つねに成長と成功を信じ、高い目標を掲げて頑張ってきた私たちに、今、価値観の大転換が求められています。未来が見通せない今、それでもしなやかに、そして美しく生きるために必要なものとはいったいどんなことでしょうか。雑誌『Precious』3月号では特集「今こそ、『曖昧力』を身につけませんか?」を展開中。「曖昧ななかで生き抜く力」=「ネガティブ・ケイパビリティ」に注目し、新時代を歩くための心構えを解説しています。

世界が一変した今、ニューノーマルを前に、戸惑い、悩み、途方に暮れているのが正直なところではないでしょうか。そこで、さまざまな立場から寄せられたそれぞれのもやもやに対し、本特集で登場する識者4人に、各々の視点から答えてもらいました。本記事ではコラムニスト、ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんと精神科医・星野概念さんがお答えします。

ジェーン・スーさん
コラムニスト、ラジオパーソナリティ
1973年東京都生まれ。最新刊『女のお悩み動物園』(小学館)が発売中。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』(月〜木曜、11〜13時)ほか、ポッドキャスト『OVER THE SUN』(金曜17時配信)も好評配信中。
星野 概念さん
精神科医
(ほしの がいねん)総合病院に勤務する精神科医。ミュージシャンでもあり、執筆も行う。精神医学や心理学を身近に感じてもらう活動を行っている。著書に、いとうせいこう氏との共著『ラブという薬』『自由というサプリ』(リトルモア)。

Q:女性同士、理解を深めて手を取り合うにはどうすればいいのか、その方法がわかりません。

「女性活躍推進法」施行を機に管理職となり、さらに役員に昇進しました。男性優位の社風のなか、女性の労働環境改善に向け奮闘中です。しかし「どんな手段で上りつめたのか」「役員だからもう安泰?」など、同性からやっかみの声が。これから推進したいことは山ほどあるのに、もう心が折れそうです。(不動産会社勤務・50歳)

A:やっかむ人の声ばかり聞こえてしまうそんな自分の耳を掃除してみましょう(ジェーンさん)

「称賛と悪口とを比べれば、後者のほうが100倍大きく聞こえるもの。だから心配しなくて大丈夫。そんなことより『女の敵は女』などという幻想に自ら乗らないことです。そうではなく、あなたをポジティブに捉え、声を求めている若い人々に目を向けましょう。彼ら彼女らは『何をしているのか』『どうすればいいのか』を具体的に聞きたがっています。そこに声を届けるほうが得策です」

A:本音で話し合う無礼講の会を設けてみてもいいかもしれません (星野さん)

「よかれと思って頑張るあなたと、嫉妬する彼女たちと。お互いがお互いの立場を想像できていないのだと思います。ここはひとつ、本音で話し合う会合を開くのはいかがでしょう。最初はギクシャクするかもしれませんが、それでも続けてみてください。あとは、別の会社の似た立場の人々に相談してみては。同じ辛さをもつ人々と知恵を絞り、対策を練るのは重要なことなのです」

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
BY :
『Precious3月号』小学館、2021年
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ILLUSTRATION :
佐伯ゆう子
EDIT&WRITING :
本庄真穂、池永裕子(Precious)