話題の江戸切子職人・三澤世奈さんにうかがった「堀口切子」の逸品6選
今年の春に突然やってきた、コロナ禍のおうち時間。在宅勤務を余儀なくされた人のなかには、通勤時間が省かれた分、いつもより豊かな暮らしの在り方を見つめ直した人も多いかもしれません。
普段より手をかけた料理、こだわった飲み物、そして特に不自由なリモートワーク後の一杯で実感した、器の存在の大きさ…。
そこで、「アマン東京」や「料理屋 植むら」といった一流ホテルやミシュランの名店など多くの場所で採用され、海外からも熱い注目を集める「堀口切子」の江戸切子にフォーカス。小栗旬さんと水原希子さんが出演したサントリー「山崎」のCMに用いられていたので、記憶に残っている人もいるのでは? 氷が山となり湖面は月明かりでキラキラと輝く…そんな情景がウイスキーを注ぐことによって浮かび上がるロックグラスを生み出した人気の江戸切子です。
本記事では、日常に溶け込むデザインが特徴の新ブランド「SENA MISAWA」も擁する同社の贅沢なラインナップから、テレビ番組『セブンルール』での密着取材が話題になった江戸切子職人・三澤世奈さんにセレクトしていただいた、おすすめの逸品をご覧ください。
■1:映り込みの美しさを楽しむシンプルカット|万華様切立盃
お酒を注いで、ぐい呑を口元に運んだその瞬間に、最も美しい姿を見せてくれるミニマルな現代の切子。細かいカットパターンで魅せる切子と対照的に、シンプルなデザインでありながら、ガラスの特性を活かした「映り込み」のしかけが驚きと感動を与えてくれます。
透明な液体だけでなく、様々な彩りを試してみたくなる、無限の美しさを楽しむ一品です。
■2:江戸切子の歴史と変遷を語るペア|今昔揃
「籠目二菊繋文切立盃」と「黒被万華様切立盃」のペアである「今昔揃(こんじゃくぞろえ) 」。これは、江戸切子の始まりである「透き(透明なガラス)」を”昔”。一番最後に加えられた色である「黒被せ(くろぎせ)」を”今”として、色とデザインの対比によって江戸切子の歴史を表現したものなのだとか。
江戸切子の揃えといえば、赤と青が代表的なので、こんな組み合わせも新鮮! こだわりのある人へのギフトにもぴったりです。
■3:日常のワインはコップでカジュアルに|ワインコップ
ワイングラス、ではなく、ワインコップ。これには理由があるようです。
イタリアンレストランなどを経営する日暮勝秋さんが、イタリアで出会ったワインコップに魅了され、店に頼み込んで持ち帰り、自分の店用に制作したというストーリーを耳にした堀口切子代表の堀口氏が、この経緯と、自分たちが大切にしてきた「パールカット」というデザインが「飾らずシンプルでありながら、そこへ向ける強いこだわり」という点で親和性があると感じ、日暮さんが企画したこの「ワインコップ」製作に参加したそうです。
ワイン文化が根づき、日常的にワインを口にする機会が増えた現代の日本だからこそ、この「コップ飲み」 がおすすめ。自宅作業の後の一杯、にぜひ。
■4:心地よいインテリアのように楽しみたい|SENA MISAWA「SHIPPŌ」
「SENA MISAWA」は堀口切子所属の江戸切子職人、三澤世奈さんが制作、プロデュースするブランドです。こちらの「SHIPPŌ」は「七宝」という伝統文様を分解、再構築を試みて生まれました。伝統的な文様から学び、三澤さんが「心地よい」と思える、新しい文様が創り出されています。
日常に馴染むトーンの切子は、インテリアのように、空間とコーディネートして楽しむのもおすすめです。
■5:宝石のようなまばゆい輝き|籠目文切立盃
オーソドックスな文様である「籠目文」は、伝統的なデザインのロングセラー。「アマン東京」や「料理屋 植むら」といった一流ホテルやミシュランの名店などで採用されています。
籠目(かごめ)文とは竹などで編んだ籠の網の目、またはその格子の模様のこと。八方すべての方角から幸運を引き寄せるという謂れのある形で「幸せを『籠む』」文様です。
この盃は色被せの部分をより立体的に、浮き出るように深く掘りこみ凹凸を出すことで宝石のような輝きを携えています。華やかで存在感があり、お誕生日祝いや昇進・退職祝いに人気。記念日などに1客ずつコレクションしていけば、年を重ねるごとにコレクションの彩りが豊かなり、輝きを増します。人生を美しく反映してくれているようで、そんな器との付き合い方も素敵です。
■6:伝統の文様をモダンに再解釈したデザイン|SENA MISAWA「KAGOME」
ほかの堀口切子ラインナップに比べ、不透明な色、マットな質感を取り入れている「SENA MISAWA」が「八角籠目文(はっかくかごめもん)」という代表的な江戸切子の文様を日常に心地よいトーンに再解釈したKAGOME。こちらも籠目文切立盃と同様に「アマン東京」や「料理屋 植むら」をはじめ、数々の一流ホテルやミシュランの名店など多くの場所で採用されている逸品です。
モダンなムードを放つので、注ぐドリンクや、合わせる料理の幅がさらに広がります。オリジナリティある組み合わせを探して、器遊びがさらに楽しくなりそう!
豊かな日常を楽しむために、お祝いに、そして海外への手土産に。硝子と真摯に向きあう堀口切子の作品は、伝統の素晴らしさを思い出させると同時に、本物を所有する贅沢な喜びを存分に堪能させてくれます。
その凛とした透明感と、宝石にも負けない輝きで毎日に感動と笑顔と驚きを与える、堀口切子。江戸時代後期にはじまり、2002年には国に認定された伝統的工芸品は、次の世代にも継承したい、サステナブルな名品です。
※掲載された商品の価格はすべて税込です。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 神田朝子