日本橋三越本店の地下1階フロアに位置する「日本橋 和の茶 伊藤園」。2017年秋にオープンした、日本の伝統「茶文化」を体感できる新しいコンセプトショップです。そこで今回は、伊藤園ティーテイスターとして15年以上お茶と向き合い、店頭で日々お茶選びのアドバイスをする、神宮 大さんからお話を伺いました。家族や大切な人とお茶を囲みたくなるような、日本茶の楽しみ方をレポートします。

「日本橋 和の茶 伊藤園」の外観
「日本橋 和の茶 伊藤園」の外観
「日本橋 和の茶 伊藤園」の内観
「日本橋 和の茶 伊藤園」の内観

■お茶を入れる楽しみを、再提案したい

「全国には、おいしいお茶をつくるために並々ならぬ情熱や努力を注ぐ生産者の方がたくさんいます。そういった茶農家様とお客様のつなぎ役になれたら、という思いで日々お客さまに接しています」。そう語るのは、ティーテイスターの神宮さん。

「“おいしいもの”が出てくる、というその時間を楽しんでほしい」と続けます。茶葉を入れ、お湯を注いで蓋をする。そのとき、「どんな味がするんだろう? どんな香りなんだろう?」そういった楽しみが、急須の中に閉じ込められているといいます。

ティーテイスターの神宮 大さん
ティーテイスターの神宮 大さん

ここでしか味わえない「お茶体験」を

「日本橋 和の茶 伊藤園」では試飲のほか、厚生労働省認定の「伊藤園ティーテイスター」を取得している茶師から、好みに合わせた茶葉のアドバイスを受けることができます。取り扱う国産茶葉は、煎茶、抹茶、ほうじ茶、ウーロン茶、紅茶など合わせて30種類以上。

また、カウンターでの喫茶スペースを完備しています。用事やお買い物の合間に、本格的なお茶と甘味でほっとひと息つけるのはうれしいですね。

扱う茶葉には、どれも強いこだわりが。「シングルオリジンの茶葉を取りそろえています。産地や茶農家様の想いをダイレクトに味わっていただけると思うんです」と神宮さん。数ある茶葉の中でも、特にイチ押しのものを教えていただきました。

「ほかにはない、濃厚な味わいを楽しめるのが『八女伝統本玉露 福岡県品評会出品玉露』です。玉露の産地として全国的に知られる福岡県八女市で、土からこだわり伝統的な製法で丁寧につくられています。100gあたり¥25,000という最高級品ですが、そのお値段も納得できるほどの、濃厚なおいしさです。お出汁を飲んでいるかのような旨味が凝縮した味わいが特徴です」(神宮さん)

もうひとつのおすすめが、黄金色に輝くような、その名も「黄金(こがね)みどり」。

「パワフルな味わいで、なんと八煎くらいまで美味しく味わうことができるんです」(神宮さん)

「黄金みどり」の煎茶は、深いコクが印象的。甘みも苦みも感じるような力強い味わいです。

「黄金みどり」100g ¥10,000
「黄金みどり」100g ¥10,000

■お茶をおいしく入れるポイント

家庭でおいしくお茶を入れるために大切なことを、神宮さんに教えていただきました。

「大事なのは、茶葉の量、お湯の量、お湯の温度、抽出時間の4つです。特にお湯の温度がポイントです。ひと工夫で、渋みが少なく旨みが強い、まろやかな味わいのおいしいお茶が楽しめます」(神宮さん)

「湯冷まし」といって、湯のみなど他の器に一度お湯を入れることで約10度、温度が下がるといいます。こうすることで、ひとり分のお茶の湯量の目安にもなります。さらにもう一度、他の器にお湯を移します。この時点で、70~80度ほど。急須に注ぐのにベストな温度になります。

店舗で使われる、お湯を沸かす「茶釜」
店舗で使われる、お湯を沸かす「茶釜」

お湯を入れ、蓋をし30秒~1分ほど待ったら、湯のみに注ぎます。複数で飲むならば、一気に注がず人数分に何回かに分けて注ぐこともポイント。味が均一になるように、注ぎ分けをします。そして、二煎目以降もおいしく楽しめるように、湯を最後まで絞り切ることも大切だといいます。

「お湯が急須に残っていると、茶葉の旨味が流れ出てしまいます。最後の一滴は、『ゴールデンドロップ』と呼ばれるほどおいしさが詰まっていますから、最後の1滴までしっかりと注ぎ切ってくださいね。そして、最後に“愛情”を注いであげれば完璧です!」(神宮さん)

水出し緑茶の提案も。氷水で抽出することで、甘さがより引き立ち美味しく楽しむことができる
水出し緑茶の提案も。氷水で抽出することで、甘さがより引き立ち美味しく楽しむことができる

■手土産や海外のゲストにもおすすめな、和スイーツも豊富

茶葉と並び、ギフトなどで好評なのが、和の食材を使った豊富な和スイーツ。特に人気は、抹茶やほうじ茶を使ったロールケーキやマカロンだといいます。乳も粉など、材料はすべて産地までこだわった国産素材でつくられています。また、お茶との相性ぴったりなドライフルーツも種類豊富にそろいます。

煎茶に加え、最近は「和紅茶」にも注目が集まっているといいます。外国産のイメージが強い紅茶も、栽培、製茶まですべて国産で丁寧につくられたものを厳選して取り扱っています。屋久島、京都、霧島、八女、静岡などが産地の5種類以上が並びます。

丹羽産黒豆を使用した「和の茶ロール」¥800〜¥3,000
丹羽産黒豆を使用した「和の茶ロール」¥800〜¥3,000
国産素材にこだわったドライフルーツも人気。¥1,000〜
国産素材にこだわったドライフルーツも人気。¥1,000〜
煎茶、玄米茶のほか、国産茶葉100%で製茶された「和紅茶」(4種類)も人気。¥425〜
煎茶、玄米茶のほか、国産茶葉100%で製茶された「和紅茶」(4種類)も人気。¥425〜

■お茶は、人と人をつなぐ「潤滑茶」

ロングセラーの『お~いお茶』の名前の由来も、「お茶を入れたよ」と家族や友人を優しく呼びかけているようなシーンが、コンセプトだといいます。

「お茶は、人と人をつなぐ“潤滑茶”だと考えています。お茶を介して、人が知り合ったり、絆が深まると思うんですよね。日本中には、素晴らしいお茶がたくさんあります。ぜひ、お気軽にお店にいらしてくださいね」(神宮さん)

お茶を入れてあげることの喜び、入れてもらうことの喜びを体感できる「日本橋 和の茶 伊藤園」。せわしない日常の中でも、お茶を味わう時間は、ほっとするもの。ショッピングの合間に、仕事先への手土産選びに、ぜひ足を運んでみるのはいかがでしょうか。

※価格はすべて税抜です。

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
八木由希乃