唐津焼とは、肥前(現在の佐賀県西部・長崎県北部)でつくられる陶器の総称である。古くから茶碗は「一楽、二萩、三唐津」と呼ばれるように、名高い焼き物のひとつ。唐津焼は、自然な土の色と質感を残した素朴な風合いで、使うものの気持ちを和ませる。

陶芸作家の戸川雅尊(がそん)さんは、生まれも育ちも唐津。二十歳の頃、それまであまり意識していなかった唐津焼に目覚め、25歳で弟子入り。2011年に割竹式登り窯を築窯(ちくよう)し、独立した若手である。

戸川雅尊の徳利とぐい飲み、唐津焼の新風

「尾脇毛」のみを使ったブラシ。¥120,000(イシカワ)
口の大きさは、直径約10cm。徳利¥8,800・ぐい飲み¥6,600(うつわ松室〈戸川雅尊〉)税抜、参考価格

渋くほの暗く、しっとりとしたイメージの唐津焼に、すっきりとした空気が流れるような質感が、戸川さんの焼き物にはある。

グレーがかった小さな口が特徴の「皮鯨(かわくじら)」と呼ばれる徳利は、縁から垂れる釉薬に味があり、底に向かって晴れやかな青の世界とのコントラストが美しい。ぐい飲みは、平たい形状に酒が薄く溜まり、酒の香りが開き、のどの奥にすっと入る感覚。酒のツヤツヤとした光の反射も粋である。

古窯跡にも足を運び素材となる土を探す戸川さん。目指す唐津は、「安らぐような気持ちになる器」である。 

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PHOTO :
池田 敦(パイルドライバー)