『Precious』6月号では「肌の若返りには『成分買い』コスメが効く!」として、コスメの成分に注目!

いつも使用しているコスメに違和感を覚える。話題のコスメも試しているのに、満足感が得られない…。季節や環境の変化に追いつけない肌は、小さな綻びをきっかけに老化が加速します。早期解決がなにより必要ですが手立てが見つからず、迷走する肌は多い。

そもそも、今手にしているコスメ、あなたの肌悩みを解決する効果効能をきちんと備えていますか? その謎を解くヒントが、小さな文字でびっしり書かれた化粧品のパッケージ=「成分表示」に隠されていました。「成分表示」の読み解き方を知ることは、どんな目的のために存在するコスメなのかを知ることにつながり、肌悩みにダイレクトに響く効率のよいケアの手助けになってくれます。

スキンケアラインを丸ごと替えて一から出直す、というより、不調を感じたときの「常備薬」となってくれる頼りになる「成分」を知ることでスキンケアレベルは一気に上がり、若返ります!

ビューティー エディター近藤須雅子さんに、コスメの「成分表示」の正しい読み取り方を教えていただきます。

コスメ選びの視点を変える、「成分表示」の正しい読み取り方

 
近藤 須雅子さん
ビューティー エディター
(こんどう すがこ)多くの媒体の美容記事にて執筆。専門家から得た情報を精査し、本質を見抜く審美眼のもち主で「美容業界の番人」といわれるほど。著書に『9割の人が間違っている化粧品「効きめ」の真実』(講談社)などあり。

食品やデリと同じようにコスメの材料も要チェック

スーパーやコンビニで食品を購入する際、原材料や成分表示などを確認する方は多いもの。でも化粧品はいかがでしょう? いずれも必要な成分をバランスよくとるに欠かせない、ひと手間。「字が細かい」「見慣れない名前が並んでいる」など面倒な点も、読み方のコツをつかめば簡単にクリアできます。

「昔からこんなに細かく表示されていたかしら」という疑問も当然。以前は、過去にアレルギー等の報告があった成分だけを表示(※1)していたので、ほんの数成分しか書かれていなかったのです。

現在の全成分表示の義務づけは、2001年の法律改正(※2)によるもの。医薬部外品は全成分表示の適用外、つまり全成分を表記しなくていいのですが、ほとんどのメーカーが自主的に表示しています。

※1 以前は肌トラブルの報告があった成分は「指定成分」として表示の義務が。指定成分を避けた化粧品を、「無添加」と呼んでいました。全成分表示の現在は、ほぼ死語に。

※2 かつての化粧品は、厚労省の認可成分のみで製造。未認可成分を含む海外コスメは販売できず、また新成分の認可にも長い時間がかかりました。そこで規制緩和の流れを受け、配合成分の枠を広げることに。同時に、消費者が取捨選択できるよう全成分表示が義務づけられました。

スター成分の名前を覚えればコスメの中身が一目瞭然に

表示のルールは、全体量の1%以上(※3)配合されている全成分は、配合量の多い順に表記。その際、通称ではなく化学における名前など、聞き慣れない名称が使われているのが難点です。例えばビタミンCはアスコルビン酸、ビタミンEはトコフェロールなど。ちょっと面倒ですが、主要成分名は覚えておくのが得策ですね。医薬部外品では、厚労省から効果が認められた『有効成分』(※4)は、をつけて表示されています。

成分表示を読み解く際は、1品1品の配合成分だけではなく、愛用コスメ全体のバランスも注意したいものです。よく見たら「全部のコスメにグリコール酸が!」といったケースも少なくないもの。賢いスキンケアのためには食事同様、栄養のバランスを考えることも大切です。

※3 配合量1%未満の成分は、順不同で表記されることもあります。温泉水の化粧水などのごく微量成分は表記されず、全成分表示は「水」とだけ書かれていることも!

※4 厚労省が効果や効能、安全性を認めた成分が有効成分。その有効成分を規定に従い処方配合したのが医薬部外品の薬用化粧品です。つまり「効く」コスメということに。

配合の有効成分からケア効果が見通せます

美容液_1,化粧水_1
コスメの「成分表示」は必ずチェックを!

*印から、3種の有効成分が配合されていることがわかります。ひとつ目は美白成分、あとの2種は抗炎症効果のある成分。つまり、「美白しながら炎症を抑えて、透明感アップが狙えそう」と解読。


これだけは覚えておきたい! 美容成分、基本のキ

美容液_2,化粧水_2
覚えて損なし!

数えきれないほどの種類がある配合成分。たいていのものはネット検索や成分事典などで調べることができますが、主要な成分を覚えておけば、購入の際、ささっとチェックできて便利。

配合量が多い順に表示されているので、トコフェロールが最後尾の場合、肌の抗酸化というより製品の酸化変質を防ぐためのもの、と深読みも可能です。医薬部外品の場合、有効成分が最初に表示されていますが、全成分のなかでいちばん多いわけではありません。

■1:【美白の強者】トラネキサム酸(m–トラネキサム酸、TXC)、コウジ酸

[通称]ビタミンC誘導体

[表示名]L–アスコルビン酸硫酸エステルニナトリウム、L–アスコルビン酸2–グルコシド、リン酸–Lアスコルビルマグネシウムなど

美白有効成分は16種。おなじみのビタミンCやm-トラネキサム酸、TXC、コウジ酸、アルブチン、エラグ酸などですが、誘導体ではないピュアビタミンCは有効成分ではありません。さらにビタミンCの表記はアスコルビン酸で、誘導体の種類によってグリコシドや3-0-エチルなどのバリエーションがあります。

m-トラネキサム酸は「資生堂」の通称で、表記はトラネキサム酸。「シャネル」のTXCの表示名はトラネキサム酸セチル塩酸塩です。

■2:【肌の掃除屋】グリコール酸、乳酸、クエン酸

「肌がすべすべになる」「くすみが晴れる」、と人気なのがαヒドロキシ酸、通称AHAです。リンゴなどの果物に含まれていることから、フルーツ酸とも呼ばれます。

AHAには多くの種類があり、成分表示ではグリコール酸、乳酸、クエン酸など、個々の名前で表記。いずれも肌表面の古い角質の結びつきをゆるめ、まっさらの肌に整えます。

■3:【シワ改善のスペシャリスト】レチノール、ナイアシンアミド

[通称]ニールワン

[表示名]三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na

厚労省が認可した最新ジャンルがシワの改善です。承認第1号は「ポーラ」のニールワン。ただし、これも頭文字をつなげた愛称で、表示名は上のように恐ろしく長いものです。

現時点でシワの改善効果が認められている有効成分は、以前からエイジングケア効果成分として知られるレチノールと、美白効果も備えるナイアシンアミドの計3種のみ。

■4:【抗酸化成分】

[通称]アスタキサンチン

[表示名]ヘマトコッカスプルビアリス油

[通称]ビタミンC

[表示名]アスコルビン酸

[通称]ビタミンE

[表示名]トコフェロール

エイジングを加速する重要なファクター、過剰な活性酸素を無害化して、健康な細胞への攻撃を阻止してくれるのが、抗酸化成分。化粧品の配合成分自体の酸化変質を防ぐために配合されていることもあります。

代表的な成分は上記の3点のほか、コエンザイムQ10ことユビキノン、エーデルワイスエキス、イチョウ葉エキス、フラーレンなどが。

PHOTO :
戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
WRITING :
近藤須雅子
EDIT&WRITING :
荒川千佳子、五十嵐享子(Precious)