世界一のグルメシティ東京。この街で食べられない国の料理はないといわれるほど、各国の料理店がひしめく東京で、なかなか旅ができない今、「口福」の世界旅行を楽しみませんか?
最新『Precious』9月号では、企画「旅気分で行きたい! トーキョー世界レストラン」を特集。各国料理を食べ尽くした偏愛系フードライター・小石原はるかさんをナビゲーターに、海外への恋しい気持ちを満たしてくれる、話題のお店やツウが通う名店をご紹介します。
■1:ここは台湾?本場の水餃子とビールを!|台湾料理・also(東京・白山)
白山神社にほど近い路地裏に、突如現れる一軒家「also(オルソー)/鶯嶁荘」。
台湾でもとりわけ古きよき時代の風情が残る「台南」の老房子(古民家)をイメージしたという外観は、群馬県の職人に特注したという窓枠が印象的。夕暮れどき、静かに灯されるライトが一層幻想的なムードを誘います。
歯切れのよい肉厚の皮に2種の豚ひき肉、セロリ、白菜がベースのジューシーな餡。オーナー自ら何度も台湾へ足を運び、本場の味を再現した水餃子をはじめ、台湾屋台の定番メニューがずらり。
「五香粉(ウーシャンフェン)が香るサクサクの『鹽酥雞(イェンスージー)/台湾クリスピー唐揚げ』は、現地の屋台と同じ紙袋を使用。
料理はもちろん、雰囲気のある建物といいインテリアといい、細部まで徹底してつくり込む、そのセンスはさすがです。時節柄、近くて遠い台湾屋台が恋しいとき、親しい人と訪れます」(小石原さん)
オリジナル水餃子(¥790)は、台北の名店の味を再現した黄ニラ入り。鹽酥雞¥700、葱油餅(ツォンヨゥピン)のハムチーズ焼¥600。注文はすべてスマートフォン、飲み物は自分で取りに行くなどシステムもユニーク。連日満員、江戸川橋の「フジ コミュニケーション」の2号店。
【詳細記事はこちら】古きよき時代の風情が残る「台南」の古民家をイメージ、本場の水餃子とビールが味わえる台湾料理店「also/鶯嶁荘」|東京・白山
■2:ここはベトナム?大衆食堂=コムビンザンが!|アジア屋台料理・ピポンペン(奥渋谷)
代々木公園近く、通称「奥渋」エリアにある「ピポンペン」。
2階に灯るベトナム伝統のカラフルなホイアンランタンが目印。店内インテリアは、屋台のネオンサインを思わせるピンク色で統一。ずらりと並ぶ、ピンクで書かれたメニュー札が不思議と食欲をそそります。
「人気料理家の提供メニューほか、アジア各地のお惣菜がショーケースに並ぶ姿にときめく!
好きなものを選んでビールと一緒に店内で楽しむもよし、テイクアウトして近くの公園で楽しむもよし。ピンクのテーブルに、水玉のグラスやカラフルな食器類。ちょっとした小物使いもアジアの食堂気分満載。近所に欲しい一軒です」(小石原さん)
アジアの架空の田舎町出身の若者が都会に憧れ上京し開店した店、というのがコンセプト。どこか懐かしい雰囲気と洗練の味が見事に融合しています。
唐揚げや焼売、焼きそば、麻婆豆腐などメインは6種、ナムルや辣白菜(ラーパーツァイ)など惣菜は10種ほどが常時並ぶ。メイン3品+おまかせ惣菜4品で¥1,350。魯肉飯(ルーローハン)+おまかせ惣菜3品で¥1,200など。
代々木八幡の人気ベトナム料理店「ヨヨナム」の姉妹店。料理家の植松良枝さんや小堀紀代美さんがメニューを提供。
【詳細記事はこちら】人気料理家の提供メニューも並ぶ!まるでベトナムの大衆食堂のような「ピポンペン」(東京・奥渋谷エリア)
■3:渋谷の路地奥。喧騒を抜けた先に広がる、新感覚のファイン・フュージョン・メキシコ料理「RUBIA(ルビア)」(東京・渋谷)
「3年ほど前から始まったタコスブーム。日本タコス協会の会長でもあるオーナーが手掛ける2店舗目は、メキシコ料理と日本料理が融合したモダンなファインダイニング。
特筆すべきは、具材はもちろん、トルティーヤからすべて自家製の『クラフトタコス』。見た目に麗しいオープンスタイルのタコスは、馬肉に生姜や茗荷を効かせた特製サルサソースを合わせたり、キクラゲに竹炭とトリュフのソースを合わせるなどユニーク。
ブルーコーンやエゴマ、レッドコーンなどを使ったカラフルなトルティーヤも楽しい!
洗練されたインテリアやアート、器などはメキシコから持ち込んだもの。細部まで妥協しない独自の世界観と、オーナーの深いメキシコ愛を堪能できます」(小石原さん)
花畑のような「お花のリゾット サルサヴェルデと自家製のリコッタチーズ」は、青トマトとハラペーニョの旨味と香りがきいた一品。
2階のミクソロジーバーのいち推しは「ブロンズエリクス」。フレッシュマンゴーのシロップを効かせたウオッカベースのカクテルは、ブラックペッパーたっぷりのカリッと焼いたベーコンをかじりつつ楽しんで。
渋谷・スペイン坂の路地奥に佇む淡いグリーンの建物が目印。ランチやディナーはもちろん、朝からタコスが楽しめるほか、アガヴェスピリッツのお酒が豊富に揃うミクソロジーバーも。
外国人客からも人気で、まさに海外旅気分を味わえます。
【詳細記事はこちら】朝からタコスが楽しめる!メキシコ料理×日本料理のモダンなファインダイニング「ルビア」|東京・渋谷
■4:インド料理のイメージを覆すモダンインディアンキュイジーヌ。洗練と驚きのひと皿をコースで「SPICE LAB TOKYO」(東京・銀座)
インド料理=カレーという、日本人のもつイメージを変えたいと、オーナー夫妻が4年もの準備期間を経て選んだ場所は、銀座6丁目。2019年11月のオープン以来、最先端かつモダン、サプライズに満ちたインド料理は、舌の肥えた美食家たちを瞬く間に虜にしました。
「日本の旬の食材を巧みなスパイス使いで引き立てる、エレガントな料理に心底感動します。スパイス=辛いと思われがちですが、甘み、酸味、香りなど非常に繊細で、スパイスの奥深き世界を堪能できます。
なにより、『寺院』『街路』『農村』『王族』『浄化』など、多彩な文化をもつインドを表現するテーマを設け、テーマに沿ったひと皿をコース仕立てで順に食べることで、インドの『今』を体験できるという仕掛けに、知的好奇心がくすぐられるはず。
孔雀の羽をイメージしたピーコックブルーの食器やテラコッタカラーに輝くゴブレットなど、インドの歴史や文化が感じられるインテリアも素敵。ベジタリアンコースもあるので、海外の方との会食にも喜ばれます」(小石原さん)
料理長のテジャス・ソヴァニ氏は、インドで輝かしい受賞歴をもつ実力派。コペンハーゲンのレストラン「noma」を経て、インドのラグジュアリーホテル「The Oberoi」や「AMAN」でスーシェフを務めた腕で、自在にスパイスを操り、独創的なインド料理を生み出しています。
また、ひとつ上の階のバーには開放的なテラス席も。食後はスパイスがきいたオリジナルカクテルで余韻を楽しんで。
オリーブオイルでソテーしたジューシーなホロホロ鳥をバターチキンソースに絡めて。ディナーコース「Spice Trail」より「王族」がテーマのひと皿。
細長いバスマティライスの米粒がすっくと立った姿はもはや芸術品! 手間ひまかけ、じっくりと丁寧につくられたチキンビリヤニは、この店の代表的なメニュー。
ランチコース「Spice Journey」より『街路』をテーマにしたひと皿。「ゴルガッパ」などインドの各地域のストリートフードからインスピレーションを得た遊び心溢れる構成。クッションのようなユニークな器は、実は陶器。
ディナーコース「Incredible Spice」よりテーマ『現代』。伊勢エビのグリルに添えられたマンゴーカリーオランデーズソースが超絶美味!
【詳細記事はこちら】イメージを覆す、最先端かつモダンなインド料理が味わえる「SPICE LAB TOKYO」|東京・銀座
■5:ペルーの伝統的料理を日本の旬の食材で、色鮮やかに。ブームの火つけ役は日々進化中|bépocah(ベポカ、東京・神宮前)
欧米から広がったペルー料理ブーム真っ只中の2013年、原宿に誕生した「ベポカ」。リマの旧市街にあるコロニアル建築を模した鮮やかな黄色い建物は、日本にいながらペルーを体感できるスポットとして人気に。
「オープンから8年経った今も、『美しい!』と思わず唸るほど、360度どこから見ても端正で色鮮やかなひと皿は健在。いや、年々アップデートされているといっていいほど。
多種多様な山海の幸が揃うペルーは、実は世界屈指の美食大国。スペイン系、アフリカ系、中国系、日系の食文化が融合し、独自の進化を遂げたペルー料理は、似たような立地と歴史をもつ日本料理との親和性が高く、それゆえこちらのペルー料理は日本の旬の食材が見事に生かされています。
なかでも季節の新鮮な魚を使ったこの店のセビチェは、キーライムが効いていて絶品! キリッと冷えた白ワインが恋しくなる一品です」(小石原さん)
プレシャス世代におすすめはコース料理。絵画のように美しい料理をじっくり楽しめます。写真の料理はすべて「デグスタシオンコースA」¥11,000(要予約)より。
【詳細記事はこちら】日本にいながらペルーを体感!絵画のように美しい料理が楽しめる「ベポカ」|東京・神宮前
■6:体にも心にもしみじみ優しいロシアの家庭料理を銀座でリーズナブルに|「Matori Kitchen(マトリ・キッチン)」東京・銀座
昨年10月、銀座3丁目に開店以来、食通の間で名店だと密かに話題となっているのがこちら。
「銀座という立地で、ボルシチ、ピロシキ、サラダが付いたランチセットが800円! ボルシチ、つぼ焼き(シチューの入った器にパイ生地を被せて焼いたロシアの定番料理)、サラダのセットでも1,050円。しかも17時までランチタイム。
アラカルトも驚くほどリーズナブルです。あまりに良心的なので、オープン当初は逆にお客様に怪しまれ、なかなか店内に入ってもらえなかったとか(笑)。
どの料理も野菜たっぷりの優しい味わいで、丁寧につくられたものばかり。トラディショナルなロシアの家庭の味を楽しめます。一度訪れたらリピーターになること間違いなし」(小石原さん)
ロシア料理の老舗店で13年修業を積んだ店主が満を持して独立。旧ソ連のモルドバ共和国が母国の奥様のロシアの家庭料理に感動し、その味をもっと広めたいとこの道へ。珍しいモルドバワインと共に、ロシアのおふくろの味をぜひ。
ルビーのような輝きを放つビーツがベースのロシアンサラダ「ヴィニグレット」。鮮やかなビーツの赤に、じゃがいも、にんじん、ピクルスなど、野菜のもつ甘みとほんのり効いたビネガーがなんとも優しい、マイルドな味。
世界3大スープのひとつ「ボルシチ」。
「これぞロシアのおふくろの味。家庭によって味も材料も違います。うちはキャベツをメインに、ビーツやにんじん、玉ねぎなど7種類の野菜をじっくり煮込んだ、野菜のうま味たっぷりのシンプルなスープ。サワークリームを添えています」と店主。
【詳細記事はこちら】食通の間で話題!銀座でロシアの家庭料理をリーズナブルに「マトリ・キッチン」
■7:ブルックリン発・ステーキハウスの最高峰が10月、ついに日本上陸!|「Peter Luger Steak House Tokyo(ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京)」東京・恵比寿
「ステーキハウスの最後の黒船、来航!といった感じでしょうか。熟成肉を世界に広めたといわれ、ニューヨークのステーキハウスで唯一ミシュランの星を獲得。名物のポーターハウス・ステーキをぜひ」(小石原さん)
創業1887年の老舗。最上級のプライムビーフを独自の手法で熟成。
うま味や香りが増した柔らかい肉を専用のブロイラーで焼き上げ、溶けたバターをのせたら皿上でカットし、再びブロイラーに入れ数分焼いてテーブルへ。その味は唯一無二!
【詳細記事はこちら】その味は唯一無二!ステーキハウスの最高峰が日本上陸「ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京」(東京・恵比寿)
※新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下では一部情報が変更となる可能性があります。公式HPなどでご確認ください。
※掲載したメニューは、すべて税込です。
- PHOTO :
- 篠原宏明、川上輝明(bean)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、佐藤友貴絵(Precious)