働き方、食べ方、暮らし方、学び方、生き方—。コロナ禍により、さまざまな価値観が激変していくなかで、「お金の使い方」も大きく変わっています。自分のためにお金を使う「自利」から、ほかの人のためにお金を役立てる「利他」の発想へ。社会に貢献したい、誰かを応援したい、という想いが、今、日本中にものすごいスピードで広がっています。

今回は、「貢献」と「応援」をキーワードに、商品購入によるお金の生かし方をご紹介。未来を明るく照らし、心まで温かく満たしてくれる、ニューノーマルなマネー学について考えます。

【Action】「応援消費」で社会とつながる〜よりよい未来のために「買う」ことで社会を変える!

そもそも「買う」という行為は、生産者・販売者を応援することではありますが、さらにそこに社会的な視点をもつことで、お金を好循環させるアクションがあります。地域を活性化させる、余剰やむだをなくす、チャリティ活動に協力する。「購入」によって新しいお金の流れ、社会の仕組みを生み出す注目の取り組みをご紹介します。

Case 01 ▶︎ 新たに世に出る商品やサービスをサポート

新製品やアイディアが満載の「応援購入」専門サイト

すでに世の中にある商品やサービスではなく、これから世に出ようとする新しいチャレンジを初期段階から応援。そんなサポーター的なお金の使い方も広がりを見せています。

なかでも「Makuake(マクアケ)」は「応援購入」をコンセプトに掲げ、毎月600件以上のプロジェクトを紹介。サポーターは社会をよくするアイディアにお金を出し、リターンとしていち早く製品や体験を受け取ることができます。

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Makuake(マクアケホップのまちから、ビールのまちへ。京都与謝野を変える若者たちのビールづくり」プロジェクトでは、地元の高品質なホップを使ったビール『ASOBI』を先行販売。プロジェクト終了後、リターンが商品化。引き続き購入可能に。 

Case 02 ▶︎ 買って、食べて、おいしくフードロスを削減! 

「おいしいものをお得に」から「おいしく食べて社会貢献」へ

豊洲市場で行き場に困っている生鮮食材を安く販売する「豊洲市場フードロス削減ドットコム」をはじめ、「もったいない」を解決するショッピングサイトも多数。特にコロナ禍以降は、生産者や飲食店を応援する取り組みが急増。「訳あり食材をお得に」から、社会問題にアプローチしようという考え方に世の中全体がシフトしています。SDGs実現を目指す通販モール「WakeAi(ワケアイ)」はフードバンク活動も展開。

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WakeAi(ワケアイ)コロナ禍で経済的打撃を受けた事業者を応援するためにスタートしたショッピングサイト。現在は枠組みを広げ、「社会貢献型通販モール」に。母子家庭やひとり親家庭に食材を届ける「WakeAiフードバンク」も実施している。 

Case 03 ▶︎ 古本から生まれる新しいお金のサイクル

「本を捨てたくない」想いで社会の仕組みを変えていく

限られた資源の有効活用という大きな課題の解決に、古本リサイクルから挑んでいるのが「VALUE BOOKS」。買い取っても販売できず、古紙回収に回る運命の本を、保育園や小学校、福祉施設などに贈る「ブックギフトプロジェクト」や、寄付の形で集めた本を、買取相当のお金に変えて指定した支援団体に寄付する「チャリボン」など、古本から価値を生み出す新しい仕組みを次々と実践。お金の、モノの行き先を想像してうれしくなります。

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VALUE BOOKS長野県上田市を拠点として活動するインターネット古書店。現在は実店舗ももつ。写真は、無書店地域に本を届ける「ブックバスプロジェクト」から誕生した古本の移動販売車。資金はクラウドファンディングで集めた。 

Case 04 ▶︎ ファッションブランドも積極的に貢献&応援中!

環境保護への積極的な支援や、サステイナブルなモノづくりなど、ファッション界でも社会への貢献・応援の機運は高まっています。

■GUCCI (グッチ)…自然と野生動物を保護する基金に加盟

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上/ライオンヘッド イエローゴールド イヤリング ¥418,000・下/ライオンヘッド イエローゴールド ネックレス ¥286,000(グッチ ジャパン)

広告に動物を使用した企業が、その媒体費の0.5%にあたる額を寄付する、国連開発計画(UNDP)主導の「ライオンズシェア基金」に’20年より加盟。野生動物とその生息地を保護する活動に協力している。野生動物のなかでもライオンは、ファインジュエリーのコレクションになっているほど大切なキーモチーフ。

■LOEWE(ロエベ)…エクアドルの女性職人の応援につながるかごバッグ

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スクエア バスケットバッグ スモール(レインボートキヤヤシ&カーフ) 各¥84,700・タートルチャーム ¥36,300(ロエベ ジャパン)

南米・エクアドルのフェアトレード団体「Project Shamuk」と協力。村で栽培されたトキヤヤシを使って女性職人が織ったバスケットバッグに、「ロエベ」のアトリエでカーフスキンストラップ、アナグラムのエンボス加工入りカーフスキンパッチを付けている。エクアドルの女性たちの雇用機会創出に貢献。

■STELLA McCARTNEY(ステラ マッカートニー)…森を伐採から守りたい! 洋服でメッセージを発信

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豊かな自然がアーティスティックに描かれたTシャツ。上/¥56,100・右/¥42,900(ステラ マッカートニー ジャパン)

早くからサステイナブルな活動に取り組んでいる「ステラ マッカートニー」は、さまざまな機会に意識向上のためのアクションを実施。今年のアースデイに向けてNGO団体「グリーンピース」の森林伐採ストップを訴える活動をサポートするカプセルコレクション『Stella×Greenpeace』を発表した。

■LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)…「ユニセフ」と共同で世界の子供たちを支援

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ブレスレット「シルバー・ロックイット ドゥドゥ・ルイ」各¥53,900・テディベア「ドゥドゥ・ルイ」¥108,900(ルイ・ヴィトン) (C)Louis Vuitton

「ユニセフ」とのパートナーシップを通じ、弱い立場の子供たちを支援するため、『シルバー・ロックイット』ブレスレットに新作4色(ブラック、ピンク、ブルー、セラドン)を発表。さらには心奪われるテディベアも!
ブレスレット1製品ごとに100ドル、テディベアは200ドルが「ユニセフ」に寄付される。


コロナ禍関連では、ここで紹介した4つのラグジュアリーブランドのほかにも、収益の一部を寄付に回したり、野生動物の保護やマイノリティの権利獲得といったさまざまなプロジェクトと協働したりと、アイテムの「購入」を貢献・応援につなげているブランドがあります。

「バーバリー」や「アクリス」が、マスクの販売収益をコロナに関わる支援へ。「ラコステ」も昨年、限定ポロシャツの販売収益を国際赤十字社などに寄付しました。また、「ハンター」はLGBTIQ+の権利獲得のためのNPO団体と連携。「KENZO」はWWFとともに、野生のトラの保護・保全プロジェクトに参加中です。「トリー バーチ」はアメリカ本国において、女性の社会進出や起業支援。ファッションのもつ力が、未来を変えようとしています。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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EDIT&WRITING :
剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)