世界の美食が集まる日本。近年、「おいしいものを食べるなら、日本へ!」という海外旅行者も増えているようです。安くておいしい、いわゆるコストパフォーマンスに優れた飲食店も多い日本の外食産業ですが、本稿では「海外の富裕層が選ぶ、日本の高級レストラン」に注目。そこで、富裕層インバウンド向けに特化した高級レストラン予約サイト・テーブルオールのCEO・山田隆さんに話を伺います。

■予約困難店と富裕層のニーズを汲み取る「テーブルオール」のサービス

 

「超」予約困難店のみを取り扱う予約サービスを展開しているテーブルオール。このようなサービスを始めるに至ったきっかけは?

「ゴールドマンサックスで営業として働いていたとき、集客に困っていない予約が困難な人気店の方と話す機会がありました。そこで『海外の方にも料理を食べてもらいたい』と聞いたことがきっかけです。ホテルのコンシェルジュが予約の代行をすることもあるのですが、キャンセルやノーショー(無断でのキャンセル)があれば、飲食店側が対応する必要があり、手間がかかってしまう。さらに大きな理由が”言葉”の問題。アレルギーや宗教的に食べることができないもの事前に聞くことができないため、外国人を迎え入れたいけど、難しいという状況でした。その問題が解消できたら…と考えたのがきっかけです」

テーブルオールでは予約の際、事前にカード決済するシステム。そのこともあって、キャンセルはほとんどないそうです。

「また、シンガポールに在住していたときに『お店を予約してくれ』と頼まれることがありました。『ホテルに頼めばいい』と言うと、コンシェルジュによって、予約が取れる店と取れない店があると聞いたんです。海外の人からすれば食事は楽しみのひとつだし、国内でインバウンドと盛り上がっているのに、食事が開放されていないのはよくない。このことも、飲食店側と外国人が安心できる予約サービスの必要性を感じたきっかけのひとつでした」

日本のトップレベルの味を堪能したい海外の富裕層にとって、予約の煩わしさから解放されるのはうれしいことですね。実際に、どの国の旅行客の利用が多いのでしょうか?

「ウチは広告を一切打っておらず、フォーブス(アメリカに本社を置く世界的経済誌)やシンガポールの新聞に取り上げられたこともあって、圧倒的にアメリカとシンガポールの方が多いです」

ただでさえ予約困難なお店を扱っているため、会員が増えすぎてしまうと、対応が難しくなってしまうとのこと。一部メディアに取り上げられる以外では、口コミで会員が増えていったそうです。

■海外富裕層が日本で食べたい、人気の料理とそのメニューは?

 

ここで本題に入ります。海外の富裕層の方々から人気なのは、どういった料理なのでしょうか?

「やっぱり『お寿司』が圧倒的に人気ですね。初めて日本に来たという場合は、まずお寿司に。二回目以降は懐石料理や天ぷらなど、徐々に裾野を広げていきます。日本の料理はどれも質が高いことが海外に知られているので、日本食以外にも、フレンチやイタリアンレストランの予約も多いです」

海外の方は“生の魚”に抵抗があるのかと思いましたが、やはり日本といえばお寿司なんですね。

「生魚が食べられないというのは、もうずいぶん昔の話ですね。今は日本食が世界中で流行しているので生魚がダメという人が少なくなっていますし、生魚以外にも、食べ物の制限というのが本当になくなってきていると思います」

ちなみにお寿司のネタは、どのようなものが人気ですか?

「テーブルオールでは、行ったお店のシェフ宛てに、直接コメントを書き込めるようになっています。そこに寄せられた感想を見ると、とにかく中トロや大トロなどマグロが好き、という方が多いです。赤身はほかの魚と比べて、生臭くなく、脂がしっかり乗っているのが人気の理由ですね。あとはウニも人気。もともとウニはいろいろな国で食べられているので、抵抗が少ないようです。イクラ・白身魚なども安定して人気があります。逆に、魚くささを感じる青魚、白子あたりは少し避けられてしまっているようです」

なるほど、日本人と好みがだいぶ似ているかもしれません。

■海外富裕層が日本のレストランに抱く感想は?

 

サイトにフィードバックが書き込めるとのことですが、具体的にはどのようなコメントが?

「大きな部分ですと『コミュニケーションがよかった』『おもてなしが素晴らしかった』とお店の接客に感動していただくことが多いです。細かな部分ですと『〇〇がおいしかった』という料理の感想などですね」

サイト利用者は海外富裕層の方がほとんど、とのことですが、日本人の方の利用者はいないのですか?

「まず、サイトが英語で書かれているので、日本の方は0ではないですが、ほとんどいない。全体の1%程度です」

現在、テーブルオールで予約できる店舗が30を超えたそうですが、今後も店舗数は増えていく予定でしょうか?

「現在、テーブルオールで取り扱っている店は東京と京都、金沢、富山、北海道。今後は大阪や九州などを視野に入れています。しかし、店舗の数を増やすのではなく、『テーブルオールの店はどこもおいしい』とユーザーに思ってもらえるよう、追求するのは質の高さです。今後もそれは変わりません」

「つくった料理を食べてもらいたい」料理人と「日本のおいしい料理を食べたい」海外富裕層の想いをつなげている、テーブルオール。東京オリンピックに向け、日本の美食が堪能できる高級レストランへの需要はますます高まりそうです。

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この記事の執筆者
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WRITING :
冴島友貴