疫細胞に働きかけ免疫力を高めます。そして、血中コレステロールを低下させ、日本では生活習慣病となっている動脈硬化を抑制する効果も。βグルカン含む食物繊維には腸を整える働きがあるため、意識的に摂取することで栄養素の吸収率が上がり、体全体の代謝や免疫力の向上が促されます。
ブナピーは、ブナシメジの色の白いもの同士を交配し生まれた、真っ白いきのこ。
品種改良が重ねられ、甘みがありきのこ特有の苦味が少ないのが特徴で、主菜や副菜など様々な料理に幅広く利用できます。食事用はもちろん、味にクセがあまりにもなく、プルっとした食感からお菓子づくりの材料にもできるのだとか。
食感を楽しむために、大きめにほぐして利用するのがポイント。加熱してから冷やすことで、プルプルの食感がさらに引き立ちます。真っ白なカラーは、料理の彩りをより引き立てる役割をしてくれます。
スーパーや百貨店などの野菜売り場で購入可能。
屋外では熱中症に気をつける一方で、室内では知らず知らず体が冷えてしまう夏は一層体調管理に気を配る必要があります。冷房で冷えてしまった体には、食事で体の内側から温めることを習慣づけ、体温と代謝アップを目指し抵抗力低下を心がけたいですね。
※商品の価格は税抜です。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- Sachi Tamura