ガイドブック『ロンリープラネット』が、「小さいけれど、世界一クールな首都」と称した、ニュージーランドのウエリントン。この街の人々はこだわりだしたら、とことん追求するアルチザン気質。食や映画、ファッションなど、あらゆる分野でクリエイティブです。
そんなウエリントンを体現したようなホテルが、2017年4月に誕生したコチラ、QTミュージアム・ウエリントンです。

かつてヤフーが選ぶ「世界の素晴らしい芸術品が見られるホテルベスト10」にランクインした旧ミュージアム・アート・ホテル・ウエリントンを、オーストラリアで展開する新進気鋭のデザインホテルブランド、QTホテルズ&リゾーツ(以下、QT)が、さらに個性をバージョンアップさせました。ちなみに、このホテルはQTにとって、海外初進出となります。
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キュレーター、スタイリスト、デザイナーが結集した空間造り

コンセプトは「アート・デザイン・好奇心、そして少々の不条理」。
他のQTと同様に、キュレーターやスタイリスト、デザイナーなどが独特の世界観を繰り広げています。レセプションに続くアプローチからすでにアートピースがディスプレイされ、館内に一歩入ると、スペースのいたるところに、そして壁全面にアバンギャルドからデカダンまで主張のある作品がずらり。目にするところすべてに、色やテクスチャーがあふれています。

建築家&デザイナーのシェリー・インダイクが目指したのは、ホテルの洗練をキープしつつ、大胆なアート作品をディスプレイしたハリウッド・グラマーな世界。スタッフのユニフォームも、ハリウッドのコスチュームデザイナーが担当しました。

ゲストルームはホテルとアパートメントが全163室(NZ$215~ NZ$1=約80.2円 ※2017年9月12日現在)。
ナチュラルな建材を使った室内には、モダンなプリントのクッションや、金色のカバの置物(館内のあちこちにカバのモチーフが)、スポットライトのような照明など、遊び心が見え隠れ。それはまるで、「不思議な国のアリス」のウサギの穴の中へ迷い込んだような気分。クリエイティビティーの世界に浸りきるのが、ここでのベストな過ごし方。

アートばかりでなく、室内の装備も抜かりなし。エスプレッソマシーンやボーズのサウンドシステムに、テ・パパ国立博物館がキュレートした本、地元の菓子職人のスイーツ、マリン&ゴッツのバスアメニティーなど、ひとつひとつ吟味されたものばかり。

賞に輝いたハイティーやフレンチ、フーディーの心も満たす


紅茶メーカーのディルマー社が主催する、21世紀のリアルなハイティーを選ぶコンテスト「グローバル・チャレンジ」で、グランプリに輝いたこともある本格派。「マリー・アントワネットのための」とうたうハイティーは、料理はもちろん、トレイやソーサーなどのしつらえも、まさに眼福。
ちなみに、このホテルには前身のミュージアム・アート・ホテル・ウエリントン時代、今でも語り草となっている出来事が。1993年当時、このホテルは今よりも海寄りの場所にありました。しかし地盤沈下が起こったことから、引っ越しをすることに。なんと、4階建て3000トンもの建物を、レールを敷き、120mも牽引して移動させたそう。個性派ホテルは、逸話もスケールが大きいですね。

問い合わせ先
- QT Museum Wellington(QTミュージアム・ウエリントン)
- 住所/90 Cable Street, Te Aro, Wellington 6011, New Zealand
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- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子