こんにちは、アンドリューです。前回は特別編としてこの秋の「国宝大ブーム!」についてお伝えしました。おかげさまで、国宝ブームにあわせて創刊した弊社のウイークリーブック『週刊ニッポンの国宝100』(9月5日創刊、火曜日発売)も、数々のワイドショーで取り上げられ、売れ行きが好調。アンドリューが担当した特別付録「国宝の旅 トラベルケース」もネット等で話題になって、ひと安心です。
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ところで、最近あまりアンドリュー日記が更新されてないじゃないか? 英国ネタはどうなったんだ? そもそもロンドンのアート事情につて報告するって言ってたじゃないか? と思っていらっしゃる方に・・・(そんな人いないかも知れませんが・・・)。今回は、ロンドンの美術館所蔵作品で開催される国内の大規模展覧会についてご報告させていただきます。
来春2018年3月24日から、横浜市の横浜美術館で開催予定の「ヌード 英国テート・コレクションより」が、それです。なんといっても、タイトルが「ヌード」! ヌードって裸? そうなんです。
120点以上にも及ぶ出展作品、全部がヌード!
展示会場中がはだか! ハダカ! 裸! という超過激、超挑戦的、超センセーショナルな展覧会なのです。
ジャコメッティ、ピカソ、ロダンのヌード作品
そもそも「ヌード」というのは西洋美術においては、アーティストたちが常に向き合ってきた非常に重要なテーマなのだそうです。
確かにギリシャ彫刻にしてからがヌードなわけで、西洋美術とヌードが切っても切れないものというのは、なるほどそうだよなあ・・・と思うわけです。ただ、近代以前においては、ヌードは基本は神話の世界の登場者のみを題材にしていたようで、身近な人や日常の風景としての裸体が描かれるようになるのは、19世紀以降。
神話の世界のヌードから、近代のヌード表現がいかに生まれ、いかに変遷していったのか? さらに現代アートのアーティストたちは、ヌードをどのようにとらえ、どのように表現してきたのか?
この展覧会では、英国を代表するテート・コレクション所蔵の120点もの絵画、彫刻、素描、写真作品を通して、美術史上における「ヌード」の意義が理解できるように構成されているのです。
その中には、今回日本初公開となるオーギュスト・ロダンの大理石の彫刻作品『接吻』をはじめ、アルベルト・ジャコメッティやヘンリ・ムーアの彫刻作品、そしてエドガー・ドガ、ルノワール、アンリ・マティス、ピカソなどの絵画作品などなど、貴重で見応え満点の名作が総出演予定です。
「ヌード」がテーマだけれど、それ以上に、まるで西洋美術の教科書を見るがごとく、各時代を代表するアーティストたちの作品がこれでもか、というくらい登場します。
アートこそがサイコーのエンタメと実感できる美術館
ところで、そんなにすごい作品をたくさん所蔵しているテート・コレクションって、いったい、なんだ? ということですが・・・
「Tate(テート)」は、1897年に英国で設立された、近現代の美術作品を所蔵、管理すると同時に展示、広報している機関。英国内に「Tate Britain(テート・ブリテン)」「Tate Modern(テート・モダン)」「 Tate Liverpool (テート・リバプール)」「Tate St.Ives(テート・セント・アイヴス)」の、4つの美術館を運営しています(ロンドン市内にあるのは、テート・ブリテンとテート・モダン)。
私アンドリューは、テート・リバプール以外の3つに行ったことがありますが、特に英国人アーティストの作品所蔵において群を抜いているテート・ブリテンと、現代アートの壮大な作品群を展示しているテート・モダンに関しては、ロンドンに行くたびに訪れます。どちらも、いつ行っても新たな感動に出合える、素晴らしい美術館です(もちろん、特別展以外、常設展は無料!)。
イギリス人のアーティストといえば、ヘンリ・ムーアやフランシス・ベーコン、デイヴィッド・ホックニーなどを思い浮かべますが、私アンドリューは、何よりターナーが好きです。日本でも人気がありますよね。
ターナー(ジョセフ・マロウド・ウイリアム・ターナー)の作品を、膨大に所蔵し、常設展示しているのが、このテートの中のテート・ブリテン。若い頃からのターナーの数々の作品が所蔵展示されているので、これまでみてきたターナーとはかなり違った印象の作品も数多く展示されています。
ターナーといえば、印象派の先駆者ともいわれる画風で描かれた風景画が有名です。『Snow Storm - Steam-Boat off a Harbour's Mouth』(Tate) や、『Rain, Steam, and Speed - the Great Western Railway(雨、蒸気、スピード、グレートウェスタン鉄道)』(National Gallery)など、独特の画風の風景画は、日本でも多くのファンがいることで知られています。
ところが、このテート・ブリテンには、初期のターナーの作品も多く所蔵されており、その中には女性を描いたものやヌード作品まであり、驚かされます。個人的には初期作品ではありませんが『Reclining Venus』(1828年)というベッドに横たわる裸婦の絵や、『Two Recumbent Nude Figures』(1828年)と題する未完の油彩画にも心ひかれます。いずれにせよ通常は、ロンドンのテート・ブリテンに行かないと見られない、貴重な作品群であることは間違いありません(今回紹介している横浜美術館での「ヌード 英国テート・コレクションより」展では、そんなターナーの貴重なヌード作品が登場するとあって、大きな話題になりそうです!)。
テート・ブリテンは、ターナーだけでなく、イギリスを代表するアーティストの作品を常設展示しており(つまり無料で)、英国文化の深淵を知るのにとても最適の美術館です。
フランシス・ベーコン、ヘンリ・ムーア、ホックニーはもちろん、「え、この作品も英国人画家だったの?」「あ、なんだこれもイギリスのアーティストの作品だったんだ!」てな具合に、有名作品ワンサカみられて、ホント楽しいですよ!
ジョン・ウイリアム・ウォーターハウスの『シャーロットの女』やジョン・エヴァレット・ミレーの『オフィーリア』といった、近代の油彩画も、何度見ても、心に染み入るような感動があります。
美術作品の点数の多さ、その質の高さ、しかもそれを無料で見させてくれる懐の深さ・・・イギリスの美術館って、本当にすごい!と思うし、ロンドンを訪れる楽しさの一番がアート三昧、などと思う昨今のアンドリューです。
とはいっても、ロンドンなんかそう度々は行けないよ、という方・・・まずは来年の横浜美術館での「ヌード 英国テート・コレクションより」に行かれてはいかがでしょうか? そこで感動したら、是非その次は、ロンドンの本当のテート・ブリテン、テート・モダンへ!
そうそう、今回現代アートの一大美術館「テート・モダン」の楽しさについては触れませんでしたが、次回はその楽しみ方、そして最新事情についてもご報告させていただきますね。
9月に入って連日連夜、上司からの責め、部下からの突き上げ、妻からの詰問に苦しんでいる、私アンドリュー・・・。そのことを文章がヘタなことの言い訳にして、いつものようにお詫び申し上げます。許してくださいindeed!でございます!
では、今回は雲のまにまに太陽の日が差してきたのでさようなら・・・
問い合わせ先
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ヌード展 英国テート・コレクションより TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
会期/2018年3月24日(土)〜6月24日(日)
場所/横浜美術館
住所/〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 - TEL/045-221-0300
- ※前売券は、2018年1月20日(土)から3月23日(金)まで、横浜美術館、展覧会公式サイト、チケットぴあ、ローソンチケットほか、主要プレイガイドにて発売
- TEXT :
- アンドリュー橋本 Precious非公式キャラクター