清水寺や八坂神社がある京都・東山エリアに位置し、京都市文化財に登録される日本庭園を有するラグジュアリーホテル「ウェスティン都ホテル京都」。
2018年より大幅リニューアル工事を実施していた「ウェスティン都ホテル京都」が、この4月にグランドリニューアルを迎えました。
2020年に創業130年を迎えた歴史あるホテルに脈々と受け継がれる伝統はそのままに、さらなるラグジュアリーホテルを目指したという今回の大規模リニューアル。ホテル全体のリニューアルデザインコンセプトは「The Queen of Elegance(クイーン オブ エレガンス)」。“気品ある女王”として、国内外にその名をとどろかせたいという想いが込められています。
天然温泉を使用したスパ施設であるSPA「華頂」のオープンをはじめ、古くからの伝統を大切にしながらも今の時代にふさわしいしつらえを加えて新たに生まれ変わったラグジュアリーホテルの詳細をお届けします。
グランドリニューアルした「ウェスティン都ホテル京都」の魅力
■1:水路閣をイメージした天然温泉のSPA「華頂」
今回のリニューアルで新たにオープンしたのが、敷地内で掘削した天然温泉を利用したSPA「華頂」。総敷地面積2,100㎡を誇る、京都最大級のスパです。
水路閣をイメージしたデザインの半露天風呂など、華頂山や琵琶湖疏水との調和を大切にした優雅な空間に、心身ともにリラックスできそうです。
女性内湯は、日本モダニズム建築の開拓者のひとりである建築家・村野藤吾氏建築のやわらかな曲線美を取り入れ、落ち着いたエレガントな雰囲気。天井からのライトで輝く星のような演出を施しています。大小ふたつの浴槽とジャグジー、スチームサウナがあります。
男性内湯は天井が高く、大きな窓から外光を取り込んだ、明るく開放的な空間。半露天風呂前の廊下の先に、大小ふたつの浴槽とジャグジー、ドライサウナを備えています。
源泉の名前は京都けあげ温泉。低張性弱アルカリ性低温泉で、筋肉や関節の慢性的な痛みや冷え性、疲労、末梢循環障害、ストレスによる諸症状など、さまざまな不調に効果があるとされています。
宿泊者もしくはホテルの会員のみが利用可能です。
スパ内には、フランス発のスキンケアブランド「Sothys」によるリトリートサロン「Le Jardin Sothys」も。フランスのSOTHYS社のルーツに繋がる自社の庭園(=jardins)から着想を得て、“自然との調和”をコンセプトに、落ち着いた白とグリーン、木目を基調にした、穏やかな空間となっています。
豊富な知識を持ち、一流の技術を極めたセラピストが、温泉浴、スパトリートメント、指圧、お灸、瞑想といった多彩なメニューから、現代の“湯治”ともいうべき最適なヒーリングスパプログラムを提案してくれます。
温浴との相乗効果で美と養生の効果が高まるような、瞑想・ヨガなどを含めたトータルコーディネートの朝食つき宿泊パッケージプランなども検討中だそう。
どこかに旅するための拠点として泊まるのではなく、ボディのリトリートを目的としたホテル滞在をするという、今の時代にふさわしい新たな提案が楽しみですね。
■2:やわらかな曲線美を取り入れた優美な客室
今回のリニューアルで、2室を1室にするなどして従来の客室面積を拡大し、499室あった客室は266室へ。ひと部屋がより広く、開放的になり、さらにリラックスして滞在できるようになりました。
“The Queen of Elegance”のテーマに沿って、村野藤吾氏の曲線美を取り入れたインテリアやデザインで、女性らしいやわらかさが感じられるエレガントな空間となっています。
窓から四季折々の京都の景色が一望できるだけでなく、鴨川の川床を思わせるカーペット、梅の花を模したスツールなど、内装にも京都・東山の自然を織り込んでいます。
また、宿泊客のニーズに応えて、どの部屋の浴室にも独立した洗い場を設けているのも、使いやすいポイントですよ。
客室でもっとも広いラグジュアリースイートは、広々としたリビングスペースとベッドスぺースを備えています。明治~昭和初期の南禅寺界隈の別邸をイメージしたというお部屋はレトロモダンな雰囲気で、長期滞在にも最適。
ピンクベージュやゴールドといった色みを取り入れることで、エレガントさを演出しています。過ごし方に合わせて自由に使えるデイベッドなど、ひとりひとりのストーリーを大切にした部屋のしつらえに、おもてなしの心が感じられますね。
広々とした窓からは美しい古都の街並みを見ることができ、日常を忘れてゆっくりと心安らかに過ごすことができそうです。
■3:客室面積を拡大して居住性を増した数寄屋風別館「佳水園」
ウェスティン都ホテル京都には、洋風な客室だけでなく、京都らしい和風なお部屋での滞在がかなう別邸もあります。それが、ホテル敷地内にあるまったく個性の異なる宿泊施設、数寄屋風別館「佳水園」です。
ホテル本館7階から続く道を歩いて外に出ると、そこには歴史を感じさせる重厚な檜皮葺の門が。門をくぐって中に入ると、日常を忘れタイムトリップしたかのような静謐な空間が広がります。
佳水園は、村野藤吾氏の設計により1959年(昭和34年)に建設され、ホテル創業130年にあわせて2020年の7月にリニューアル。外観やパブリックスぺースなどの繊細な設計は承継しつつ、趣はそのままに現代技巧を調和させて新たに生まれ変わりました。
こちらもホテル内客室と同様、ふたつの部屋をひとつにするなど、20室あった部屋を12室にして広さを出しています。小さくても52㎡、もっとも広くて約100㎡というゆとりある空間で、世間の喧騒から離れた贅沢な時間を過ごすことができます。
自然あふれる京都の景観が楽しめるお部屋、書斎つきのお部屋など、風雅でありながらそれぞれに個性の違う12の客室は、何度でも訪れたくなる魅力にあふれています。
すべての客室はリビングとベッドルームを分けた居住性の高い作り。そして佳水園のバスルームでも、SPA「華頂」と同じく天然温泉を堪能できます。
また、佳水園宿泊者専用のライブラリーも。コーヒーや紅茶をいただきながら、京都の文化に関連する書籍を楽しむことができます。
木の香りに包まれた静かで開放的な空間で、日頃の疲れを癒やす滞在ができそうです。
■4:フレンチと和の融合を味わうドミニク・ブシェ氏監修の高級フレンチレストラン「Dominique Bouchet Kyoto『Le RESTAURANT』」
2019年12月にオープンした、フランス人シェフのドミニク・ブシェ氏が監修した高級フレンチレストラン「Dominique Bouchet Kyoto『Le RESTAURANT』」。
京都産の厳選された食材を使って作る、ドミニク氏のフランス料理の真髄を織り交ぜたひと皿を提供しています。
内装はグレージュを基調にナチュラルな雰囲気。無機質でキラキラと揺れるオブジェが特徴的です。インテリアとして置かれた流木は、京都の歴史の積み重ねや時間の経過を表しているそう。
食器もドミニク氏のこだわりでチョイスしており、店内の壁際に立てて収納しているところを見ることができます。
また、レストラン内にあるウォークインワインセラーにある約300種類2,500本取り揃えたワインの中から、ソムリエが食事とのマリアージュを楽しめるようなワインを提案してくれます。
アペリティフのシャンパンや食後のチーズ・ブレッドの提供など、きめ細やかなサービスもうれしいですね。
さらに、同じく2019年12月に同時オープンしたのが、「Dominique Bouchet Kyoto『Le Teppanyaki』」。ドミニク氏監修による鉄板焼レストランです。
フレンチらしい前菜に、京都産のお肉や神戸牛などのブランド牛をメインにした料理を楽しめます。それだけでなく、ドミニク氏のオリジナリティが光る魚介類や締めの食事、デザートの提供も。
フレンチのレシピで作るアメリケーヌソースなど、ドミニク氏こだわりのソースでいただくお肉はまさにフレンチと鉄板焼きの融合。また、旬の京野菜を積極的に取り入れ、ブイヨンにも生姜をきかせて日本風にアレンジするなど、フレンチと和のマリアージュも随所に。
アミューズから始まり、ひと皿目、ふた皿目、そしてメインのお肉……というふうに、フレンチのコース料理のような形で提供される鉄板焼きは、お祝い事など特別な日のお食事にもぴったりです。
■5:京都の「和」を感じられるものなど、充実したアクティビティ
滞在するようにホテルを楽しみたい方におすすめなのが、さまざまなアクティビティです。
ウェスティン都ホテル京都では、昨年の創業130周年にあわせ、ホテルの長い歴史と伝統を見ることができる「都ギャラリー」をオープンしました。
各時代の写真や、ホテルの歴史を彩る美術品など、貴重な歴史資料とも言うべきアイテムが多数展示されています。
国賓・公賓など、多くのVIPに使用されてきた宴会場「葵殿」の杉戸襖。1937年(昭和12年)、日本画家の堂本印象の手によって美しい花鳥画が描かれました。
ほかにも、チャールズ皇太子と故・ダイアナ妃が訪れた際の署名とポートレートや、アメリカ・ブッシュ元大統領からの感謝状、佳水園で行われた将棋のタイトル戦「第11期王将戦」にて使用された将棋盤と駒など、なかなか見ることができない貴重な品が並んでいます。
毎週末(土日各日8名限定)、都ギャラリーを含めた館内の施設や美術品、調度品をホテルスタッフが詳しく説明しながら案内してくれる館内ツアーを実施中。宿泊客限定で、前日21:00までの要予約です。
ホテル裏山の華頂山一帯でバードウォッチングや森林浴が楽しめる「探鳥路」のツアーも魅力的です。
佳水園の入り口近くにある階段をのぼっていく山道は、春は桜、秋は紅葉など、四季折々の森の表情を感じることができます。
階段の途中から使用されている木は近鉄電車の枕木だそう。そんなところにも趣を感じますね。
歩いていると、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロといった、たくさんの野鳥の声が聞こえてきます。実際に取材で訪れたときはちょうど桜が咲く季節。「ホ~ホケキョ」というウグイスの声が何度も聞こえて、耳からも春を感じることができました。
ゆっくり歩いて10分ほどで到着する見晴らしのよい御百稲荷神社前では、東山の眺望が楽しめます。
早朝から行われるこちらのアクティビティは、1日をさわやかにスタートさせるのにぴったりですよ。
ほかにも、ヨガレッスンや裏千家の茶道体験、福寿園京都本店でのお茶の講座、松井酒造の日本酒テイスティングなど、有料のアクティビティも多数用意されています。京都の“本物”を感じられる粋な体験が楽しめるものばかりですので、ホテル滞在の折にはぜひチェックしてみてください。
2年ほどかけて行われた大規模リニューアルで、ホテル内のほとんどの部分が歴史を大切にしながら現代のニーズに応えて生まれ変わったウェスティン都ホテル京都。今回ご紹介した場所のほかにも、クラブラウンジやフィットネススタジオ、オールデイダイニングやティーラウンジなど、魅力的な体験施設がたくさんあります。
ウェスティン都ホテル京都の伝統を感じられる優美で洗練された空間で、ゆったりと贅沢な時間を過ごしてみませんか。
問い合わせ先
- 住所/京都市東山区粟田口華頂町1(三条けあげ)
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美